tag:blogger.com,1999:blog-37357859022338754022024-02-08T15:04:14.274+09:00雑記特にジャンルを特定せず興味のある分野について、思ったことを書いています。yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.comBlogger44125tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-30393033571594318902016-12-01T17:28:00.000+09:002016-12-01T17:30:25.043+09:00NHKのもうひとつの「誤報」数日前にNHKの報道で数字の使い方がおかしい、その結果、「誤報」につながったと書いた。<br />
しかし昨日(11/30)、NHKはまた数字で混乱している。<br />
<br />
<div class="content--summary-more">
「韓国最大の労組が大統領の退陣を求めて大規模な抗議集会を開いた」という内容の夜のニュースなのだけど、ここでNHKはソウルで韓国最大の労働組合である全国民主労働組合総連盟が抗議集会を開いた、全国規模のストライキを呼びかけていて、製造業や交通機関の労働者など22万人が参加していると伝えた。</div>
<br />
<div class="content--summary-more">
これまでNHKは、韓国での一連の大統領退陣を求めるデモや集会を報道する時は必ず警察発表の数字だけを使い、主催者発表の数字は完全に無視して触れもしなかった。ところが今回は主催者発表の数字として「およそ2万人」が集会に参加、22万人がストライキに参加したと伝えている。</div>
<div class="content--summary-more">
そして不思議なことに警察発表の数字については完全に無視して触れもしない。</div>
<div class="content--summary-more">
参考までに韓国のメディアは、警察推定のソウルの集会の規模は8000人で、雇用労働部推定のゼネスト参加者数は6万8350人と伝えている。</div>
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<br /></div>
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NHKは何を基準にして、ある集会は主催者発表の数字を使い、ある集会は警察発表の数字を使うのかまったくわからない。ぼくの周辺でも「おかしい」という人は多いのだけれど、もしNHKがそうした視聴者の意見を反映して主催者発表の数字を使ったとしたら、それは視聴者の意見を取り違えている。</div>
<div class="content--summary-more">
海外のデモの様子がわからない日本の視聴者は、実際にどの程度の人が集まったのかを知りたいのであって、ニュースに数字を出すのであれば視聴者がその規模を正しく把握できるように工夫しなければいけない。警察発表の数字に多くの人が不満を感じたのは、それが警察情報のタレ流しのお手軽なニュースだったからというばかりでなく、実際の規模とかけ離れた数字だったからだ。</div>
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<br /></div>
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ところでこの文章のタイトルに「もうひとつの『誤報』」と書いたのは、NHKのニュースで「韓国最大の労働組合である民主労総(全国民主労働組合総連盟)」と言っていたこと。</div>
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11月末現在、民主労総のウェブサイトでは組合員数は69万1,136人という数字が出ている。NHKは「69万が所属する」と書いているので、これは問題ない。</div>
<div class="content--summary-more">
しかし韓国には韓国労総というもうひとつのナショナルセンターがある。やはりウェブサイトを見ると、韓国労総の組合員数は94万8,790人となっている</div>
<div class="content--summary-more">
すると韓国最大の労働組合は韓国労総で、民主労総は「韓国最大」ではなく「韓国第二の労組」ということになる。</div>
<div class="content--summary-more">
韓国労総の組合員数が本当に発表通りなのかどうかはわからない(もっと少ないという声もないわけではない)が、一応、サイトで発表されている数字は公式の数字なので、NHKが韓国労総の組合員数が民主労総の組合員数より少ないとする理由は見当たらない。</div>
<div class="content--summary-more">
これは明らかに間違いであって、一種の「誤報」と言えると思う。</div>
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<br /></div>
<div class="content--summary-more">
とにかく、ぼくが言いたいことは、NHKは一体何を基準に報道しているのか、ある時は主催者発表、ある時は警察発表という一貫性のなさは何なんだということ。労組の規模について、基本的なデータさえ把握せずに「韓国最大の労組」と言うお粗末さは何なんだということ。</div>
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<br /></div>
<div class="content--summary-more">
今、韓国では大きな社会的な変動につながりかねない事件が動いている。</div>
<div class="content--summary-more">
この動きを陣営の思惑から離れてしっかり伝えるのが公共放送の役目のはず。</div>
<div class="content--summary-more">
いったい、何のためにソウルに支局を設置し、特派員を派遣しているのだろう?</div>
<div class="content--summary-more">
こんな報道しかできないのであれば、ソウル支局など必要ない。仕事をしない特派員も全員更迭してもいい。</div>
<div class="content--summary-more">
その代わり、ぼくが1本100万円ぐらいで記事を書いてやるよ。支局の維持費、人件費を考えれば安いもんだ。</div>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-11430467876139222922016-11-28T10:31:00.000+09:002016-11-28T10:31:33.079+09:00NHKの「誤報」朴槿恵大統領や崔順実を中心とする大規模かつ広範囲な不正や汚職などが明らかになり、40%前後だった政権支持率は10月に不正の決定的な証拠が報道されると急低下、最近では4%という数字を記録した。毎週末、膨大な人が街頭に出てきて退陣を叫ぶデモが続いている。<br />
最初は数千人だったデモの規模は回を重ねるごとに増え、主催者側によれば5回目のデモは首都ソウルでの130万、全国で190万人が退陣を叫んでデモを行ったという。<br />
<br />
ところが不思議なことに、日本の報道機関の多くはデモの規模について主催者発表の数字を使わず、警察発表の数字を報じている。ただしほとんどの報道機関は主催者発表の数字も併記するなどしてデモの規模の大きさを伝えているのだが、NHKはなぜか一切主催者発表の数字に言及していない。<br />
たとえばNHKは11月26日のニュースで、ソウルでの集会の規模を「今月12日に続いて、民主化以降、最大規模のおよそ26万人」と報じた。主催者発表のほぼ1/5の数字だ。<br />
<br />
主催者発表の数字は参加者の延べ人数、警察発表の数字は特定の時点での人数だそうだ。警察発表の数字は原理的に主催者発表の数字より小さくなる。<br />
しかし、抗議デモの場合、最大何人が同時に集まったかが重要なのではない。どれだけ多くの人が抗議の声を上げたのかが問題なのであって、その意味で瞬間を切り出した警察発表の数字を使うのは不適当だ。それなのに、NHKは警察発表の数字を書き写すだけ。<br />
NHK以外でも警察発表の数字を使う報道機関は少なくないが、ほとんどの場合、主催者発表の数字も併記している。しかしNHKは警察発表の数字を書き写すだけ。<br />
<br />
NHKが警察発表の数字にこだわり続ける理由はよくわからない。<br />
だがNHKは「民主化以降、最大規模」と報じていることを想起すれば、どうやらNHKは主催者発表の数を念頭に置いてニュースを作っているらしいということがわかる。<br />
<br />
NHKが言う「民主化」は、1987年の民主化抗争のことだ。<br />
1987年6月26日に行われたデモの規模は主催者発表で180万人以上、警察発表では2万2千人というのが通説とされている。<br />警察発表の数だけを比べれば、2万2千人を超える規模のデモは何度も行われている。たとえば2008年6月10日の韓米FTA反対デモの規模は警察発表で8万人だった。<br />
もし警察発表の数字だけを比べるのであれば、NHKはニュースで「2008年FTA反対デモ以降最大」と報じなければならなかった。いや、先週すでにFTA反対デモの規模を超えているので「12日のデモ以来最大」と報じなければいけないことになる。つまり、史上最大のデモだったと報じなければならない。<br />
<br />
警察発表の数字を使えば「史上最大」のはずなのに、NHKは「1987年の民主化以降最大」と報じた。<br />
それならその根拠となる数字は主催者発表の数字でなければいけない。<br /> 民主化抗争の主催者発表の数字は180万人以上、韓米FTA反対デモの主催者発表の数字は100万人なので、今回の主催者発表130万人という規模は確かに「民主化以降最大」と言える。<br />
したがって「民主化以降最大」と報じるNHKは、主催者発表の130万という数字の方が現実に近いことを認識した上で、何らかの理由で主催者発表の数字を隠したまま警察発表の数字を報道し続けているということになる。<br />
<br />
これは単に数字の相対的な大小の問題ではない。<br />
歴史的な出来事の軽重にかかわる問題だ。<br />
1987年の民衆抗争は、当時の軍事政権を退陣に追いやるほどの大規模なデモだった。今回のデモが民衆抗争時のデモより規模が小さければ、政権を退陣に追いやるほどの規模ではないと解釈することもできる。逆に民衆抗争時より大きいのであれば、政権が危険になる水準の規模だということになる。<br />
花火大会の人出のニュースと違い、どの数字を使うかによって、政治的な意味が変わり、歴史における順位が変わるのだから、いい加減な理由で数字を扱ってはならない。<br />
<br />
韓国はもちろん、欧米のメディアも、そして日本でも多くのメディアが主催者発表の数字を併記しているのはそのような理由がある。NHKも、主催者発表の数字を併記するべきだった。<br />
NHKは警察発表の数字しか報じなかったことにより、デモの社会的な意味、歴史的な意味を見失ったばかりでなく、1本のニュースの中で本当は史上最大なのに民主化以降最大と報じるという「誤報」、あるいは本当は130万人なのに26万人と報じるという「誤報」を犯してしまったわけだ。<br />
<br />もっとも、1987年の軍事政権下の警察発表の数字は、決して信頼できるような数字ではない。<br />
しかし警察発表の数字は常に時の権力者によって歪められるものだ。<br />
だから韓国では1987年の民衆抗争の規模は普通、主催者発表の180万人以上という数字が使われる。 <br />
実際に今回のデモの規模についても、韓国では誰も警察発表の数字なんて信じてはいない。<br />
今回のデモの原因になった朴槿恵政権の無数の問題の中には、青瓦台が警察や検察に介入して真実を隠し、警察や検察に政権にとって都合が良い情報を流させていたことが明らかになっている。軍事政権下の警察発表が信じられないのであれば、全く同じ理由で警察の発表にも青瓦台の介入を疑わなければならない。警察発表の数字を報道することに意味がないとは言わない。しかし、警察発表がすべてではない。「政府が右と言えば右」というセンスで報道機関が当局の発表を垂れ流すことがいかに危険なことなのかをNHKは理解しなければいけない。 <br />
<br />
今、目の前で起きている出来事がどのような意味を持つのか、その意味をこれまでの多くの出来事と比べるために数字が使われる。ニュースでどの数字を使うかによって、出来事の意味が変わってくる。<br />
もしNHKが「警察が26万と言ったから26万」というのであれば、報道機関として失格ではないだろうか。今、何が起きているのかを見極めて、意味のある数字を使って出来事の意味をニュースの受容者に伝えることが報道機関の役目だと思う。<br />
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yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-29224944460764929922016-07-07T14:16:00.000+09:002016-07-07T20:46:52.746+09:00七夕と暦について、とりとめのないメモ<div data-contents="true">
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="fir9e-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="fir9e-0-0">
<span data-offset-key="fir9e-0-0"><span data-text="true">今日は「七夕」ということになってるけど、天気予報では夕方から曇り。七夕星は見えそうもない。やっぱり七夕は旧暦がいい。今年の旧暦の七夕は8月9日だそうな。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="fliiv-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="fliiv-0-0">
<span data-offset-key="fliiv-0-0"><br data-text="true" /></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="alt9o-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="alt9o-0-0">
<span data-offset-key="alt9o-0-0"><span data-text="true">俗に旧暦、陰暦とも言うけど、正しくは大陰太陽暦。月の動きと太陽の動きを組み合わせるので、月と太陽の位置から発生する誤差を適当に修正してやらないといけない。これがめんどくさい。太陽暦だとほぼ自動的に計算できるんだけど、大陰太陽暦は誤差調整の程度について、どうしても人間の判断が必要になる。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="5qmht-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="5qmht-0-0">
<span data-offset-key="5qmht-0-0"><span data-text="true">問題は、「誰が判断するか」ということ。誰もが勝手に暦に修正を加えると、暦が乱立して何が何だかわからなくなる。これでは暦の役に立たない。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="8hhm6-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="8hhm6-0-0">
<span data-offset-key="8hhm6-0-0"><span data-text="true">だから大陰太陽暦を作った中国は皇帝の権威で暦を制定した。毎年、修正が必要になる暦は、最高権威者が、彼が支配する地域で使われる暦を決めたわけだ。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="4218s-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="4218s-0-0">
<span data-offset-key="4218s-0-0"><span data-text="true">言い換えれば、皇帝は時間までをも支配したのである。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="f5l58-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="f5l58-0-0">
<span data-offset-key="f5l58-0-0"><span data-text="true">暦は元号とともに、権威の象徴でもあったわけだ。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="9kqvg-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="9kqvg-0-0">
<span data-offset-key="9kqvg-0-0"><br data-text="true" /></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="ekt9p-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="ekt9p-0-0">
<span data-offset-key="ekt9p-0-0"><span data-text="true">面白いのは、東アジアで使われていた暦は、ひとつではないということ。中国ではもちろん中国皇帝お墨付きの暦が使われていたが、周辺の国々ではそれぞれの支配者が決めた暦が使われていたという。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="fm9i9-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="fm9i9-0-0">
<span data-offset-key="fm9i9-0-0"><span data-text="true">朝鮮半島では主に中国の暦を輸入して使ってきたが、完全にシンクロしていたわけではない。日本は江戸時代まで中国の暦を使っていたが、やはり中国の暦とシンクロしていない。平安時代ぐらいまでは貴族が中国文化の輸入に熱心だったので比較的新しい中国の暦を使えたのだが、武士が日本を支配するようになって中国との交流が希薄になると、暦がアップデートされないまま、古い中国の暦法を江戸時代まで使い続けてきた。さすがに誤差が大きくなって、江戸時代に日本が独自開発した暦が使われるようになり、明治時代に暦法を太陽暦に切り替えるまで、国産の暦の使用が続いたという。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="d0kgt-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="d0kgt-0-0">
<span data-offset-key="d0kgt-0-0"><br data-text="true" /></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="dkqf2-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="dkqf2-0-0">
<span data-offset-key="dkqf2-0-0"><span data-text="true">東アジアをひとくちに「中華文化圏」というけれど、どんな暦を使っていたかによって、中国との関係がわかる。中国のオフィシャルな暦をそのまま使う地域が、まさに中国。オフィシャルな暦をモディファイして使ってれば、周辺国。別の暦を使っていれば中国とは無関係の国、ということになる。ちなみに日本の江戸時代の沖縄は、オフィシャルな中国の暦をモディファイした琉球暦を使っていたらしい。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="cebej-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="cebej-0-0">
<span data-offset-key="cebej-0-0"><br data-text="true" /></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="700gr-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="700gr-0-0">
<span data-offset-key="700gr-0-0"><span data-text="true">詳しいことは調べてみないとわからないけれど、江戸時代に日本が独自の暦を作成した頃は、ちょうど国学が誕生した頃だった。初の国産の暦だった貞享暦が制定された1685年は、契沖や荷田春満といった国学の先駆者が生きていた時代であり、長崎に出島が作られ西洋の文化が流入し始めた時代でもあった。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="7tmvv-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="7tmvv-0-0">
<span data-offset-key="7tmvv-0-0"><span data-text="true">中国という東アジアの強大な権力のソフトパワーの影響下にあった日本に、中国とは異なる西洋の価値があることを知り、それと並行して日本固有の古代の価値を再照明することを通じて日本人が自分たちのアイデンティティを確立していったんだろう。何百年も前の古臭い中国の暦を捨てて、自分たちの独自の暦を作ってもいい、作るべきだということに気が付いたのかもしれない。</span></span><br />
<span data-offset-key="7tmvv-0-0"><span data-text="true">この時、新しい日本製の暦は、当時、暦を管理していた江戸幕府が実施している。天皇は暦の改変について、何か建議されたのかどうかまでは知らないけれど、とにかく幕府がその時代の時間までを支配する最高権力者だったということ。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="143tf-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="143tf-0-0">
<span data-offset-key="143tf-0-0"><span data-text="true">「脱亜入欧」、「和魂洋才」なんて、明治になって作られたスローガンだと思ってたけれど、すでにこの頃から時代遅れの中国の影響から抜けだして、新しい日本的な価値を追求しようという動きが始まっていたわけだ。で、その新しい日本的な価値ってのが、まったくユニークなオリジナルではなく、中国やら西洋やら古来の日本のものやらのいい所をうまいこと組み合わせて作られたというのがいかにも日本的。今のメイド・イン・ジャパンに通じる発想なのかとも思う。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="a899m-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="a899m-0-0">
<span data-offset-key="a899m-0-0"><br data-text="true" /></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="3pk-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="3pk-0-0">
<span data-offset-key="3pk-0-0"><span data-text="true">日本では明治維新で尺貫法や大陰太陽暦といった古いスタンダードがすべて西洋式に変えられた。中国や朝鮮がどのような経緯で暦を切り替えたのか、ぼくは知らないけれど、今でも中国や韓国は民衆レベルで陰暦が生きている。日本ではよほどの年寄りか変人でなければ、そもそも陰暦とは何かさえ知らなかったりするのだが。想像するに、中国も韓国も、新しい太陽暦への切り替えを命じたのは皇帝や王ではない地べたの権力だったのに対して、日本は天皇の名で暦の切り替えを命じたからかもしれない。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="3prfu-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="3prfu-0-0">
<span data-offset-key="3prfu-0-0"><span data-text="true">それはともあれ、今、日本では国立天文台が陰暦の暦を決めている。中国や韓国も同じような組織が決めている。時間の支配権が絶対権威者から国民国家に移動したわけだ。もっとも、日本と北朝鮮だけは、絶対権威による年号が使われているあたり、両国の支配者と人民のルナティックなメンタリティを象徴していると言えそうだが。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="1vkqh-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="1vkqh-0-0">
<span data-offset-key="1vkqh-0-0"><span data-text="true">年号を除けば、時差などによる若干の誤差はあるものの、基本的には現在、東アジアで使われている陰暦の暦法は同じものらしい。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="9rt35-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="9rt35-0-0">
<span data-offset-key="9rt35-0-0"><span data-text="true">つまり、東アジアの</span></span><span data-offset-key="9rt35-0-0"><span data-text="true"><span data-offset-key="9rt35-0-0"><span data-text="true">土とともに生きてきた</span></span>非権威的な人民の間には、陰暦に関する限りほぼ共通のスタンダードがある。ようやく</span></span><span data-offset-key="9rt35-0-0"><span data-text="true"><span data-offset-key="9rt35-0-0"><span data-text="true"><span data-offset-key="9rt35-0-0"><span data-text="true">東アジアの人民は、国境を越え、</span></span></span></span>皇帝だの王だの天皇だのといった絶対権力の支配から「時間」を取り戻したのかもしれない。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="8l6hm-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="8l6hm-0-0">
<span data-offset-key="8l6hm-0-0"><br data-text="true" /></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="7futp-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="7futp-0-0">
<span data-offset-key="7futp-0-0"><span data-text="true">中国の七夕も、韓国の七夕も、したがって今年は太陽暦の8月9日の夜に行われる。日本でも仙台の七夕、青森のねぶたなどは旧暦の7月7日(の前後)に行われる。これら東北の土地は、朝廷の権威が及ぶのが遅れた土地でもある。</span></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="8gm3h-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="8gm3h-0-0">
<span data-offset-key="8gm3h-0-0"><br data-text="true" /></span></div>
</div>
<div class="" data-block="true" data-editor="bcje4" data-offset-key="a844f-0-0">
<div class="_1mf _1mj" data-offset-key="a844f-0-0">
<span data-offset-key="a844f-0-0"><span data-text="true">そんなことを考えながら、今年もやっぱり七夕星を見るのは8月9日にしよう、と思う。</span></span></div>
</div>
</div>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-77415815799049862842016-05-04T08:44:00.000+09:002016-05-07T10:32:52.215+09:00リッツ缶ロースターの使い方~いろいろ工夫してみる編そんなわけで、<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2016/04/blog-post_30.html">とりあえず編</a>に続いて、現在、実際にぼくがこのロースターをどう使っているかについて。<br />
とりあえず編では、リッツ缶ロースターにコーヒーの生豆(これ「なままめ」と読む)を入れて火にかければ15分ぐらいでコーヒーになる、と書いた。その通りで、このロースターなら特に神経を使わなくてもまずくて飲めないなんてことは絶対に無い。そうは言っても、やっぱりノウハウみたいなものがある。また、コーヒー焙煎のプロセスの各段階で、コーヒー豆がどう変化しているのかといった焙煎の基本的な知識があると、応用も効くというもの。ただし、ぼくは焙煎の専門家ではないので、特別に専門的、あるいはマニアックな内容ではない。シェフでも板前でもない素人がレシピサイトに投稿している「鶏胸肉をジューシーに仕上げる方法」だとか「サクサクのクッキーを焼くコツ」みたいな内容だと思っていただきたい。<br />
<br />
<a name='more'></a><br />
<h3>
チャフをどうするか</h3>
現実問題として、とりあえず編で書いた通りに焙煎すると、生豆を覆っている薄皮(チャフ)が舞い飛んでガスレンジの回りがチャフだらけになってしまう。特にナチュラルと呼ばれる方法で処理されたブラジルやモカなどの豆はチャフが多く、焙煎後の後始末がたいへん。<br />
また、深煎りにする場合はチャフが焦げて煙臭さの原因にもなる。プロが使う高価な焙煎機は、焙煎シリンダー内の空気を排気するようになっていて、空気とともにチャフも排出されるのだが、空き缶の場合は強制的な排気の仕組みがないため、焙煎の途中で剥がれたチャフが最後まで残ってしまうからだ。また、家庭での焙煎でも手網を使う場合はチャフの煙がこもらないが、空き缶の焙煎では煙臭さがこもってしまうようだ。<br />
もちろん浅煎りや中煎りぐらいならチャフが焦げて煙臭くなるというようなことはないが、冷却時に飛び散ったりするので始末が悪い。<br />
<br />
焙煎の途中でブロアで缶の中のチャフを吹き飛ばしたり、掃除機で吸ってみたりといろいろ試してみたけれど結局、焙煎する前に生豆を「研ぐ」ことにしている。生豆を洗っても、多少の細かいチャフは残るが、始末に困るほどではなくなる。<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; margin-left: 1em; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhHInXiZbCK9wbFUaKnYFwPUR6SyfqnyPjWFy-jev4uy5narfGH2qD5l3tsXEOodbZsZ577GotTXpXAt6pSPTlg8uKkAGUnbP1dBcb7OaeaONqLZ3g5FbrDKVLAahSpOW2B4wfks8gcgVPQ/s1600/WashGreenBeans.jpg" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhHInXiZbCK9wbFUaKnYFwPUR6SyfqnyPjWFy-jev4uy5narfGH2qD5l3tsXEOodbZsZ577GotTXpXAt6pSPTlg8uKkAGUnbP1dBcb7OaeaONqLZ3g5FbrDKVLAahSpOW2B4wfks8gcgVPQ/s200/WashGreenBeans.jpg" width="150" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">石鹸ネットに入れて洗う!</td></tr>
</tbody></table>
米を研ぐように、生豆を水で研ぐというと、「水を吸って豆がふやけてしまうのではないか」とちょっと気になるかもしれない。だが「ほとんど影響はない」と言える。<br />
もっとも、米を研ぐように水を入れてがしゃがしゃやるだけでは、なかなかチャフは取れてくれない。ぼくのやり方は、100円ショップ(100円ショップにはコーヒー焙煎に便利な雑貨が揃ってる!)で売っている石鹸ネットに1回分の生豆を入れて、水をかけながらがしゃがしゃと豆をこすりあわせる。こすりあわせる時間は20秒~30秒程度でいい。チャフは簡単に水を吸ってふやけて柔らかくなり、こすりあわせることで豆から剥がれ落ちてくれる。後は水を張ったボールで余計なチャフを洗い流し、金網で水気を切り、タオルで水分をざっと吸い取らせる。<br />
これを空き缶に投入して焙煎する、という次第。<br />
ただし、生豆は焙煎の直前に洗うこと。ちゃんと乾かせばいいのかもしれないけれど、不精してまとめて洗って置いておくと、生豆が水分を吸ってふやけてしまうようだ。<br />
洗った豆は、タオルで拭いても表面には水分が残った状態なので、乾いた状態の生豆よりも焙煎の時間は1分ぐらい長くなるが、コーヒーの味に影響するような変化はないと思う。もちろん、深煎りにした場合にチャフが燃えることによるいやな焦げ臭さがつかないというメリットはある。そして、それ以上に、焙煎中にチャフが飛び散らず、冷却時に舞い上がらないので、焙煎後の掃除が楽になるというのが最大のメリットである。<br />
<br />
もうひとつの方法は、カセットコンロやアウトドア用コンロを使って屋外で焙煎する方法。つまりチャフをそのへんに散らかしてもかまわん、という場所で焙煎する。もちろん、夏は暑いし、冬は寒い。飛んだチャフがお隣の洗濯物にへばりついたら文句を言われるかもしれないといったあたりも考慮しなければならないかもしれないが。<br />
<h3>
冷却はどうするか</h3>
火から下ろしたロースターの中の熱い豆は、できるだけ短時間で冷やさなければいけない。<br />
熱いままだと火から下ろしても焙煎が進んでしまうし、熱い状態で放置しておくとコーヒーの香味も抜けてしまうらしい(書いて気が付いたけど、熱いまま放置したことはないので本当に香味が抜けるかどうかはわからない)。<br />
<div style="text-align: right;">
</div>
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; margin-left: 1em; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhsKy0zOQAR9jq2LBjUTLY3ubYt8GnuMykY2A7QWUfDVf1fCKFZAZwq0mm21SzlffaDz58BCJ1v6P_LOPF9_yDqkQ1Ovjf_F1mLUQ02Cziy5uYOtunxZhEdHU5_AVECVp344tb_hgs1uD1S/s1600/Cooler.jpg" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhsKy0zOQAR9jq2LBjUTLY3ubYt8GnuMykY2A7QWUfDVf1fCKFZAZwq0mm21SzlffaDz58BCJ1v6P_LOPF9_yDqkQ1Ovjf_F1mLUQ02Cziy5uYOtunxZhEdHU5_AVECVp344tb_hgs1uD1S/s200/Cooler.jpg" width="150" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">サーキュレーターで冷却</td></tr>
</tbody></table>
とにかく、火から下ろしたらできるだけ短時間で十分に冷やす。<br />
浅くて広いザルなどにあけて扇風機やブロワー、あるいはうちわなどで冷風を当てる。<br />
<br />
ぼくはサーキュレーターに100円ショップで買ってきたプラスチックのゴミ箱と園芸用のふるいで簡単な冷却器のようなものを作って煎り上げた豆を冷やすために使っている。少量のコーヒー用冷却器なんてどこにも売っていないので自分で作るしかないが、工作が好きな人なら適当な箱とファンで専用の冷却器を作ってもいいと思う。個人的にはサーキュレーターで特に不都合はないので、わざわざ冷却器を作ろうとは思わないけれど。<br />
<h3>
焙煎プロセスの概要</h3>
さて、アルミ箔容器で作った蓋の使い方を説明しなければいけないんだけど、その前に、コーヒーの焙煎という作業について説明しておきたい。<br />
コーヒーの焙煎は、要するに茶色くなるまで生豆を加熱するだけの作業なのだが、生豆が茶色いコーヒーになるまでには、豆の中でメイラード反応やカラメル化をはじめ、極めて複雑な物理的・科学的な反応が発生しているんだそうな。単に焦がしているだけではなく、豆の中の化学物質に熱を加えることによってコーヒーの味のもとになる化学物質が作られるわけだ。<br />
コーヒーの焙煎技術というのは、豆に加えられる熱や加熱の時間をコントロールすることで、豆の中で発生する多くの反応の中で、好ましい香味を出す反応を促進し、好ましくない反応を抑制して、できるだけ多くのおいしい成分を作り、まずい成分ができないようにする技術だということができる。<br />
アルミの蓋も、焙煎のプロセスにおけるそうした複雑な反応を制御するための道具なので、焙煎プロセスの概要を知れば、上手に蓋を使えるようになるはず。<br />
<br />
というわけで、コーヒーの焙煎のプロセスだが、だいたい次のような段階があると言われている。<br />
<ul>
<li> 水抜き: 冷たい状態の生豆を加熱して生豆に含まれている水分を蒸発させる段階。数分で緑色の豆が白っぽくなり、生臭いようなにおいがして、そのうちうっすらと黄色く色がつき始める。この段階ではムラなく均等に水分を飛ばすようにする。</li>
<li>水抜きから1ハゼまで: 豆の温度を上げる段階。水分がほぼ抜けてきたらどんどん豆に色がついてきて、香ばしいにおいがしてくる。この段階では生豆の成分が反応してコーヒーのおいしさの「もと」になる化合物ができ始める。</li>
<li>1ハゼ: 加熱が進むと豆の中でガス(炭酸ガス?)が発生し、豆が膨らんでハゼる。この段階から、コーヒー特有の味や香りの成分を作る反応が始まる。1ハゼが始まったあたりをシナモンローストと呼び、酸味が強く、苦味やコク、香りは薄い。飲めなくはないが、はっきり言っておいしくない。</li>
<li>1ハゼ終了から焙煎終了まで: この段階では連続的にコーヒーの味を決める成分が生成されたり、消滅したりする。コーヒーの味を決める重要な段階だ。1ハゼのあたりから煙が出てきてあたりはコーヒーの香ばしいにおいでいっぱいになる。1ハゼが終わったあたりで、すでに生豆は「コーヒー豆」になっているのだが、ここからの焙煎でコーヒーの酸味、苦味、甘み、コク、香りなどが変わってくる。おおざっぱな傾向は、1ハゼが終了した後は酸味が強く、豆の色が濃くなるにつれて酸味が消え、苦味が強くなる。</li>
</ul>
<h3>
蓋の使い方</h3>
というわけで蓋の使い方なんだが…正直なところ、蓋の有無はそれほど大きな影響はない。<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; margin-left: 1em; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEirLUUWrLvdbx4hseg75bopjGiEoO58h9zP7t62EhQIb9aWJhFYDw2TW1BK0TQsm9K-OEjGB8quVY2kZjij4C8KcIRBD3TaqikGeCIzkgA_NFtJmvt5VW2Wnm4KGIM1nOmAZYZ2PuMo2UK-/s1600/Roaster-Lid.jpg" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEirLUUWrLvdbx4hseg75bopjGiEoO58h9zP7t62EhQIb9aWJhFYDw2TW1BK0TQsm9K-OEjGB8quVY2kZjij4C8KcIRBD3TaqikGeCIzkgA_NFtJmvt5VW2Wnm4KGIM1nOmAZYZ2PuMo2UK-/s200/Roaster-Lid.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">穴の大きさが異なる蓋</td></tr>
</tbody></table>
この蓋は、缶の底面に開けた穴から取り込まれる熱気の量をコントロールする目的で作ったものの、プロの焙煎機のような強制的な排気の仕組みがないため、コントロールできる熱気の範囲はそれほど大きくない。むしろ缶内部の空気の温度を均一にする作用の方が大きいようだ。つまり大きく開いた缶の上部から比較的低い温度の空気が入りこむことを防ぐ。<br />
このほか、蓋の副次的な効果としては、ガンガン缶を振っても豆が飛び出さない。ちなみに、蓋の穴が小さいと、缶の中が見えなくなって、焙煎の進行を見るためにいちいち蓋をはずさなければならなくなる。<br />
<br />
これまで使っていた底面の穴が少ないロースターでは、最初の1分ぐらい、つまり水洗いした生豆の表面についた水分がなくなるぐらいまでは蓋をせずに強火で加熱し、その後で蓋をする。しばらくその状態で加熱を続け、そろそろ1ハゼというタイミングで蓋を取り外して、そのまま最後まで蓋をせずに焙煎する、というパターンで使っていた。基本的には均等な水抜きを助け、焙煎のムラが少なくなる。<br />
ただ前に作り方を書いた新しいロースターは、7ミリの穴が85個と、かなり開口部の割合が大きいので、缶の中に入ってくる熱気の量も多くなっている。蓋の有無による影響も小さくなっているような気がする。この新しいロースターは、まだ使い始めたばかりなので、実は自分でもどういう使い方をすればいいんだか、よくわかっていないのだが、まあ、蓋を使うとすれば大筋としては上記のパターンでいいはず。現在のところ、大きな穴を開けた蓋と、小さな穴の蓋の二種類を使って試行錯誤しているところなのだが、手間をかけた割にはあまり味に変化はないかなあ…という気もしないでもない。めんどくさければ、前に説明したように、蓋を使わず全開で煎り上げてしまってもいいと思う。<br />
なお、1ハゼの後で煙が上がっている場合は、蓋をつけると煙臭くなるようだ。スモーキーなフレーバー、なんて言えばカッコいいけど、要するにまずいコーヒーになる。1ハゼ後は蓋は取ってしまったほうがいい。<br />
<h3>
温度の調節</h3>
いくらコントロールの仕組みがない空き缶ロースターでも、火の強さは調節できるし、調節してやらなければいけない。<br />
普通の家庭用レンジやカセットコンロなら、1ハゼまでは強火でいい。水洗いした生豆の水気を飛ばすまではできるだけ炎に近付けて加熱し、水気がなくなったら強火のまま少し炎から離す。1ハゼからはさらに炎からの距離を遠くする。ガスレンジのつまみで火力を絞ることもできるが、炎からの距離で調節したほうが再現性はいいと思う。<br />
ぼくの場合は、1ハゼまで10分前後、1ハゼが1分少々続いて、1ハゼが終わってから2ハゼまで2分から3分程度を目安にしているが、使っているガスレンジの火力や缶の底に開けた穴の大きさや数、焙煎する生豆の量、生豆の種類、焙煎度などによって、最適な火力は変わってくる。どんな焙煎でも、このロースターならまずくて飲めないという失敗はないので、あれこれ試してみてほしい。(以前、手網のロースターを使っていた時には、失敗するとひどい味のコーヒーになって「ゲー、まずい…」とかつぶやきながらも、もったいないので飲んでたなんてことがあった。)<br />
<br />
なお、火力の調節がめんどくさければ、とりあえず強火で最後まで煎り上げてもかまわない。それでも十分、おいしいコーヒーになる。でも、それではあまりにも単純作業になってしまって面白くない。どうせ自家焙煎をやるんだったら、何か芸のひとつもやってみたくなるというものだ。マニアっぽく「ケニアの豆だからね、華やかな柑橘系の香りを強調するように焙煎したんだ」なんてセリフとともにコーヒーを出したらカッコいいんじゃないかと思ったりしない?<br />
そんなマニアックな焙煎が実際にできるかどうかは別として、 最初に火力をやや絞って水抜きの時間を長くしてみたり、水抜きから1ハゼまでの時間、1ハゼの後の時間を長くしたり短くしたりしてみると、うまくいくと「おっ、これはすごいコーヒーだ」と思うようなコーヒーができたりもする。<br />
ただしなにしろ空き缶ロースターなので、無数の焙煎のパラメーターを十分コントロールすることができない。すごいコーヒーができた時と同じように焙煎しても、同じようにできるとは限らないのだ。そのへん、数百円のロースターでは逆立ちしたって数百万のプロ用焙煎機にかなうわけがない、という常識的な事実を思い出してほしい。<br />
とにかくおいしいコーヒーが飲みたいから自分で焙煎するわけだ。だから、あまり精密な火力の調整だの、排気の調整だのというめんどくさいことは考えず、新鮮なコーヒーのおいしさを楽しむことを第一に、その上で自分なりにいろいろ工夫することを楽しむ方が健康だと思う。yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-89327822870174882382016-04-30T07:21:00.001+09:002016-04-30T07:26:21.873+09:00リッツ缶ロースターの使い方〜とりあえず焙煎編ロースターの作り方を載せたので、今度は使い方の説明。<br />
…と言っても、この「とりあえず焙煎編」では難しいことは考えない。<br />
生豆をカップ1杯(約150g)ぐらいロースターに入れて、ガスレンジの火にかけ、ひたすら缶を上下にがしゃがしゃと振り続けるだけ。豆がおいしそうな色になったら火からおろしてザルなどに豆をあけてファンやうちわなどで冷やす。<br />
これでオシマイ…なんだけど、これだけではあまりにも説明としては不親切なので、もう少し詳しくぼくの使い方を書いておこう。<br />
<br />
<a name='more'></a><br />
まず、ガスの強さは、最初は強火。今回は蓋は使わない。せっかく作ったのに…と言う人は次回に使い方を説明するので捨てないように。<br />
さて、缶を火にかけて振っていると、何だか生臭いような匂いがしてきて、缶の中の生豆がだんだん白っぽくなってくる。この段階は「水抜き」と言って、生豆の水分を飛ばす工程。この段階で、豆の表面だけでなく、内部にも十分熱を伝えて均等に水分を飛ばすことが重要で、銀杏を炒る時に使うような焙煎器を使ったいわゆる「手網焙煎」では、これがなかなか難しい。缶を使ったローストだと、缶の中に充満した熱気で水を抜くことになるので、めんどくさいことを考えなくてもそこそこうまいこと水抜きができる。<br />
<br />
4分〜5分ぐらいで生豆を覆っている薄皮(チャフ)が剥がれてくる。自宅で焙煎すると、このチャフが飛び散ってえらいことになるんだけれど、対策はやはり次の回で。<br />
もし2分~3分ぐらいでこの状態になるようなら、火力が強すぎる。6分以上かかるようなら火力が弱すぎる。数回、焙煎をして各自、自宅のレンジを目一杯強火にした時、4分~5分でこの状態になるように火から缶の底面までの距離を把握していただきたい。<br />
とにかく、このあたりからロースターの穴から出たチャフのかけらが火花のようにチカチカしはじめる。白っぽくなっていた生豆も何となくベージュ色から黄色っぽくなってくる。水抜きの段階では何だか生臭いような匂いだったのが、ちょっと香ばしい(けれどコーヒーの香りではない)匂いになってくる。<br />
強火のままで缶を振り続けて、豆の温度を上げていこう。豆の色はベージュ色から黄色、薄茶色と変化していくはず。<br />
<br />
そのうちに缶からうっすらと煙があがりはじめ、8分~10分ぐらいで缶の中の豆が「パチッ!」という音がして爆ぜる。これが「1ハゼ」と呼ばれる現象で、最初に「パチッ!」という音がしてからすぐ連続的に「バチバチ」とにぎやかに豆が爆ぜる音が聞こえてくるはず。<br />
もし1ハゼが5分~6分ぐらいだったら、やっぱり火が強すぎる。15分経っても1ハゼがこないようなら火が弱すぎる。<br />
連続的にバチバチとハゼが始まったら、若干火から缶の底面までの距離を離すか、火力を少し絞るといい。1ハゼが始まってから1分程度で連続的なハゼが終わるように火力を調整する。使っているガスレンジによって、どの程度に調整すればいいかは変わるが、数回焙煎してみればわかってくると思う。<br />
<br />
1ハゼが終わるあたりで、豆はコーヒーとして飲める状態になっている。この時点で焙煎を終了すると、ミディアムロースト(浅煎)と呼ばれる焙煎度のコーヒーになって、酸味が強いあっさりした味のコーヒーになる。<br />
ここからさらに缶を火にかけて振り続けると、缶の中の豆の色がだんだん濃くなってくる。<br />
1ハゼの後1分ぐらいでハイロースト(中煎)。酸味がやや少なくなって、苦味も出てくる。<br />
さらに焙煎を続けると、2分ぐらいで今度は「ピチッ」という音が聞こえるはず。これが2ハゼというやつで、1ハゼよりも軽い音になる。このあたりになると、豆からかなりの煙が出始めているはず。 <br />
<br />
1ハゼ終了から2ハゼ開始までが1分半~3分ぐらいになるように火力を調整するといいのだけれど、これはもう何回か焙煎をして適当な火力をつかむようにするしかない。何しろ空き缶ロースターなので、温度をコントロールするためのノブやつまみがついているわけではない。ガスレンジの炎を調節するか、火からの距離を調節するか。<br />
1ハゼから2ハゼまでの間の温度調節によってコーヒーの味は変わるのだけど、最初はあまり温度の調節のことを気にせず、とにかく1ハゼで火力を絞ったら、そのまま焙煎を最後まで続けるというのがいいかもしれない。<br />
<br />
2ハゼが始まるまでがシティロースト(中深煎)。酸味が少なくなって、苦味が強くなってくる。<br />
ペーパードリップで飲むコーヒーなら、ハイローストからシティローストぐらいが一般的だと思う。<br />
もっと苦いコーヒーが好きなら、さらに焙煎を続けよう。火力はさらに絞る。<br />
<br />
2ハゼがにぎやかに「ピチピチ」と始まったあたりがフルシティロースト(深煎)。さらに苦味が強くなるが、多少酸味も残っている。ぼくが好きなコーヒーはこのあたりの焙煎度で、ペーパードリップでもよし、エスプレッソでもよし。豆の色は濃くなっているけれど、まだ濃い茶褐色。<br />
ここまでで焙煎開始から10分~15分ぐらい。 <br />
<br />
さらに焙煎を続けると、2ハゼが終わる。2ハゼが終わるあたりの段階がフレンチロースト(極深煎)。苦味の強いコーヒーで、酸味はほとんどなくなり、豆の色もコーヒー色というより黒に近くなって、煙ももうもうと上がっている。アイスコーヒーや、カフェラテみたいにミルクと合わせるコーヒーならこのあたりまで焙煎してもいい。<br />
<br />
それでもさらに焙煎を続けると、豆の色は黒くなって、煙も盛大に上がってくる。そのうち豆が焦げて炭になって、もはやコーヒーとは言えないものになるのだが、炭になる前に焙煎を止めるとイタリアンロースト。ひたすら苦いコーヒーになる。豆の個性なんてものは煙とともに飛んでしまう。それでもまだ炭ではなく、コーヒーはコーヒーなので、コーヒーの味はする。マンデリンのように苦味がおいしいコーヒーは、これぐらいまで煎り込んでも悪くない。またコーヒー牛乳みたいな飲み物や、コーヒーゼリーやティラミスのように、コーヒーの苦味を楽しむスイーツに使うにも適当。<br />
<br />
どの段階で焙煎を終了するかは各自のお好み次第。焙煎度ごとの特徴や豆の色あいについては、たとえばUCCコーヒーの<a href="https://www.ucc.co.jp/enjoy/brew/roast.html" target="_blank">焙煎のページ</a>などを参考にしていただきたい。<br />
焙煎を終了するときは、火を止めてすぐに缶の中の熱々の豆を大きめのザルなどに移し、扇風機などでできるだけ早く冷ます。熱いままで置いておくと、その状態で焙煎が進み、味も抜けてしまうので「できるだけ早く冷ます」ことが重要だ。<br />
このとき、扇風機の風をあてると、豆とともに出てきた缶の中のチャフが舞い上がって、なかなかすごい状態になるかもしれない。…いや、確実にすごいことになる。掃除機をスタンバイさせておくといいが、焙煎前にチャフを洗い流してしまうという方法もある。これについては次回。<br />
<br />
焙煎直後のコーヒーは、飲んで飲めないことはないけど、思ったよりおいしくない。コーヒー豆は鮮度が重要、煎りたての豆が最高、なんていうけれど、実は焙煎してから2日~3日経ったあたりからおいしくなる。1週間ぐらい経つとだんだん味や香りが落ちてきて2週間ぐらいが限度。その後はコーヒーとは異なる何か苦い飲み物になる。<br />
豆が冷えたら、適当な容器に入れて2日~3日そのまま常温で置いておこう。よくコーヒー豆を冷凍庫に入れて保存するなんて人がいるけれど、その必要はない。そもそも焙煎したコーヒーは長期間保存するようなものじゃない。だからこそ、1週間以内に飲みきれる程度の量を自宅で焙煎することに意味があるってものだ。<br />
<br />
空き缶で焙煎したコーヒーも、新鮮なうちはプロが焙煎したコーヒーに負けないぐらいおいしい。<br />
もちろん、プロの焙煎に勝つというわけにはいかないけれど、いい加減な喫茶店で出てくるようなコーヒーよりは格段においしいはず。なにしろ新鮮なコーヒーは、味も香りもすばらしい。その上、自分の好きな豆を自由に選んで、好きな味に煎り上げることができる。作り方の説明のところにも書いたけれど、コーヒー屋に並んでいる焙煎豆は無数の種類があるようでも、「この味のコーヒーがほしい」と思って探すと案外見つからなかったりする。<br />
<br />
プロが使う焙煎機は数百万もする。数百円の空き缶焙煎器とはずいぶん違う。しかしその違いはコーヒーを飲む側よりは、コーヒーを売る側の都合という部分が大きい。数百万と数百円の違いほどに「おいしさ」に違いはない。そもそもコーヒーの焙煎なんて生の豆を加熱するだけ。まあ調理のプロセスとしては焼き芋みたいなもので、専門的に焼き芋を作るなら石焼グリルがいいかもしれないけど、家庭のガスレンジやオーブンで焼いても十分おいしい焼き芋が焼ける。コーヒーだって同じで、数百万のロースターじゃなくても、鍋があれば焙煎はできる。ただ、鍋だと均一に、適当な時間内に焙煎するのが難しいというだけで、そのへん、穴あきの空き缶でやるとうまくいくということで、基本的な焙煎の原理は、数百万のロースターでも数百円のロースターでも同じ。<br />
当然、違いがわかるハイエンドのコーヒーマニアだったら、あるいは味が薄いとか、香りが少ないとか、文句を言うかもしれないけれど、幸いなことにぼくはその種のコーヒーマニアではなく単なるコーヒー好きなので、毎日普通においしいコーヒーが飲めればハッピーである。思った通りに焙煎できなくても、「あ、こういう味も悪くない」と思って飲めばそれまで。普通のコーヒー好きなら、新鮮なコーヒーならではのおいしさを十分に堪能できれば何の問題もないと思う。<br />
そんなわけで、普通においしいコーヒーを飲みたいというのなら、あまり難しいことは考える必要はない。しかしこのリッツ缶ロースターでも、ここに書いた内容ばかりでなく、火力や時間、蓋の有無などを工夫することで、さらに一段階上のコーヒーにチャレンジすることもできる。<br />
次はそのへんの工夫をまとめてみることにしよう。yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-74460495494990874182016-04-29T07:47:00.001+09:002016-04-30T13:22:38.341+09:00簡易コーヒー・ロースターもうずいぶん前のことだけど、ぼくがエスプレッソを飲み始めた頃、エスプレッソ用のいいコーヒー豆を入手することが難しかった。別にエスプレッソ用と言っても特別な豆ではなく、普通のコーヒー豆でもエスプレッソで飲めるのだが、そこは好みというものがある。深煎りならいいってもんじゃないけど、ドリップを想定した焙煎度の豆だとちょっと浅い。好みの焙煎度の豆を見つけても、味が気に入らないとか、まあ、とにかくあれこれのコーヒーショップを回って探したりもした。ところが、「これだ!」と思うような豆はなかなか見つからない。<br />
そんなある日、韓国の友人が「それなら自分で焙煎すればいい」という。簡単だから、というので、それじゃ、とばかりにコーヒー屋で金網の焙煎器を買ってきて自分で焙煎してみたら、ホントにそこそこ満足できてしまう。高級な豆屋で高い値段の豆を買わなくても、自分が必要な時に好みの味のコーヒーが飲める。少なくとも、それ以来、ぼくはコーヒーは自分で焙煎するようになった。<br />
最初のうちはいわゆる「手網焙煎」というやつでやっていたのだけど、ネットで<a href="http://www.flavorcoffee.co.jp/flavor3.html" target="_blank">ミルク缶を使って焙煎器を作る方法</a>を見つけた。なかなか良さそうだったのでミルク缶と同じようなサイズのリッツ缶を使ってやってみたところ、具合がよろしい。手網よりいい感じに焙煎できる…のだけど、使っているうちに音がうるさいとか、自宅のガスレンジの温度検知器が作動して火が小さくなるとか、熱量が足りないとか、それなりに不満も感じるようになった。<br />
<br />
<a name='more'></a><br />
<br />
そんなわけで、ミルク缶ロースターを自分なりに改良して作ったのがこのリッツ缶ロースター。<br />
なぜリッツ缶かというと、別に意味はない。ミルク缶でもいいと思う。知人から災害用保存食として備蓄しているリッツの空き缶で、捨てるはずのものをもらってきたというだけの話なんだが。<br />
オリジナルのミルク缶ロースターとの違いは、穴を大きくしてより多くの熱を取り入れられるようにしたこと、穴を大きくしたことで豆が落ちないように缶の内部に金網を入れたこと、熱が逃げないように蓋を作ったこと、取っ手の工作を簡素化したこと。<br />
雰囲気としては、缶の中に手網を入れたというような感じで、均一に熱を加えられないという手網焙煎の難しいところを解消することができる。金網のクッションがあるのでオリジナルのミルク缶ロースターより音が静か。蓋をつけたことで熱が逃げないようになり、煙が出てきたら取り外せるので煙臭くもならない。<br />
そんなわけで、扱いやすくて浅煎りでもムラになりにくく、深煎りでもすっきりした感じに煎り上げることができるという、なかなか具合のいい焙煎器なのだ。<br />
<br />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjnkLBhv-jqR_4K8WpiLK_LSWm7q7VZdjm8Dk8wwuqQiSmIN5oJ7bRAsj52DooufUC4mg8cXPZUp16JEzwuSuYP14tBf4h_xd7xWBFLPr9TRG1vM9bxEEj9WhKekmffEfO7KbKv1ghRCY6f/s1600/00_old_version.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjnkLBhv-jqR_4K8WpiLK_LSWm7q7VZdjm8Dk8wwuqQiSmIN5oJ7bRAsj52DooufUC4mg8cXPZUp16JEzwuSuYP14tBf4h_xd7xWBFLPr9TRG1vM9bxEEj9WhKekmffEfO7KbKv1ghRCY6f/s200/00_old_version.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">これまで使っていたリッツ缶ロースター</td><td class="tr-caption" style="text-align: center;"><br /></td></tr>
</tbody></table>
<br />
最初にこのロースターを作ったのはもう5年以上前。オリジナルのミルク缶ロースターは柄の工作がちょっとめんどくさいのだけど、100円ショップの安物のポテトマッシャーで柄を作って針金で縛り付けてみた。これで外れないかと、なんとなく不安だったのだけど、5年間使い続けても全然問題ない。たぶん、まだ当分は使える。 <br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi-gGSHDxL9S5V-FLNwQEoDQg1mevrZOQEFsUSTCkv2PuPYwAZblsLj-DhW8DUC4SuROcHHBoTtgXG8mdGJJNLo4s3wAomfzv9_rsDzhLeI0LiK_ZTb_9cZtMGgW1x_KRZvwCkztmWABx2i/s1600/00_old_version_inner.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi-gGSHDxL9S5V-FLNwQEoDQg1mevrZOQEFsUSTCkv2PuPYwAZblsLj-DhW8DUC4SuROcHHBoTtgXG8mdGJJNLo4s3wAomfzv9_rsDzhLeI0LiK_ZTb_9cZtMGgW1x_KRZvwCkztmWABx2i/s200/00_old_version_inner.jpg" width="150" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">中はこんな感じ</td></tr>
</tbody></table>
缶の中に入れた金網も100円ショップの金属ザル。いい加減に針金で止めてあるだけなのだが、これも長い間使っているけれど全然問題なし。<br />
というわけで、新しく作る必要もないのだが、もう少しコーヒー豆に熱をかけたいような気がして、底面の穴を多くしたバージョンを作ってみた。<br />
新しいロースターの穴の総面積は最初のリッツ缶ロースターの倍以上になっているので、それだけ多くの熱を内部に取り込むことができる。<br />
それと、「コーヒーの焙煎器の作り方を教えろ」というリクエストがあったので、新しいやつを作って、ブログにまとめてみることにしたという次第。材料さえ揃えれば、数時間で完成する。 <br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj0tRLIQ1d-mz6TmWBPFtvdssqKLfDMmcln0XSBPdLfKpn2fhctUhnNlRgmEStud00DE9RFYMEohKGC91Q62Oko_8iJTGZFzW7DreVprrNPneCaZUmYzXn5Mg1fFXlWur-IrMBigkmigM_x/s1600/01-material.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEj0tRLIQ1d-mz6TmWBPFtvdssqKLfDMmcln0XSBPdLfKpn2fhctUhnNlRgmEStud00DE9RFYMEohKGC91Q62Oko_8iJTGZFzW7DreVprrNPneCaZUmYzXn5Mg1fFXlWur-IrMBigkmigM_x/s200/01-material.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">材料は空き缶と100円ショップで買った雑貨など</td><td class="tr-caption" style="text-align: center;"></td></tr>
</tbody></table>
さて、材料が必要なものは、本体になるリッツの空き缶、100円ショップで買ってきたポテトマッシャー、小さめの金属ザル、使い捨てアルミ食器。この他に柄に巻きつける布切れと針金など。必要な工具は金槌とドリル、ペンチ程度。ドリルがなければなくてもかまわない。材料代は数百円といったところだ。<br />
なお、リッツの空き缶ではなくても、直径13センチぐらい、容量が2リットルぐらいのスチール缶であれば何でも使える。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhF8VpZ5p8ASD44xBe8GOnEAFUcH0VQVYBQ4bQwPl-2stBl8CI2muboZ3RCS49CC7cD8Jc2ZvYfO1FH0ek9bUIWe5ghYjaL0d2YUTGHIGnHoO_icDk9ZBxsdR6natt_3shxK1k4nkBXhJZS/s1600/02-grid-paper.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhF8VpZ5p8ASD44xBe8GOnEAFUcH0VQVYBQ4bQwPl-2stBl8CI2muboZ3RCS49CC7cD8Jc2ZvYfO1FH0ek9bUIWe5ghYjaL0d2YUTGHIGnHoO_icDk9ZBxsdR6natt_3shxK1k4nkBXhJZS/s200/02-grid-paper.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">穴開けに使う型紙</td><td class="tr-caption" style="text-align: center;"><br /></td></tr>
</tbody></table>
最初の作業は缶の底に穴を空けるための型紙作り。<br />
別に型紙なんか作らなくても適当に穴を開ければよさそうなもんだけど、あまり穴の位置が不揃いだとアレなので、適当なグラフィックソフトで穴のバターンを作って印刷し、これを型紙にする。
<br />
穴の配置はもちろん自由だが、今回は一般的なハニカム状の配置にすることにした。ちなみに最初のバージョンでは放射状だったのだが、放射状だとどうしても周辺部が疎になってしまう。<br />
自分で型紙を作るのがめんどくさい人は、ぼくが作ったファイルを使ってください。<a href="https://drive.google.com/open?id=0B_720u34qxDHQWttbWRTSjFsVmc" target="_blank">ハニカムパターン(PDF)</a> <a href="https://drive.google.com/open?id=0B_720u34qxDHWXdEQldHUmNoNW8" target="_blank">ラジアルパターン(PDF)</a> <br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiJrwDzEefAp8KfKdJ_u-0vlJY8N0-Y9EcYHr9x5d1Eni28VbapP0lkju_sS4peRB3Yc8BDBxMK9AT03hhFnb1VnmIVv3_O4FGLqJbpHZc0nNzK4N2CQWQFXIHLv-d0jVUCg8KmpUPHn4Rq/s1600/03-set-paper.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiJrwDzEefAp8KfKdJ_u-0vlJY8N0-Y9EcYHr9x5d1Eni28VbapP0lkju_sS4peRB3Yc8BDBxMK9AT03hhFnb1VnmIVv3_O4FGLqJbpHZc0nNzK4N2CQWQFXIHLv-d0jVUCg8KmpUPHn4Rq/s200/03-set-paper.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">底面に合わせて切りテープでとめる</td></tr>
</tbody></table>
型紙を缶の底に合わせて丸く切って、セロテープで止める。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEh-tqNyGPdcSqiLCv55M-Pb4OWSRDb_Hf004OzUcYUqGbiTdyDiUxvCiHM3GI2VDNsFzC4JWm2hb8ZRl5Mz-Es2Ak4ff9KZVqOTE0g-3Xd0ba50gCaLXWbope8MQz9T9yFmAT8vlg2uNDjy/s1600/04-drive-a-nail.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEh-tqNyGPdcSqiLCv55M-Pb4OWSRDb_Hf004OzUcYUqGbiTdyDiUxvCiHM3GI2VDNsFzC4JWm2hb8ZRl5Mz-Es2Ak4ff9KZVqOTE0g-3Xd0ba50gCaLXWbope8MQz9T9yFmAT8vlg2uNDjy/s200/04-drive-a-nail.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">釘で穴を開ける</td></tr>
</tbody></table>
型紙を貼ったら穴あけに入るのだが、いきなりドリルで穴を空けるより、最初に案内用の小穴を開けた方が作業しやすい。<br />
というわけで、ちょっとひと手間かかるけど、型紙に合わせて釘で小さな穴を開けよう。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhiZIQTD0gucgbEmI3lFOveS7KNwSeC_VHt9oorImYm2ve6_mJlXB-g_EDlzKW0Ecttwtsd7fcb9J2WCCFmyybCz5luIvGBCwK-3gnOxb35dnV-1fNcYc1faIVra8bT3HoQFIKBGnxuMAfN/s1600/05-holes.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhiZIQTD0gucgbEmI3lFOveS7KNwSeC_VHt9oorImYm2ve6_mJlXB-g_EDlzKW0Ecttwtsd7fcb9J2WCCFmyybCz5luIvGBCwK-3gnOxb35dnV-1fNcYc1faIVra8bT3HoQFIKBGnxuMAfN/s200/05-holes.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">こんな感じになる</td></tr>
</tbody></table>
穴を開けたら型紙を取る。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgveIJtRO3P4y_gS3jM1RMLRba7OpLCjzFP_awZqXGv4tbQOpfvmKBl9wsHdNT8BZdynvh8FwhG-rS8eSFcypK0BM5nnUgUB7GSYPmBQDZDPPBgtErDhbtVT4qiy2cQDGfr0cPPxh9T4HeY/s1600/06-enlarge-the-holes.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgveIJtRO3P4y_gS3jM1RMLRba7OpLCjzFP_awZqXGv4tbQOpfvmKBl9wsHdNT8BZdynvh8FwhG-rS8eSFcypK0BM5nnUgUB7GSYPmBQDZDPPBgtErDhbtVT4qiy2cQDGfr0cPPxh9T4HeY/s200/06-enlarge-the-holes.jpg" width="150" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">ドリルなどで穴を広げる</td></tr>
</tbody></table>
太いドリルで穴を広げる。<br />
もしドリルを持っていなければ、太いドライバーなど、ある程度の太さの金属棒を金槌で打ち込んで穴を広げればいい。太いドライバーがなければ、五寸釘を使ってもいいけど、その場合、穴の開口面積が小さくなるので穴の数を増やす。<br />
ちなみに、今回開けた穴の大きさは直径7ミリ。穴の数は85個。 <br />
穴の大きさはどれだけ熱を内部に取り込むかに関係するので、たぶん厳密にやれば最適な数と大きさというのはあるんだろう。しかしそこまで考えなくてもおいしく焙煎できてるので、直径2ミリから8ミリぐらい、適当でいいんじゃない?<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjKASc5Tny0E9m72fDAiulKXNrVmewT2EtFD_XZxOPNkVRFRxRMGLyKvAyGXClGEpmOYd1Mtj3kFL0rwU7p3Zxw23DNCY909ZPQGb2xVlF22mo9UwgAFNoUt7a-oyvbUR4tj4vHD2bGIge2/s1600/07-colander.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjKASc5Tny0E9m72fDAiulKXNrVmewT2EtFD_XZxOPNkVRFRxRMGLyKvAyGXClGEpmOYd1Mtj3kFL0rwU7p3Zxw23DNCY909ZPQGb2xVlF22mo9UwgAFNoUt7a-oyvbUR4tj4vHD2bGIge2/s200/07-colander.jpg" width="150" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">内部に入れる金網</td></tr>
</tbody></table>
次に缶の中に金網を煎れる。使う金網の材料はやっぱり100円ショップのステンレス製金属ザル。<br />
このままではわずかに大きくて缶の中に入らないので、縁の金属枠をはずさなければならない。<br />
うまく枠を縮めることができれば、そうしたいところではあるのだが。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhHZHxppE0Ifdw1wrfwVFAnQsaOOdKW0qRD7DQFjwgkZxzgCTIbI-g_2t3OkZMsBgUXwjT9vqrP3yT9igfLpVG3YZERjl7m1lT-lwJwqZPzWY1MSoxtZ3kIfXNM0IOBpS_Gn7y1NIVbOUwK/s1600/08-remove-rim.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhHZHxppE0Ifdw1wrfwVFAnQsaOOdKW0qRD7DQFjwgkZxzgCTIbI-g_2t3OkZMsBgUXwjT9vqrP3yT9igfLpVG3YZERjl7m1lT-lwJwqZPzWY1MSoxtZ3kIfXNM0IOBpS_Gn7y1NIVbOUwK/s200/08-remove-rim.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">縁を取る</td></tr>
</tbody></table>
枠は金属板を巻きつけてある。<br />
金属板の端の部分から、ペンチで縁の接合部を緩めていく。<br />
作業中に金属板の縁で手を切らないように、できれば軍手などをして作業するといいだろう。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgeKNwjmHb7n3roQOQbX7gQeEuDAc5DO3ThHWSJuAaDHf-BtwgiVP1QAK_a7ZzYNs16eJZ0yyGusuC-h7vDOdCvgAzqT6PA-WsjD6RiZTRd_a4Br7eD6BRyVkT8x27Dd9mRSwKwpRiebKjy/s1600/09-remove-rim.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgeKNwjmHb7n3roQOQbX7gQeEuDAc5DO3ThHWSJuAaDHf-BtwgiVP1QAK_a7ZzYNs16eJZ0yyGusuC-h7vDOdCvgAzqT6PA-WsjD6RiZTRd_a4Br7eD6BRyVkT8x27Dd9mRSwKwpRiebKjy/s200/09-remove-rim.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">かしめられている金属枠を取る</td></tr>
</tbody></table>
緩めていくとだんだんはずれてくる。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgY2PbqQv4VPK0vUo51gMvo_D-mjCJN8I4QdFCAfncIn9N4actoJh7yx96UhiAig9yRSL2GPAT8N6P2qjplTt5r849fYSxTm5tkWSfglEQRaWYg6xBiYd6sB-abdTqgZDbBMt_HKJovFQ73/s1600/10-removed.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgY2PbqQv4VPK0vUo51gMvo_D-mjCJN8I4QdFCAfncIn9N4actoJh7yx96UhiAig9yRSL2GPAT8N6P2qjplTt5r849fYSxTm5tkWSfglEQRaWYg6xBiYd6sB-abdTqgZDbBMt_HKJovFQ73/s200/10-removed.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">縁を取るとこんな感じになる</td></tr>
</tbody></table>
で、こんな感じで金網の部分だけになる。<br />
日曜大工センターあたりにいけば、これぐらいのメッシュの金網を売ってるかもしれない。もし金網だけが手に入れば、枠を外す作業をせず、金網を金属用の鋏などで丸くカットすればそちらの方が楽かもしれないとも思う。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgW27_4D6Z8owNGazVJnZeIJXrDCVqN7mqhOXXC8Sdjbh__wW0pBOivuiTy0F2qitODbMtQN9oNbw7N8xffOMYZfjku9Fq9PWiXL5eP6y9TFRzvFUE_RPo3ePG6Jb-EqE-ubCxDicmz7rqJ/s1600/11-forming.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgW27_4D6Z8owNGazVJnZeIJXrDCVqN7mqhOXXC8Sdjbh__wW0pBOivuiTy0F2qitODbMtQN9oNbw7N8xffOMYZfjku9Fq9PWiXL5eP6y9TFRzvFUE_RPo3ePG6Jb-EqE-ubCxDicmz7rqJ/s200/11-forming.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">缶に合わせて形を整える</td></tr>
</tbody></table>
取り外した金網を缶の内部の形に合わせて手で適当に形を整える。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiM6Ep3ipEupOTtDbNH7Z92youW50hmClazg-mNdAs_066SLwFFJP_uk__Mz-bn2otQCosbzcP2gi7kIUVsUnofdyHdGUaXS4KcEp2m13Sc-pnXhhmKmbyjrdfj3JG_fVeqRjqBG5jz6_RG/s1600/12-set-mesh.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiM6Ep3ipEupOTtDbNH7Z92youW50hmClazg-mNdAs_066SLwFFJP_uk__Mz-bn2otQCosbzcP2gi7kIUVsUnofdyHdGUaXS4KcEp2m13Sc-pnXhhmKmbyjrdfj3JG_fVeqRjqBG5jz6_RG/s200/12-set-mesh.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">缶の壁面との間に隙間ができないようにセット</td></tr>
</tbody></table>
金網の縁と缶の壁面の間の隙間があると、豆が入り込んでしまうので、隙間ができないように形を整えることが大事。といっても、数ミリ程度の隙間は許容範囲なのであまり神経質になることはないのだが。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhMLXeTT88GQnUaO1VHywsROjWyScG2XDTfJoHQin5KnV-t33GVQx6Ix-qNjxnFTAPZ_X_AkRDyYnAEKzCkwPPoVxOCVtxOK6MOX05Bo_dRMyRTsgYcnxJTlYRRMLQdUdmwM_FKJRbnpyaz/s1600/13-fix-with-wire.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhMLXeTT88GQnUaO1VHywsROjWyScG2XDTfJoHQin5KnV-t33GVQx6Ix-qNjxnFTAPZ_X_AkRDyYnAEKzCkwPPoVxOCVtxOK6MOX05Bo_dRMyRTsgYcnxJTlYRRMLQdUdmwM_FKJRbnpyaz/s200/13-fix-with-wire.jpg" width="150" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">針金でとめる</td></tr>
</tbody></table>
内部に金網をセットしたら、針金で適当に止める。<br />
がっちり固定しなくても、がさがさ動かないように軽く止めるだけでかまわない。 <br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhoZjeaIYv3aHVGxHM8-AkCzBTj-LmOEVOUJbIjHBpCyKchWPB0PiF19n58sr3HFjNuB-juBrl_xyyPEs_itFW3I0w_7RxrEY9VZszw8SGlLAnqo_0uwWJSzFOH2naQcrIgMD_XFxqcLPFG/s1600/14-bottom-view.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhoZjeaIYv3aHVGxHM8-AkCzBTj-LmOEVOUJbIjHBpCyKchWPB0PiF19n58sr3HFjNuB-juBrl_xyyPEs_itFW3I0w_7RxrEY9VZszw8SGlLAnqo_0uwWJSzFOH2naQcrIgMD_XFxqcLPFG/s200/14-bottom-view.jpg" width="150" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">がっちり固定する必要はない</td></tr>
</tbody></table>
裏から見たらこんな感じ。とてもいい加減だけど、こんな仮止め程度の固定でも何年も使えるんだから、余計な労力を使う必要はない。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgbmbfBkOEWbfXBZW4fHMNbXYErKaUPLsyJhY_RRW6KhzXGI-OwYPD_XkGmwXTwvax_XIs-9ZhAS22UJ7HDAFZtklpWluoiuBt6UA8bDc_tU7pMVlImoUD_hPhQSK0mgWknpBvA7RWcSE-U/s1600/15-potato-masher.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgbmbfBkOEWbfXBZW4fHMNbXYErKaUPLsyJhY_RRW6KhzXGI-OwYPD_XkGmwXTwvax_XIs-9ZhAS22UJ7HDAFZtklpWluoiuBt6UA8bDc_tU7pMVlImoUD_hPhQSK0mgWknpBvA7RWcSE-U/s200/15-potato-masher.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">安物のポテトマッシャーで柄を作る</td></tr>
</tbody></table>
次は柄を取り付ける。柄と言っても、これまた100円ショップで買ってきたヘナヘナのポテトマッシャー。はたしてこんなヤワなものでポテトを潰せるのかと心配になるような安物だけど、そのヤワなところがいい。上等なしっかりしたポテトマッシャーだと、重いし、取付面を湾曲させるのが大変だから。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEglZSjJe-PVMefS91ZdEdPYoX1TXl3SU6bvaS6RAKGAz2_S64SvE5IzlzCy6rNok0swU2hH0iemctHchHn86FXeNlYdCa8_jq1R_JkuYaHR7UJ9TMpe3Bi4Ch-qUOkNbYpm2D64zWyg_zp-/s1600/16-inflect.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEglZSjJe-PVMefS91ZdEdPYoX1TXl3SU6bvaS6RAKGAz2_S64SvE5IzlzCy6rNok0swU2hH0iemctHchHn86FXeNlYdCa8_jq1R_JkuYaHR7UJ9TMpe3Bi4Ch-qUOkNbYpm2D64zWyg_zp-/s200/16-inflect.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">缶の曲面に合わせて曲げる</td></tr>
</tbody></table>
マッシャーのプレート部分を缶の丸みに合わせて曲げる。<br />
なにしろ安物なので、手で簡単に曲げることができる。<br />
こんなマッシャーでポテトをマッシュしたら、すぐプレートがぐにゃぐにゃになっちゃうんじゃないかと思うけど、別にこれでポテトをマッシュするわけではないので気にしない。 <br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhprYzDehTn-Z4Ss2pUKf_oKLc6r-Ubi0HWPQQkWf_HH45khWMKMeJyEE6KylUJTEjYjdETQwmrMBnxCI8mZL3rlqIQehOFh206s_j2tGh_USxD52Ofkr1wHQUAud98y0ffuAx0zs1c690O/s1600/17-fit.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhprYzDehTn-Z4Ss2pUKf_oKLc6r-Ubi0HWPQQkWf_HH45khWMKMeJyEE6KylUJTEjYjdETQwmrMBnxCI8mZL3rlqIQehOFh206s_j2tGh_USxD52Ofkr1wHQUAud98y0ffuAx0zs1c690O/s200/17-fit.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">曲面にフィットするように</td></tr>
</tbody></table>
缶にぴったり合うように曲げたら針金でしっかり取り付ける。<br />
今回使った針金は#18という規格のもので、直径1.2ミリぐらいの太さ。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhoRYuDUXhQvmBnf-kRrKSkGUvo1nCDtkZbcE6XXtvCG12zfplv-J60QQy8g-fmQLcc5R0l_AcQbyvdxY6N0oGD8wE-V-QPaclXdRHCPBQI81T-j737-31tF3vPt8VClmBgPfLuIr27cqvk/s1600/18-set-the-masher.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhoRYuDUXhQvmBnf-kRrKSkGUvo1nCDtkZbcE6XXtvCG12zfplv-J60QQy8g-fmQLcc5R0l_AcQbyvdxY6N0oGD8wE-V-QPaclXdRHCPBQI81T-j737-31tF3vPt8VClmBgPfLuIr27cqvk/s200/18-set-the-masher.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">針金でしっかり止める</td></tr>
</tbody></table>
柄の取り付け位置は、Ritzのロゴのあたり(中央部分)がバランスがいい。<br />
針金をきっちりねじり上げて、缶を振っても柄がずれないようにしっかりと止めること。<br />
最初は針金だけで大丈夫かなと思ったのだが、5年使っても不具合がないので、今回も針金だけで止める。心配なら爪を立てたりビスかリベットで止めればいいんだろうけど。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiSioHUq59M3SLQT1joWSrntuSAjExdtMFvMDLDeGlwL5LwwyrFTDIiH_kRi41av0A43zgP0X6B0Yi0FTURq8AEyPO97tjK9NvFr_HZRQ9ag4QjFeIwfRnbYYjAsxMDK30lxehtJ3LxQIgY/s1600/20-cloth.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEiSioHUq59M3SLQT1joWSrntuSAjExdtMFvMDLDeGlwL5LwwyrFTDIiH_kRi41av0A43zgP0X6B0Yi0FTURq8AEyPO97tjK9NvFr_HZRQ9ag4QjFeIwfRnbYYjAsxMDK30lxehtJ3LxQIgY/s200/20-cloth.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">熱が伝わらないように取っ手に布を巻く</td></tr>
</tbody></table>
焙煎中の焙煎器は200度以上になる。柄の部分はそれほど高熱にならないけれど、断熱と持ちやすさを兼ねて、手で持つ部分に布を巻きつける。<br />
この作業がめんどくさければ、布を巻かなくても軍手などで持てば全然熱くない。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEib_eyKOyg9o2BNJCfQn5ALhbLimU9NVhF_erKLhDmUY6V11ThqlQ3a1A2RDs80P2s46XuKd66Y24bpSFLBnPQQ2WYAkH3LWTSDj8IMdwhswSznbtzXf0NrEsIadvqJjBk1hu0vlWb5rbs5/s1600/21-wrap-cloth.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEib_eyKOyg9o2BNJCfQn5ALhbLimU9NVhF_erKLhDmUY6V11ThqlQ3a1A2RDs80P2s46XuKd66Y24bpSFLBnPQQ2WYAkH3LWTSDj8IMdwhswSznbtzXf0NrEsIadvqJjBk1hu0vlWb5rbs5/s200/21-wrap-cloth.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">金属部分に巻きつける</td></tr>
</tbody></table>
金属部分が露出しないように、布切れを細く切ってぐるぐる巻きにする。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhw7pdZwGEryiBoMcHlwUs24NBjE8c00M52O9ZEVkDA_qZok30xl_mZ_dqUjdvEzUyETWz91KjGUPZB04UbkuNsBVmUf7lA34mnQ5LaENlkGGnZNWDOMwjKli66A5SI0-u9K2Krfo0ueGAM/s1600/22-cover.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhw7pdZwGEryiBoMcHlwUs24NBjE8c00M52O9ZEVkDA_qZok30xl_mZ_dqUjdvEzUyETWz91KjGUPZB04UbkuNsBVmUf7lA34mnQ5LaENlkGGnZNWDOMwjKli66A5SI0-u9K2Krfo0ueGAM/s200/22-cover.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">使い捨てアルミ容器に穴を開けて蓋にする</td></tr>
</tbody></table>
最後に蓋を作る。<br />
蓋も、絶対に必要というわけではない。蓋なんかつけずに焙煎してもそれなりに焙煎できるし、蓋の効果や使い方はちょっと難しい部分もあるので、ある程度慣れてから蓋を作ってもいいかもしれない。<br />
<br clear="all" />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg60UZ0_6QB5V_VdgZiCXkJpbQRZ68dmU-ienb-qKWV5Qi4uXZ1tze6QNFEEoYFySmM7qakU7opWG9EQv3V1Q6M_iNEb7rWiL_i5USBATEWhghTXjDffKbgoejStgMKjeRojZtfB_6L-Cja/s1600/23-done.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg60UZ0_6QB5V_VdgZiCXkJpbQRZ68dmU-ienb-qKWV5Qi4uXZ1tze6QNFEEoYFySmM7qakU7opWG9EQv3V1Q6M_iNEb7rWiL_i5USBATEWhghTXjDffKbgoejStgMKjeRojZtfB_6L-Cja/s200/23-done.jpg" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">ぴったりはまるように取り付けて完成</td></tr>
</tbody></table>
缶の大きさに合った厚手のアルミ箔の使い捨て容器を例によって適当に手で曲げてパチンとはまるようにする。<br />
この時、蓋の部分に穴を開けておく。穴の大きさは直径2センチから5センチ程度。<br />
この穴は熱せられた空気や焙煎中の煙が抜けるようにするために必要で、あまり小さいと空気が抜けず、大きすぎると熱が逃げる。<br />
つまり豆に加わる熱をコントロールするためのもので、火の強さとともに焙煎の進み具合を決める、ということになる。穴の大きさが違う蓋をいくつか作って、焙煎の進行とともに蓋を付け替えるなんてことをやってみるのもマニアックで面白いかも。でも、はっきり言って、そこまでマニアックにやらなくても、普通においしく焙煎できる。<br />
<br />
以上で空き缶を使った簡易ロースターは完成。<br />
これにコーヒーの生豆(100グラム程度から最大200グラム程度)を入れてガスレンジの強火で炙ってやればよろしい。ただし、焙煎中は均一に加熱されるように常に缶を振ってなければいけない。一生懸命振れば振るほどうまく熱が回るんだけど、あまり頑張ると疲れるのでそのへんは適当に。<br />
火にかけたらだいたい8分〜10分ぐらいで1ハゼが来たら火を中火ぐらいに落として豆の色を見ながらザルなどにあけて冷ませばよろしい。<br />
蓋を使う場合は、最初は蓋を付けずに1分ほど加熱したら、蓋をつけて加熱を続け、煙が上がってきたら蓋は取ってしまう。蓋を付けたまま最後まで焙煎すると、煙臭いコーヒーになってしまう。<br />
いずれ、このロースターでコーヒーを焙煎する方法について書いてみようと思ってはいるけれど、今日のところはこのへんで。<br />
(付記: コーヒー焙煎初心者のために <a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2016/04/blog-post_30.html">焙煎の説明とりあえず編</a> を書きました。興味はあるけど焙煎については何もわからないという方は参考にしてください) yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-817199972930817612016-02-09T02:48:00.000+09:002016-02-09T02:48:00.116+09:00Raspberry Pi新規インストールの小技Wheezyで使っていたRaspberry Piが時々エラーですっ飛んでしまったりする。使っているSDカードの問題らしいので、新しいSDカードに最新版をインストールすることにした。<br />しかしダウンロードしたイメージをddコマンドでカードに書き込んだだけでは、最初の設定をするのにキーボードやマウス、ディスプレイをつなぐか、シリアルコンソールなどのとにかく外部入出力が必要になってしまう。初期設定のためだけに何本ものケーブルでディスプレイやキーボードをつなぐのも面倒。<br />
というわけで、OS(Raspberian)のイメージを書き込んだカードをそのままLinuxのデスクトップにマウントして、とにかくスイッチを入れればsshでログインできるように、最低限の設定をしてみた。<br />
<br />
<a name='more'></a><br />
ddコマンドでイメージを書き込んだカードは2つのパーティションにわけられていて、vfatの/bootとext4の/がある。ウチの環境では、デバイスは/dev/sddなので、/bootが/dev/sdd1、/が/dev/sdd2になる。次のコマンドでルートのファイルシステムをマウントする。<br />
<br />
<span style="font-family: "Courier New",Courier,monospace;"> $ sudo mount /dev/sdd2 /mnt</span><br />
<br />
イーサネットにつなぐためには/etc/network/interfacesを書き換える。rootの権限でマウントしてあるので、以下の書き換えはすべてsudoまたはsuでrootになって実行。実際のディレクトリは、カードを/mntにマウントした場合は、/mnt/etc/network/interfacesになる。<br />
まずイーサネットのDHCPで繋がるようにするために書き換える行は<br />
<br />
<span style="font-family: "Courier New",Courier,monospace;"> iface eth0 inet manual</span><br /><br />
この行を次のように書き換える。<br />
<br />
<span style="font-family: "Courier New",Courier,monospace;">auto eth0</span><br />
<span style="font-family: "Courier New",Courier,monospace;">iface eth0 inet dhcp</span><br />
<br />
次に、起動時にsshが立ち上がるようにする。/etc/rc2.dのK99sshをS02sshにリネームすればいい。<br />
<br />
mv K99ssh S02ssh <br />
<br />
<br />
<br />
<br /> こうして書き換えたカードでブートすれば、最初からネットもつながり、sshでログインもできる。<br />
その後はお決まりのファイルシステム拡張、アップデート、日本語化、その他必要なパッケージの追加などをデスクトップのターミナルウィンドウで実行するなり、VNCを入れてデスクトップマシンにRaspberianのGUIを表示させて作業するなり、外部のディスプレイやキーボード、マウスなどを使うことなくインストールと初期設定ができる。<br />
<br />
しかし…これが便利なのかどうかは、各自が使っているデスクトップマシン次第かも。カードのext4がマウントできなきゃいけないし、sshだのvncだのを普段使っている人でなければ、「ディスプレイをつないだ方が早い」と思うかもしれない。 yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-54125714022152553552016-01-22T03:34:00.001+09:002016-01-22T03:34:11.830+09:002015年の民主主義指数で日本が「不十分な民主主義国」に転落<span class="notranslate">英国の週刊誌エコノミスト系列のシンクタンク「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット</span><span class="notranslate"><span class="notranslate">(EIU)</span>」が毎年、世界の国々について「<a href="http://www.eiu.com/public/topical_report.aspx?campaignid=DemocracyIndex2015" target="_blank">民主主義指数(Democracy Index)</a></span><span class="notranslate"><span class="notranslate">」</span>を発表している。</span><br />
<span class="notranslate">1月21日に2015年の民主主義指数が公開されたのだが、わが日本は調査対象167か国のうち23位で、昨年までかろうじて維持してきた「完全な民主主義」から「不十分な民主主義」に転落した。</span><br />
<a name='more'></a><br /> <span class="notranslate">民主主義指数は選挙過程と多元主義、政府機能、政治参加、政治文化、市民的自由の5項目について、10点満点で評価し、その平均値を並べて順位を計算する。平均値が8点以上が「完全な民主主義」に分類されるが日本は昨年まで8.08点をつけていたが、今年は8点を割り込む7.96点の「不十分な民主主義」に分類されることになってしまったわけだ。日本の項目別の点数は、</span><span class="notranslate">選挙過程</span><span class="notranslate">9.17点、政府機能8.21点、政治参加6.11点、政治文化7.50点、市民的自由8.82点で23位だった。選挙や政府機能、市民的自由については合格点ながら、政治参加と政治文化が不十分ということになる。</span><br />
<span class="notranslate"></span><br />
<span class="notranslate">日本が減点された主な根拠は、2014年の秘密保護法と、自民党によるメディアへの干渉だった。</span><br />
<br />
<span class="notranslate">ちなみに、この種の国際ランキングで、いつも接戦(?)になる韓国は平均7.97点で22位と、日本より1ランク上ながら、やはり昨年までの「完全な民主主義」から「不十分な民主主義」に日本とともに転落している。韓国の項目別スコアは</span><span class="notranslate">選挙過程8.75、</span><span class="notranslate">政府機能7.86、政治参加7.22、</span><span class="notranslate">政治文化7.50、</span><span class="notranslate">市民的自由8.53</span><span class="notranslate">。</span><br />
<span class="notranslate">日本の安倍政権は韓国について「価値観を共有する国」というフレーズを外すなど、韓国の民主主義について否定的な評価をしているけれど、客観的にみれば日本も韓国も民主主義についてのセンスは似たようなもの。安倍政権も朴政権も、反対の声に耳を貸そうともせず、手続的な正当性も疑わしい独善的な政策を押し通している。個人的な感覚では、日本や韓国のランキングが22位、23位というのは過大評価ではないかと思うぐらいだ。特に日本の選挙過程については議員定数の違憲状態が続いていることを考えると、9.17点というのは高すぎるし、政府機能についても不透明な部分が多く、市民的自由に息苦しさを感じているので、ぼくが採点したらどんなに高く採点しても平均点で7.5点、40位ぐらいが妥当なところではないかと思うのだが…。過大評価という点では韓国もまったく同じ。</span><br />
<span class="notranslate"><br /></span>
<span class="notranslate"></span><span class="notranslate"></span><span class="notranslate"></span> 全体的に見ると、優秀なところでは<span class="notranslate">1位がノルウェー(9.93)、続いてアイスランド(9.58)、スウェーデン(9.45)、ニュージーランド(9.26)、デンマーク(9.11)など。</span><br />
<span class="notranslate">面白いのは欧州の民主主義の大国であるフランスが</span><span class="notranslate"><span class="notranslate">極右の動きの影響で</span>7.92点、27位と、やはり「不十分な民主主義」に分類されていること。昨年は8.04点だったが、実はそれまで8点を割り込むことが多く、自由・平等・博愛の民主主義国家にしては厳しい評価だ。</span><br />
<span class="notranslate">また新世界の民主主義大国であるアメリカ合衆国は、</span><span class="notranslate"><span class="notranslate">何とか「完全な民主主義」の枠内に踏みとどまっているものの、</span>平均8.05点、20位で「完全な民主主義」の枠の最下位。昨年の8.11点からやはり減点されている。</span><br />
<br />
<span class="notranslate">参考までに中国は3.14点で136位、北朝鮮は1.08点で調査対象国中最下位の167位。</span><br />
<span class="notranslate"><br /></span>
<span class="notranslate">EIUのレポートは「Democracy in an age of anxiety」として世界的な「テロの不安」が民主主義指数を押し下げているという。</span><br />
<span class="notranslate">テロが民主主義の脅威であることはいうまでもないのだが、 内なる「テロの不安」もまた現実的な民主主義への脅威になっているというのは皮肉なものだと思う。</span><br />
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-15790873596553634042015-12-30T07:51:00.005+09:002015-12-30T07:53:27.834+09:00ナヌムの家のハルモニは割れているのか?慰安婦問題の「最終解決」に合意した日韓外相会談についてさまざまな報道が溢れているが、「日韓外相会談の結果に従う」というある元慰安婦の言葉(たとえば産経の記事<a href="http://www.sankei.com/world/news/151228/wor1512280034-n1.html" target="_blank">『元慰安婦「政府に従う」』</a>など)が一人歩きしているのは問題だと思う。<br />
産経以外にも、多くのメディアが「ナヌムの家の元慰安婦の中には政府の決定に従うという人もいる」と伝えていて、ぼく自身、「そうか、割れてるのか」と思った。最初は。<br />
<a name='more'></a><br />
調べてみると、これはテレビで放送された外相会談の発表を見ていたナヌムの家の元慰安婦たちが発言した言葉だ。この様子は<a href="https://www.youtube.com/watch?v=fEAJMFUnqVQ" target="_blank">YouTubeで映像の一部</a>を見ることができる。元慰安婦ハルモニの発言の要旨は、中央日報日本語版の記事<a href="http://japanese.joins.com/article/145/210145.html" target="_blank">『被害女性ら「満足できなくても従う」「全て無視する」』</a>で読める。<br />
<br />
この中央日報の記事によれば、「政府に従う」と言ったユ・ヒナムさんは、その発言の後で「誰も基金設立には応じないだろう」と、前の発言に反する発言をしている。つまりユ・ヒナムさんは最初は「政府に従う」と言ったが、その後、立場を翻したわけだ。ところが、前述の産経をはじめ多くのメディアは、彼女の最初の発言だけを取り出して「元慰安婦も2つに割れている」と書いている。その後の発言はガン無視して。<br />
これに関し、韓国のノーカットニュースは<a href="https://www.nocutnews.co.kr/news/4524650" target="_blank">「私たちの意見が割れている? 歪曲報道をするな」</a>という記事でCBSラジオによるイ・ヨンスさんとのインタビューを紹介し、最近ユ・ヒナムさんは体調も悪く、ボケていて辻褄が合わないことを言うことが多いという話を伝えている。<br />
実際に「ボケ」ているのかどうかはわからないし、「ボケ」ですべてを解釈するべきではないだろう。ユ・ヒナムさんは高齢でもあり、癌と闘病中で体調も悪いとすれば、ユ・ヒナムさんの最初の一言だけを抜き出して「ナヌムの家も2つに割れている」とナヌムの家のハルモニの中にも今回の決定を肯定的に受け止める人もいると断定するような報道は、明らかにおかしい。彼女の体調などを考えつつ、彼女の相反する言葉を合理的な解釈して、ぼくなりにリライトをするとすれば、「私はもう長いことはないので、今更何を言っても始まらない。しかし、誰もこんな形の妥結を喜んで受け入れたりはしない」というようなことなのかなと想像してみたりもする。<br />
<br />
いずれにしても、少なくともイ・ヨンスさんはナヌムの家のハルモニたちは全員、受け入れられないという立場だと言っている。「歪曲報道をするな」というインタビュー記事のタイトルの通り、「割れている」という報道は誤報というよりも、悪意の歪曲に近い。最近のマスメディアは、政府を批判する言葉だけを並べると怒られるので、言葉のかけらではあっても政府の意に沿う言葉があればそれをクローズアップして「バランス」を取ってみせるような記事の作り方をすることが目立つが、今回もそうしたマスメディアの悪しきバランス感覚の産物なのだろう。<br />
<br />
もしかすると、「ユ・ヒナムさんに某団体が圧力をかけて意に反することを言わせたのだろう」などと言い出す人もいるかもしれない。しかし一連の発言は、YouTubeの映像からもわかる通り、多くの記者が見守る中での発言であり、圧力をかけることはできない。<br />
考えられるとすれば、自分の発言の後で、他のハルモニがみんな「受け入れられない」と言っているのを聞いて、「受け入れられない」と言い始めたのかもしれない。普段も言うことがふらふらしていたというのだから、その可能性はある。しかし、もしそうであれば、そのような発言を「割れている」と主張するための材料として使ってはならない。<br />
いずれにしても、「元慰安婦も割れている」という記事は正しくない。今まで報道された内容を総合すれば、「元慰安婦も全員、今回の結果は受け入れられないと言っている」というべきだ。yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-39449016560875207942015-12-24T11:06:00.001+09:002015-12-24T15:17:58.419+09:00なぜ朝鮮日報のコラムは問題にならなかったのか産経の前ソウル支局長が書いたしょうもないコラムが朴槿恵の名誉を毀損したという容疑をめぐる裁判は、結局、前ソウル支局長は無罪ということになり、韓国の検察も上告せず、確定した。<br />
裁判はこれで終わったので、今更あれこれ言うことはないのだけど、この間、「産経は朝鮮日報のコラムを引用したのに、なぜ産経が起訴され、朝鮮日報は起訴されなかったのか、おかしいじゃないか」といったフレーズが繰り返されてきた。しかし「産経は朝鮮日報のコラムを引用しただけだ」という産経側の主張には疑問がある。<br />
産経のコラムは確かに朝鮮日報のコラムを「引用」した。しかし「引用しただけ」なのか?<br />
先に結論を言えば、産経は朝鮮日報のコラムを「引用」して、朝鮮日報のコラムとはまったく異なる内容のコラムを書いた。だから産経は起訴されたが、朝鮮日報は問題にされなかったのではないか。<br />
<a name='more'></a><br />
<span class="text_exposed_show">朝鮮日報のコラムは韓国語なので、韓国語を知らない人に「原文を読め」と言っても読めないと思うのだが、原文を読まずに産経がそう言ってるからそうなんだろうと信じるしかないとすれば、この事件は最初から産経のバイアスの中で語られる運命だったのかもしれない。</span><br />
<span class="text_exposed_show"></span>とにかく、原文のURLを貼っておく。<span class="text_exposed_show"><br /> <b>産経のコラム:</b> <a href="http://www.sankei.com/world/news/140803/wor1408030034-n1.html" rel="nofollow" target="_blank">http://www.sankei.com/wor…/news/140803/wor1408030034-n1.html</a><br /> <b>朝鮮日報のコラム:</b> <a href="http://premium.chosun.com/site/data/html_dir/2014/07/17/2014071704223.html" rel="nofollow" target="_blank">http://premium.chosun.com/…/h…/2014/07/17/2014071704223.html</a></span><br />
さて。<br />
<span class="text_exposed_show"></span><span class="text_exposed_show">産経のコラムは、一応、引用部分の日本語訳相当をカギカッコで明示している。だいたい、原文と似たような感じの日本語に訳されているのだけれど、よく読むと違う。</span><br />
<span class="text_exposed_show"><br />
たとえば、産経は「金室長が『私は分からない』といったのは大統領を守るためだっただろう。しかし、これは、隠すべき大統領のスケジュールがあったものと
解釈されている。世間では『大統領は当日、あるところで“秘線”とともにいた』というウワサが作られた」と引用している。原文の相当部分は「김 실장이
"내가 알지 못한다"고 한 것은 대통령을 보호하기 위해서였을 것이다. 하지만 이는 비서실장에게도 감추는 대통령의 스케줄이 있다는
뜻으로도 해석됐다. 세간에는 "대통령이 그날 모처에서 비선(秘線)과 함께 있었다"는 루머가
만들어졌다」である。原文のニュアンスを反映して意訳するとこうなる。「金室長が『私が知るはずもない(注:漠然とした「わからない」ではなく、「知ることは不可能だ」というニュアンス)』といったのは、大統領を守ろうとしたからだろう。しかし、これは秘書室長にも隠したい大統領のスケジュールがあったという意味に解釈されてしまった(注:直訳では「〜という意味にも解釈された」)。世間では『大統領はその日、某所で“秘線”と一緒だった』という怪情報(注:以下本文参照)が作り上げられた」。<br /> </span><br />
<span class="text_exposed_show">微妙な違いなのでわかりづらいかもしれないが、たとえば産経は「풍문(風聞)」も「루머(rumor)」も「ウワサ」と訳している。しかし、韓国語のニュアンスとしては「루머」は「ウワサ」というよりは「怪情報」に近い。もっとストレートに「デマ」と訳してもいいかもしれない。つまりここで「</span><span class="text_exposed_show"><span class="text_exposed_show">루머」が使われたのは、</span>「このウワサはウソだろうが」というニュアンスが含まれている。<br /> </span><br />
<span class="text_exposed_show">続いて朝鮮日報のコラムには「口に出すことすら自らの品格を下げることになってしまうと考える」というほど低俗な怪情報の下りがある。ここは、朝鮮日報のコラムはその怪情報がデマであることを知りつつ、その下品な怪情報を話題にするのは「品格を下げる」ものだという文脈だが、産経はその前に「ウワサとは何か」と問いかける。そして朝鮮日報ではなく突然
「証券街の関係筋」が登場して「それは朴大統領と男性の関係に関するものだ」と書く。</span><br />
<span class="text_exposed_show">情報ソースが切り替わり、異なる情報の文脈が挟み込まれているわけだ。しかし読者は前からの流れで「ウワサ」の真実性を補強する形で「朴大統領と男性の関係に関するものだ」という情報を提示されることになる。もし朝鮮日報のコラムで使われていた「</span><span class="text_exposed_show"><span class="text_exposed_show">루머</span>」を「ウワサ」と訳さず「怪情報」なり「デマ」と訳していれば、このような文章の流れにはならない。ここで産経のコラムの読者は朝鮮日報のコラムとは正反対の方向に誘導されるわけだ。<br />
ちなみに「証券街の関係筋」というと、何か裏の事情に通じた人のように思われるかもしれないが、これは俗に韓国で「チラシ」と呼ばれているゴシップ情報紙のことで、まったく信頼できる情報ではない。もちろん、ジャーナリストも「チラシ」の情報を参考にするかもしれない。しかし「チラシ」の情報が何かニュースになりそうなものがあるとしたら、必ず自分で取材する。そして、何かをつかんだら記事にするかもしれないが、まともなジャーナリストなら少なくとも何の取材もせず、「チラシ」を引用するなんてことは絶対にしない。産経のコラムが問題とされる所以は、ここで朝鮮日報のコラムに「チラシ」の情報を何やら信憑性のある情報であるかのように挟み込んだ狡猾さにある。<br /> </span><br />
<span class="text_exposed_show">この他にも、原文を細かく付きあわせていけば、この調子の換骨奪胎が至るところに登場する。一見すると朝鮮日報のコラムに登場したフレーズを引用しているように見えるが、結果としては狡猾に文脈をすり替えて異なる印象を与えるような記事になっているのである。<br /> 読み方によれば、朝鮮日報のゴミコラムはむしろ朴槿恵に対する「愛情」の発露と読めるかもしれない。「姫! 嘆かわしゅうございます。大統領たるもの、しもじもの者に余計なことを言わせないように、堂々たる態度を取ってください」といったような、批判的な言葉ではあっても名誉毀損どころか、朴槿恵を案じるかのようなコラムなのだ。</span><br />
<span class="text_exposed_show">それに対して産経のコラムは、</span><span class="text_exposed_show"><span class="text_exposed_show">虚偽の事実を混ぜ込みながらスキャンダルを増幅し、「</span><span class="text_exposed_show">朴政権のレームダック(死に体)化は、着実に進んでいるようだ」と結ぶ。</span></span><span class="text_exposed_show"><span class="text_exposed_show">「</span><span class="text_exposed_show"><span class="text_exposed_show">緊急事態の時に</span>密会してたらしいな。こんな大統領じゃ、もうダメだね」といったような、</span>上から目線で朴槿恵を卑下するような、傲慢な態度を感じてしまう。</span><span class="text_exposed_show"></span><span class="text_exposed_show"></span><br />
<br />
<span class="text_exposed_show">そんなわけで、ぼくは産経のコラムが朝鮮日報のコラムの「引用だ」という見方には強い違和感を感じる。確かに「引用」はした。巧みにその「引用」したフレーズを使って、朴槿恵の周辺を怒らせた。もちろん、これを書いたのが韓国でも「極右系の新聞」として有名な産経の記者だったというバイアスがかかっているとしても、少なくとも朴槿恵支持者にとっては朝鮮日報のコラムは問題になるような内容ではなく、産経のコラムはひどい侮辱として受け止められただろうと想像できる。</span><br />
<br />
<br />
<div class="text_exposed_show">
それにしても、大統領の資格もない朴槿恵、言論機関としての資格もないような朝鮮日報と産経が三つ巴になって醜態を晒しているわけだが、ここにまた日本政府だの外国のジャーナリストだのがからんできて、ソウル地裁の裁判官はさぞかし判決文を書くのに苦労しただろうと思う。当初の判決日が延期されたのは、何とかして合理的に無罪の結論を導くために、この複雑な連立方程式を解くための時間が必要だったということかもしれない。</div>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-72415225527222392062015-07-15T07:33:00.000+09:002015-07-18T09:04:37.892+09:00直火式エスプレッソでおいしいコーヒーを小さなカップに入った濃厚で香り高いエスプレッソ。「エスプレッソ」というと、カフェに置かれている大きな機械を使わないと飲めないと思っている人も多いのではないでしょうか。しかしヨーロッパの家庭でよく使われているマキネッタ(ビアレッティ社のモカ・エキスプレスという商品が有名で、これは「モカ・ポット」とも呼ばれています)があれば、家庭でも手軽においしいエスプレッソを飲むことができます。<br />
私もいろいろな機会にマキネッタで淹れたコーヒーを他人にふるまうことがあるのですが、後になって「このあいだのコーヒーがおいしかったので、マキネッタを買って自分でも淹れてみたけど、あの時の味が出ない。どうすればおいしく淹れられるのか」と聞かれたりします。マキネッタの使い方は、インターネットでもいろいろなサイトで紹介されているとおりですし、決して難しい技術が必要とされるわけでもありません。しかし、あちこちで見かける説明は、マキネッタでコーヒーを淹れる時に気をつけるべきいくつか大事なポイントが書かれていないものがほとんどです。おかげで残念なことに「マキネッタのコーヒーはおいしくない」と思い込んでいる人も少なくないようです。<br />
<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: left; margin-right: 1em; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhJv4jCNMp0F5_FEUONrDNy6Njd-CKbB_hlQXKuxE9tW2Z0JIBWh8BkJnU5h-sxFXhPz8darH4MIOsqz2CgOnWydm1HEed1EFnTod3z_oI-67AXsAL4wSojdOOLBc8ocFaeHAvcylZ_ngbv/s1600/MochaExpress.JPG" imageanchor="1" style="clear: left; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="モカ・エキスプレス1カップ用" border="0" height="240" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhJv4jCNMp0F5_FEUONrDNy6Njd-CKbB_hlQXKuxE9tW2Z0JIBWh8BkJnU5h-sxFXhPz8darH4MIOsqz2CgOnWydm1HEed1EFnTod3z_oI-67AXsAL4wSojdOOLBc8ocFaeHAvcylZ_ngbv/s320/MochaExpress.JPG" title="モカ・エキスプレス1カップ用" width="320" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">マキネッタ。ビアレッティ社のモカ・エキスプレス1cpu用。</td></tr>
</tbody></table>
エスプレッソが好きという人の中には、「マキネッタで淹れたエスプレッソなんてエスプレッソじゃない」という人もいます。確かに機械式のエスプレッソ・メーカーで上手に淹れたエスプレッソはおいしいのですが、マキネッタで淹れたエスプレッソにはマキネッタならではの独特のおいしさがあります。<br />
高級なエスプレッソ・マシンで上手に淹れたすっきり洗練されたエスプレッソと較べれば、マキネッタのエスプレッソはちょっと野暮ったい素朴な味と言えるかもしれません。ぶっきらぼうだけど、ホッとするような味。本当かどうかイタリア人に聞いたことはありませんが(いつか聞いてみたいものです)、マキネッタのコーヒーは「ママのコーヒーの味」だといいます。日本で言えば、高級料亭の上品な味噌汁と家庭で作るいつもの味噌汁の違いのようなものとでも言えばいいでしょうか。<br />
私も家庭用の小型のエスプレッソ・マシンを持っていますが、マキネッタもよく使います。その日の気分に応じてエスプレッソ・マシンでコーヒーを淹れたり、マキネッタで淹れたりしておいしいコーヒーを楽しんでいます。「マキネッタのコーヒーはおいしくない」という人は、あるいはマキネッタの使い方が間違っているのかもしれません。<br />
<a name='more'></a>というわけで、マキネッタの使い方、マキネッタでコーヒーを淹れる時のポイントを紹介しましょう。<br />
ちなみに、ここでの説明は私のやり方の説明で、必ずしも一般的ではない部分もあります。また人によっては違う方法で淹れる人もいるでしょう。一応、一般的な使い方についても触れておきますが、どんな方法でも結果としておいしいコーヒーが飲めれば結果オーライ、うまくマキネッタが使えるようになったらそれぞれ自分なりの工夫をしてみてください。そして「こうするといい」という方法を見つけたら、ぜひ教えてください。<br />
<br />
<h3>
マキネッタの選び方</h3>
これからマキネッタを買うという人は、数ある製品の中からどれを選べばいいのかで悩むと思います。<br />
私も最初は「大は小を兼ねる」の精神で2~3カップ用の製品を買いました。ところが、これでは自分1人で飲む1杯分のコーヒーには不向きです。ちょっとした裏ワザを使って2~3カップ用で1カップ分のコーヒーを淹れることもできますが、1人で飲むのでしたら1カップ用を買ってください。1カップ用のマキネッタは、事実上、モカ・エキスプレスという製品(冒頭の写真の製品)しかないと思います。<br />
2~3カップ用以上になると、いろいろな製品が選べます。ビアレッティ社の製品の中でも、スタンダードなモカ・エキスプレス以外にも、ブリッカというクレマが浮いたエスプレッソを淹れられる製品や、ムッカというカプチーノが作れる製品、さらにさまざまなデザインの製品や、ボディがステンレスの製品、加熱用の電気ヒーターが付いた製品など、いろいろな製品がありますが、基本的には<b>どれでも同じ</b>です。迷うようなら、モカ・エキスプレスを選んでおけば失敗はありません。<br />
買う時のポイントは、淹れる<b>カップ数に応じたサイズのものを撰ぶ</b>ということです。私も1カップ用、2~3カップ用、4~6カップ用の3種類を持っています。<br />
<br />
<h3>
豆の選び方</h3>
おいしいコーヒーを飲むためにとても重要なファクターが、コーヒー豆です。どんな器具を使っても、そもそもダメなコーヒー豆でおいしいコーヒーを飲むことはできません。<br />
マキネッタのための特別なコーヒー豆というのはありませんが、スーパーマーケットの棚に袋詰されて並んでいるようなコーヒー豆ではマキネッタを使おうが、ペーパードリップで淹れようが、それなりの味のコーヒーにしかなりません。まずおいしい豆を選びます。<br />
もっとも、「おいしい豆」を選ぶのは簡単なようで難しいものです。「おいしい」と評判の店で買ってきたコーヒー豆を使えばおいしいコーヒーになるかというとそうでもありません。一番簡単な選び方は<b>新鮮な豆</b>を選ぶことです。マキネッタに限りませんが、コーヒーの味を決めるのは豆の鮮度です。どんな上等なコーヒー豆でも、焙煎した直後の豆ならおいしいコーヒーになります。しかし焙煎してから何ヶ月も経ったような豆では味も香りも失われた最初から出がらしのような味になってしまいます。ひどい場合は豆が酸化していて、飲むと胸焼けがするようなものもあります。<br />
なお「新鮮な豆」とは焙煎した日から3日以内ぐらいが目安です。マキネッタで淹れるコーヒーは、焙煎後2週間ぐらいまでの豆ならおいしく飲めます。焙煎直後から5日間ぐらいは、毎日コーヒーの風味が変わるのですが、3日目から5日目ぐらいがおいしさのピークだと言われています。しかしその後もゆっくりと風味が変わって、2週間ぐらいまではおいしく飲めると思います。<br />
自家焙煎をしているコーヒーショップなら、いつ焙煎したのかを教えてくれますから、そのような店で焙煎後3日以内の新鮮な豆を購入するといいでしょう。<br />
<br />
コーヒー豆にもさまざまな種類がありますが、飲む人の好みで選んでください。エスプレッソには深煎りのエスプレッソ・ブレンドじゃなければいけないなんてことはありません。焙煎度は、あまり浅煎りの豆はマキネッタのコーヒーには合わないと思いますが、深煎り以外はダメというわけでもありません。<br />
焙煎度が選べるようでしたら、<b>フルシティロースト</b>という焙煎度が標準的だと思います。フルシティローストは深煎りに属しますが、酸味も残っていて苦味やコーヒーならではの香りも高い焙煎度です。苦味が好きなら、極深煎りの<b>フレンチロースト</b>や、極々深煎りの<b>イタリアンロースト</b>を選んでもいいと思います。ミルクと合わせる時にはフレンチやイタリアンといった深い焙煎度の豆がミルクとの相性がいいようです。<br />
なお、コーヒーの銘柄にもブラジルやコロンビア、マンデリン、キリマンジャロなど、さまざまな銘柄がありますが、どれを選ぶかは完全に好みの問題です。また、マキネッタにしろ機械式にしろ、エスプレッソでは単一の銘柄で楽しむよりは、さまざまな種類の豆をブレンドするのが一般的だと思います。特にマキネッタの場合は、銘柄ごとの繊細な味わいを楽しむというよりも、マキネッタのエスプレッソならではの濃厚で力強い味わいが楽しめるエスプレッソ向きのブレンドがお勧めです。<br />
もっとも日本ではエスプレッソ向きのブレンドを置いているコーヒー専門店は多くありません。もし適当なブレンドは見つからなければ、深煎りのブラジル・サントスやガテマラ、ケニアなどを選べばいいでしょう。<br />
しかし単一の銘柄(ストレート)で淹れたコーヒーは、エスプレッソの複雑な味わいに欠けていて何か物足りない感じになってしまいます。残念ながら、私の家の近くにはあまりいいエスプレッソ・ブレンドを売っている店がないので、自分で適当にコーヒー豆をブレンドして飲んでいます。自己流のブレンドでも結構いけるコーヒーになるものです。<br />
エスプレッソ用ブレンドは、普通のドリップ用のブレンドよりも混ぜる豆の種類が多く、普通は5種類程度の異なる豆をブレンドしますが、自宅でブレンドするのであれば3種類ぐらいの豆をブレンドすればいいでしょう。たとえばフルシティローストに焙煎したブラジル(苦味)とコロンビア(コク)とエチオピア(モカ)(香り)の豆を買ってきて、苦味が好きならブラジル5、コロンビア3、モカ2ぐらいの割合、マイルドなコーヒーが好きならコロンビア5、ブラジル3、モカ2ぐらいの割合でブレンドしてみてください。もちろん割合は自分の好みで変えても結構です。この他にも、苦味系ならガテマラやマンデリン、マイルド系ならタンザニア(キリマンジャロ)やケニアなどを選んでもいいと思います。エチオピア(モカ)は香りが良くなります。ちょっと野性的な力強さが欲しければロブスタという種類のコーヒー豆を1割か2割程度ブレンドします。ブレンドの話を始めるときりがないのですが、あまり難しく考えずに適当に自己流で手元の豆を混ぜて試してみてください。よほど運が悪くない限り、失敗して飲めないなんてことはありません。<br />
<br />
<h3>
コーヒー・ミルを選ぶ </h3>
コーヒー豆は粉に挽かずに、豆のまま購入し、飲む直前にコーヒー・ミル(グラインダー)で自分で粉に挽いてください。粉の状態で買ってくると、急速に香味が失われ、酸化が進みます。粉に挽いてしまったら、賞味期限は1日がいいところです。<br />
しかし、ここにもとても重要なポイントがあります。マキネッタではエスプレッソ用に<b>極細挽の粉</b>を使います。ところが普通のコーヒー・ミルではマキネッタで使えるような極細挽ができないのです。「エスプレッソ用の極細挽ができる」と表示されているミルを使ってください。<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; margin-left: 1em; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg7bstY0OAgR9bMgT8oU8SALyFAWEUpfXsLmdH9kiwd7txGMZp3WEew2v0DREzlEyfVJTxBRKaVOSro0jPARj2kG8EkCgwJmdOOn6iM_Y1iqYnmD4G1NDyeanPG9rhb2LUzE3l-z0TNk6VX/s1600/Mill.JPG" imageanchor="1" style="clear: left; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="ポーレックスのミル" border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg7bstY0OAgR9bMgT8oU8SALyFAWEUpfXsLmdH9kiwd7txGMZp3WEew2v0DREzlEyfVJTxBRKaVOSro0jPARj2kG8EkCgwJmdOOn6iM_Y1iqYnmD4G1NDyeanPG9rhb2LUzE3l-z0TNk6VX/s200/Mill.JPG" title="ポーレックスのミル" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">ポーレックスのミル</td></tr>
</tbody></table>
たかがミルと言っても、エスプレッソ用のミルはマキネッタ本体より高価ですが、エスプレッソ用のミルを使うかどうかで誰にでもわかるぐらい、はっきりと味が変わります。一般の人が「マキネッタを使ってみたけど、おいしくない」という場合、ほとんどはミルの問題だと思います。<br />
エスプレッソ用のミルに求められる性能は、できるだけ細かく挽けることと、粉の粒が揃っていること、微粉が少ないことです。この3つの性能を満足させるミルは何十万円もするので、一般の家庭ではどこかで妥協することになります。私が自宅で使っているのはポーレックスというブランドの手回しミルです(写真)。細かく挽けて、そこそこ粒も揃っています。理想的とは言いませんが、比較的安価(6000~8000円程度で入手可能)十分おいしいエスプレッソが飲めます。電動ミルより静かですし、エスプレッソ一杯分ぐらいなら手回しで挽いてもそれほど手間もかかりません。もちろんエスプレッソ用に挽けるのであれば、電動ミルでもかまいません。<br />
<br />
<h3>
マキネッタの構造と抽出の原理</h3>
マキネッタを使う前に、この器具の構造と動作について簡単に説明しておきます。 <br />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; margin-left: 1em; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi-GKzLZi5SJ-x2avBjS7tLPq0etyoUgONceXLNbfy2xlElTZ5up4ynbnGh0z9qLM5xROsk0dT9tsZ_Un9x7nr6Qkl0IZIUc1FcjuNEGR2C3hVFrwENUkI3dL1XW3lIiFr1OUTsvm_2rtXt/s1600/MokaCoffeePot.png" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="MokaCoffeePot" border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEi-GKzLZi5SJ-x2avBjS7tLPq0etyoUgONceXLNbfy2xlElTZ5up4ynbnGh0z9qLM5xROsk0dT9tsZ_Un9x7nr6Qkl0IZIUc1FcjuNEGR2C3hVFrwENUkI3dL1XW3lIiFr1OUTsvm_2rtXt/s200/MokaCoffeePot.png" title="MokaCoffeePot" width="180" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">マキネッタの構造(出典:<a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File:MokaCoffeePot.svg" target="_blank">WikiMedia</a>)<br />
CC Attribution-Share Alike 2.5 Generic</td><td class="tr-caption" style="text-align: center;"><br /></td></tr>
</tbody></table>
右の図はWikiPediaに掲載されていた図で、WikiPediaを見れば説明も書かれているのですが...<br />
なお、この記事での説明は、ビアレッティ社のモカ・エキスプレス1カップ用を前提にしています。ブリッカやムッカなどは特殊な構造なので、この記事の説明は通用しない部分がありますので注意してください。<br />
<br />
マキネッタは大きく3つのパートにわかれていて、一番下、図のAの部分(以下、タンク)に水を入れ、真ん中のロート型のフィルタバスケット、図のBの部分(以下、バスケット)にコーヒーの粉をセットします。そして上のCの部分(以下、カップ)をしっかりと取りつけて全体を火にかけます。しばらくすると、タンクの水が沸騰して蒸気圧でロートの下から湯が押し上げられます。押し上げられた熱湯はバスケットのコーヒー層を通ってさらに上に上がり、カップに抽出されたコーヒーが溜まるというわけです。<br />
沸騰が始まってから抽出が終わるまでには数十秒かかります。バスケットにセットされたコーヒーの粉が荒すぎると十分な抽出が行われず、薄いコーヒーになってしまいます。逆に粉が細かすぎたり、ぎゅうぎゅうに詰めてしまうと湯の通りが悪く、雑味が多くなったり、場合によってはタンク内の圧力が上がりすぎてタンクに取り付けられた安全弁が開き、抽出ができなくなってしまいます。<br />
つまり、バスケットに詰める粉の細かさ、粉の量、詰め方などがおいしいコーヒーを作るための重要な要因になる、ということです。<br />
<br />
<h3>
バスケットにコーヒーの粉を詰める</h3>
オーソドックスな方法は、まず下のタンクに水を入れてからバスケットをセットし、コーヒーの粉を詰めます。その方が楽なのですが、私はタンクに水を入れる前に、バスケットを取り外して粉を詰めています(写真参照)。この方法は粉を詰めたバスケットの置き方に困るのですが、少々理由があってこのようにしています。もちろんオーソドックスに、まず水を入れてからバスケットをセットする方法でもかまいません。<br />
<br />
まずバスケットに詰めるコーヒーの量は、マキネッタのサイズによって異なります。1カップ用を使う場合、7グラム(コーヒースプーンで1杯ぐらい)の豆が標準です。ただし、最適な豆の重さは豆の焙煎度や挽いた粉の細かさによって多少(±0.5g程度)違います。<br />
いちいち重さを計るのが面倒なら適当な計量スプーンなどを使ってもかまいません(私はコーヒー・スプーンを使っています)。<br />
いずれにしても、1杯分、あるいは自分が使っているマキネッタのバスケットのサイズに応じた量の豆をミルで挽いて、バスケットに詰めます。<br />
なお、ミルにポーレックスを使用する場合、エスプレッソ用に挽くためには挽き目調整のネジを一番細かく締め込みます。一番細かい設定で問題がある場合は一段階か二段階粗くした方がいいこともあります。 <br />
挽いた粉を下の写真のようにバスケットにふわっと山盛りになる程度に入れ、バスケットの中で疎密がないように、均等になるように詰めてください。エスプレッソ・マシン用に挽いた細かい粉だとバスケットに山盛りにすると多すぎて湯が通らないかもしれません。挽き目が細かい粉を使う場合は少なめにします。<br />
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
</div>
<div style="float: left;">
<div style="margin-right: 1em; width: 30%;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEimpY3kGH7g7IAM5uRksDk2aVHw4RyPCueSwNSB6dWLwvdKBSLgI0lU4rU78LFdLgccKVg4O1j7yCvo9aTjnGGNOWdk6cD2qe-OFveV8vUztFs_nP5YYnKsz-QdcSZw4u1aUjK7_R_UDi8U/s1600/7g.JPG" imageanchor="1" style="clear: left; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="1杯分7g" border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEimpY3kGH7g7IAM5uRksDk2aVHw4RyPCueSwNSB6dWLwvdKBSLgI0lU4rU78LFdLgccKVg4O1j7yCvo9aTjnGGNOWdk6cD2qe-OFveV8vUztFs_nP5YYnKsz-QdcSZw4u1aUjK7_R_UDi8U/s200/7g.JPG" title="1杯分7g" /></a></div>
<div style="text-align: center;">
1カップ用なら7g</div>
</div>
<br />
<div style="float: left;">
<div style="margin-right: 1em; width: 30%;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhTeZiMkBlb8MccL3vVan9hnQ8HHmhE4W6SW7ngu0PVcxEMydq-30ARA49ogPLsd4bQMfdYVo14yr-8Y7t1fgd4Xq7EzTZX_p8rlIV7GMLFrysipw2J2Q3RKWh-BA80WTy3IaWUo7LOFg-g/s1600/Powder.JPG" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="フィルタバスケット" border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhTeZiMkBlb8MccL3vVan9hnQ8HHmhE4W6SW7ngu0PVcxEMydq-30ARA49ogPLsd4bQMfdYVo14yr-8Y7t1fgd4Xq7EzTZX_p8rlIV7GMLFrysipw2J2Q3RKWh-BA80WTy3IaWUo7LOFg-g/s200/Powder.JPG" title="フィルタバスケット" width="200" /></a></div>
<div style="text-align: center;">
豆の量はバスケットに山盛り</div>
</div>
<div style="float: left;">
<div style="width: 30%;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhrDxCbj0vVUnrHwgqPY0a6Ct4ZN0z26BrrTIBD6TZ1wCC500Z884FkAeh-pX9Z3kIU7GCYbsJb9kDCRYPViwxBbeW-ffLnlxWwBpS5tMpYeQI5Ne1MlyvkX6lyvioqlqnFzqnwNMJhdWKS/s1600/Powder2.JPG" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="粉を均す" border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhrDxCbj0vVUnrHwgqPY0a6Ct4ZN0z26BrrTIBD6TZ1wCC500Z884FkAeh-pX9Z3kIU7GCYbsJb9kDCRYPViwxBbeW-ffLnlxWwBpS5tMpYeQI5Ne1MlyvkX6lyvioqlqnFzqnwNMJhdWKS/s200/Powder2.JPG" title="粉を均す" width="200" /></a></div>
<div style="text-align: center;">
山盛りの粉を軽く詰める</div>
</div>
<br clear="all" />
<br />
マキネッタのコーヒーの味を決める最大のポイントが、ここです。バスケットの中で<b>均等にむらなく</b>粉を詰めます。<br />
粉の詰め方にむらがあると、均等に湯が通らず、密度が低い部分だけを通るので、十分においしい成分を抽出できません。かといって、ぎゅうぎゅうと詰めてしまうと湯が通りません。細かい粉はあまり強く詰めず、比較的粗い粉は多少強く詰めます。このあたりの力加減はコーヒーの粉の状態によっても違うので、何度かトライアンドエラーをしながら一番おいしいコーヒーになるようにしてください。<br />
基本的には、薄くてスカスカな味だったら強く詰める、あるいは粉の量を多くする、あるいは粉をもっと細かく挽きます。なかなか湯が上がってこない、あるいはエグみが強い場合は軽く詰める、あるいは粉の量を少なくする、あるいは粉の挽き目をすこし粗くします。<br />
粉を詰める時に、バスケットの中で密度が均等になるように、私はまず半分ぐらい粉を入れてフィルタバスケットを机に軽くトントンと打ち付けて均した後、残りの半分を入れてまたトントンと打ち付けて均し、最後に指やスプーンの背を使ってバスケットの表面を平らにしています。<br />
私がまず先にバスケットに粉を詰めるのは、この「トントン」をやりたいからです。こうすると、強く押し付けなくても、バスケット内の粉がふわっと均等になります。<br />
もちろん、面倒なら、先に水を入れてバスケットをセットするという一般的な方法でもかまいませんが、慣れないとバスケット内の粉に疎密が出てしまいますから粉の詰め方に注意してください。<br />
<br />
<h3>
水を入れる</h3>
次にタンクの部分に水を入れます。 1カップ用のタンクはだいたい50ccぐらいの水が入ります。またタンクには、圧力が高くなりすぎた場合に高圧の蒸気を逃がす安全弁がついています。安全弁の下には段がつけられていて、この段の部分まで水を入れます。水の種類は普通の水道水でかまいません。ミネラル・ウォーターを使ったり軟水を使ったりすれば、何となくコーヒーの味は変わるような気もしますが特においしくなるわけでもないので、私自身は蛇口から出てくる水道水をそのまま使っています。このあたりはドリップ・コーヒーと違うところです。<br />
<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; text-align: left;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEghepEGTRl__EFpw8u_zpmaARzkMl17ydiPETASoLg_NlrF5VIkMFLsJ4PkM8QVG9rnubbsqiQ9IVqzwiv_hQrMnoNcgf6SHCJ2zluO2ZV4LW_MU6rY0s2qsK6EmUvk9JukwwKyFdBbYbmg/s1600/Cup.JPG" imageanchor="1" style="clear: left; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="安全弁の下の段まで給水" border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEghepEGTRl__EFpw8u_zpmaARzkMl17ydiPETASoLg_NlrF5VIkMFLsJ4PkM8QVG9rnubbsqiQ9IVqzwiv_hQrMnoNcgf6SHCJ2zluO2ZV4LW_MU6rY0s2qsK6EmUvk9JukwwKyFdBbYbmg/s200/Cup.JPG" title="安全弁の下の段まで給水" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">水を入れるタンクの部分</td></tr>
</tbody></table>
さて、ただ「水を入れる」と言っても、この水の入れ方は人によっていろいろな流儀があるようです。一般的なマキネッタの使い方の説明では、上記のように<b>水位を指示する段のところまで</b>(安全弁にかからないように)水を入れます。安全弁のところまで水を入れてしまうと、安全弁が開いた時に熱湯が噴出することになりますから、絶対に水位が安全弁まで上がらないようにしてください…と一応書いておきましょう。<br />
私の流儀では、安全弁にかかる程度まで少し多めに湯を入れています。多めに湯を入れる理由は以下の通りです。<br />
水が少ないと、マキネッタをセットした状態である程度の容量の冷たい空気がタンク内に閉じ込められた状態になります。この冷たい空気は、マキネッタを加熱することで膨張します。まだ水が沸騰していない状態ですから、まだ湯の温度は低い状態です。しかしタンク内の空気が膨張するので、コーヒーのおいしさを抽出できるだけの温度になっていない低温の湯がバスケットに押し上げられてしまいます。<br />
空間を満たしてタンク内に閉じ込められる空気の量を減らし、また空気の温度も上げておくことで、空気の膨張の影響を少なくできるわけです。<br />
さらに、冷たい水ではなく、ある程度の温度の湯を入れることで、閉じ込められる空気の温度が上がり、その分空気は膨張した状態になります。そのため、加熱の途中でバスケットに上がってくる低温の湯の量を少なくすることができます。湯の温度は何度でもかまいませんが、温度は高いほうが膨張の効果を抑制することができます。あまり熱いとタンクに触れなくなるので、私は軽く温めた50度から60度ぐらいの湯を使いますが、面倒な時は冷水を使うこともあります。<br />
<i>(余談ですが、2~3カップ用マキネッタで1杯分のコーヒーを作るような時、単にタンクに入れる水とバスケットに詰める粉の量を減らすだけでは、この空気の膨張の影響でぬるくてまずいコーヒーになってしまいます。)</i><br />
<br />
もうひとつ、決してお勧めはしない方法ですが、タンクに規定通りの量の水を入れてバスケットも上のカップもセットしない状態で火にかけて、先に沸騰させてから、一度火から外してバスケットとカップを取り付けるという方法もあります。もちろん、とても熱くなっているので軍手やタオルなどが必要ですが、軍手やタオルは湯がかかると火傷が深くなるので危険です。とても危険なので<b>絶対お勧めしない</b>のですが…おいしいコーヒーができます。特に大容量のマキネッタで少量のコーヒーを作らなければならない時にはこの方法しかないと思います(でもお勧めしません。本当に危険です。体験者が言うのですから間違いありません)。<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgNiMSnt_8HdsPP_u5VK1EINveuwxn7-tyv_t8i3LzruQ1fAORp64Binp7db47cStVOtS-PUsDLrt15B3MuPjFq0aDg0lwDGT8ZSU0Kn6zcnEwUSJj1Zk7eZDYxMI21hAcsOd8AfWj1YcHk/s1600/Filter.JPG" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgNiMSnt_8HdsPP_u5VK1EINveuwxn7-tyv_t8i3LzruQ1fAORp64Binp7db47cStVOtS-PUsDLrt15B3MuPjFq0aDg0lwDGT8ZSU0Kn6zcnEwUSJj1Zk7eZDYxMI21hAcsOd8AfWj1YcHk/s200/Filter.JPG" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">フィルタやパッキンに異物が<br />
付着していないことを確認</td></tr>
</tbody></table>
<br />
タンクに水を入れたら、粉が入ったバスケットをセットして上のカップをしっかりと回して取り付けます。<br />
この時にカップ側の裏についているフィルタやパッキンにコーヒーの粉が残っていたら、きれいに取り除いておきます。パッキンにコーヒーの粉などが付着したままだったり、取り付けがゆるいと、タンクとカップの継ぎ目から圧力が逃げてしまいます。それだけでなく、継ぎ目から熱湯が吹き出して、火を止めたくてもレンジに近寄れず、大変なことになってしまいます。もちろん、これではおいしいコーヒーにはなりません。<br />
<br />
<h3>
加熱する</h3>
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; margin-left: 1em; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhxXfosTbEkiBz2u1nijrVdwrdwPQyasGsN4K1yxTrlYlMrWE68klPjp6J3xRVPdapA66PkTmgblAHRb5_1JVCocBHOlaTfCrzm3lVuVEVOPtYWaO7MCRVJ_kwBiJQoZX5AUYFkCGQ2VFcs/s1600/Stove.JPG" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="火にかける" border="0" height="200" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhxXfosTbEkiBz2u1nijrVdwrdwPQyasGsN4K1yxTrlYlMrWE68klPjp6J3xRVPdapA66PkTmgblAHRb5_1JVCocBHOlaTfCrzm3lVuVEVOPtYWaO7MCRVJ_kwBiJQoZX5AUYFkCGQ2VFcs/s200/Stove.JPG" title="火にかける" width="150" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">ガスレンジに乗せる</td></tr>
</tbody></table>
粉を入れ、水を入れてカップを取り付けたら、いよいよ火にかけます。<br />
小さな1カップ用のマキネッタだと、家庭用のガスレンジを使う場合は、五徳に乗らなかったり、乗っても安定しないかもしれません。マキネッタ用に専用のプレートも売っていますが、私は写真のようにトレー用のステンレス網を五徳に乗せ、その上にマキネッタを置いています。ちなみに、この網は100円ショップで買ってきたものです。<br />
このようにマキネッタは、直接火にかけるので「直火式エスプレッソメーカー」と呼ばれることもあります。<br />
マキネッタはIHヒーターでは加熱ができないので、ガスレンジがない家庭では、カセットコンロなどを使ってください。小さなマキネッタにはキャンプ用のバーナーも便利です。キャンプ用バーナーはシェラカップなど小さなものも乗せられるように五徳部分が小さいため、マキネッタを乗せても不安定になりません。それに、天気のいい日に野外でエスプレッソを飲んだりするときにも使えますから。<br />
<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEha1vQ6P_UtDmK1_M5iztM9BtJJ4HOYdswzrqctm_WcIX1eh9x0rHeBTU1x0A2DxwDhSGif9Ljh0Wz8Zec3F8And3MoaPlmKonKU5i5nxjMIBUT-OGr2wR8VYF0mYtZAjql2EA96k_JRyPc/s1600/Fire.JPG" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="火加減は弱火" border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEha1vQ6P_UtDmK1_M5iztM9BtJJ4HOYdswzrqctm_WcIX1eh9x0rHeBTU1x0A2DxwDhSGif9Ljh0Wz8Zec3F8And3MoaPlmKonKU5i5nxjMIBUT-OGr2wR8VYF0mYtZAjql2EA96k_JRyPc/s200/Fire.JPG" title="火加減は弱火" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">火加減は弱火</td></tr>
</tbody></table>
加熱するときの<b>火加減は弱火</b>です。あまり弱すぎるとなかなか温度があがらないので、弱ければいいというものでもありませんが、強すぎは厳禁です。写真の火の大きさを参考にしてください。<br />
強火で加熱すると、マキネッタの取っ手が熱くなって持てなくなってしまいますし、マキネッタの上のカップも高熱になるため、抽出されてきたコーヒー液が高温のカップに触れて焦げてしまいます。また、高熱でパッキンも劣化します。<br />
しばしば「マキネッタのコーヒーは焦げたような味がするから嫌いだ」という人がいますが、「焦げたような味」はほぼ間違いなく加熱時の火力が強すぎたというケースです。<br />
<br />
ところで加熱の際に、どういうわけかマキネッタの愛好者には、マキネッタのカップの蓋を開けたままにしておく、という妙な風習があります。蓋を閉めて加熱しようものなら、「お前、マキネッタを知らないな」という目で見られるでしょう。<br />
なぜ蓋を開けたままにしておくのか、イタリア人に聞いても理由はよくわかりま
せん。「蓋を開けておくほうがおいしいから」というのですが、蓋を閉めて加熱しても私には味の違いがわかりません。また、加熱時に水蒸気が蓋に当たって水
滴になり、抽出したコーヒーが薄くなってしまうからだという説明をインターネットで読んだこともありますが、少なくとも私のマキネッタではどのサイズで
も、蓋を閉めても水蒸気が付くことはありません。<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
</div>
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; margin-left: 1em; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEitSZHyLRLzy7BLW0OcuoiV4nhg0H4TeP8TfTZB6lsPtZW8m7RwHvy3MSuHU5QSnHlAQFw2l-7-hcaJ-f5wBA4PAVwqbDqGdrY0Gik3TmAC4pOSmXqAcFnsOuNkUnmSYi0rFSPYx6BSm4Y5/s1600/Boiling.JPG" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img alt="抽出" border="0" height="320" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEitSZHyLRLzy7BLW0OcuoiV4nhg0H4TeP8TfTZB6lsPtZW8m7RwHvy3MSuHU5QSnHlAQFw2l-7-hcaJ-f5wBA4PAVwqbDqGdrY0Gik3TmAC4pOSmXqAcFnsOuNkUnmSYi0rFSPYx6BSm4Y5/s320/Boiling.JPG" title="抽出" width="240" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">ジュワッとコーヒーが上がってくる</td></tr>
</tbody></table>
最近のモカ・エキスプレスでは蓋が開きっぱなしにならないように、一定の角度を超えて蓋が開かないようになっています。蓋を開けられるマキネッタを使う場合でも、上がってきたコーヒーが飛び散らないようにするためにも、蓋は閉めておいた方がいいでしょう。<br />
<br />
さて、火にかけて数分間加熱すると、ジュワジュワと小さな音が聞こえてきます。そろそろコーヒーが上がってくる頃です。音が聞こえ始めてから数十秒でカップにコーヒーが上がってきます。<br />
この時、細かい泡が混じったトロッとしたコーヒーがゆっくりと上がってくるはずです。<br />
もし上がってきた液体がまったく泡のないさらさらのコーヒー液だったり、とろっと流れ出さないようなら失敗。前者は粉の挽き目が粗すぎるか、粉が少なすぎる、あるいはバスケット内の粉が不均等などが原因です。後者の場合は挽き目が細かすぎる、粉が多すぎる、粉の詰め方が強すぎるなどが原因です。前者の場合、できたコーヒーは決しておいしいコーヒーではないでしょう。後者の場合、加熱を続けると安全弁が開くこともあります。安全弁が開くようなら、コーヒーはあきらめて、火を止めてもう一度、やりなおしてください。 <br />
さて、ここでまた大切なポイントがあります。<b>火を止めるタイミング</b>です。<br />
タンクの水(または湯)を多めに入れる私の方法では、じゅわっといい感じのコーヒーが上がってきたら、蓋を閉めてそのまま<b>20秒ほど加熱</b>を続けて火を止めます。粉の詰め方によって加熱する時間は異なりますが、ノズルからボコボコと大きな泡が出てくる直前で火を止めるのがコツです。この時点では、まだノズルからコーヒーが出ている状態ですが、大きな泡が出てコーヒーが上がらなくなるまで加熱する必要はありません。実際に大きな泡とともに上がってくるコーヒーは、エグ味が強く、決しておいしいものではありません。せっかくのおいしいコーヒーに、わざわざ不味いコーヒーを混ぜる必要はありません。マキネッタでも機械式エスプレッソマシンでも、もちろんドリップでもフレンチプレスでも、どんな器具を使う場合でも、おいしいコーヒーの基本は「おいしい成分だけを抽出して飲む。まずい成分は捨てる」ということなのです。<br />
とにかく、最初にコーヒーが上がってきてから20秒から30秒程度で火を止めた時にちょうど1杯分のコーヒーが上のカップに溜まれば、粉の詰め方も適切で、おいしいコーヒーになっているはずです。<br />
なお、説明書に書かれているように規定量の水をタンクに入れて使う場合は、ボコボコと大きな泡が出てきた時点で火を止めても、それほど過抽出にはならないようです。 <br />
<br />
さあ、いよいよこれでできあがり。まだ余熱でコーヒーが上がっているうちに、エスプレッソ用のカップにコーヒーを注いでください。 <br />
<br />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjy7R9KdisNJbbA_QV8i3eL0MNN4Ot6d-JGZinWQZexGvBIxKKgDuceSdlEieRheEuFNHZiFMGzLW5iWrVFr0aVpjmnbAckWBAzUDd3PxVcogD4p8jhirRfD4J27loTydDAEDkKZ9kNrH8P/s1600/Coffee.JPG" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="240" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjy7R9KdisNJbbA_QV8i3eL0MNN4Ot6d-JGZinWQZexGvBIxKKgDuceSdlEieRheEuFNHZiFMGzLW5iWrVFr0aVpjmnbAckWBAzUDd3PxVcogD4p8jhirRfD4J27loTydDAEDkKZ9kNrH8P/s320/Coffee.JPG" width="320" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">おいしいコーヒーをどうぞ</td></tr>
</tbody></table>
<br />
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
</div>
エスプレッソ用のカップは30ccが標準とされていますが、1カップ用のマキネッタで多めに水をタンクにセットした場合、最後まで加熱すると40~50cc程度のコーヒーになりますが、いいタイミングで火を止めればちょうど30~40cc程度のコーヒーになります。<br />
とにかくここまでのプロセスが適切に進んでいれば、おいしいコーヒーになっているはずです。普段はコーヒーに砂糖は入れない、という人も、マキネッタで作ったエスプレッソはぜひイタリア風にたっぷり砂糖を入れて飲んでもおいしいですよ。<br />
<br />
<br />
<h3>
粉の状態をチェック </h3>
<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
</div>
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhyEiQ_clc4PazniyEbjOeW5xQP1I84_o9Cg7BUI3c-FXXwhvAz28Wm10nDtJFIYlrWwNSENA8iBFfmbOEu4gGC-fXgbBJNi9zdMTtGeg-LqNfNn0ZZjbPcMFv4mvsCI4I36j42zbxCcSGt/s1600/Cake.JPG" imageanchor="1" style="clear: right; float: right; margin-bottom: 1em; margin-left: 1em;"><img alt="だしがら" border="0" height="150" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhyEiQ_clc4PazniyEbjOeW5xQP1I84_o9Cg7BUI3c-FXXwhvAz28Wm10nDtJFIYlrWwNSENA8iBFfmbOEu4gGC-fXgbBJNi9zdMTtGeg-LqNfNn0ZZjbPcMFv4mvsCI4I36j42zbxCcSGt/s200/Cake.JPG" title="だしがら" width="200" /></a>もしコーヒーが「あまりおいしくなかった」という場合は、出がらしの状態を見て何が問題だったのかを判断してください。バスケットに残ったコーヒーの出がらしの状態を見ると、粉の詰め方が適切だったかどうかがよくわかります。<br />
適切に詰められていた場合は、写真のようにバスケットの形のまま固まっているはずです。出がらしの厚みにむらがある場合、粉が均等に詰まっていなかったことがわかります。出がらしがきれいな形で出てこずにぐちゃぐちゃになっているのは、粉の挽き目が粗いからです。<br />
出がらしの厚みが均等であれば、粉のおいしさを十分に引き出すことができていたはずです。<br />
<br />
<h3>
マキネッタのクリーニングとメンテナンス</h3>
使った後のマキネッタを洗うときにも重要なポイントがいくつかあります。<br />
使用後のマキネッタの粗熱が取れたら上下を分離して、タンク内に残った水を捨ててきれいに水分を拭っておきます。上のカップはざっと水で洗います。この時、<b>洗剤を使って洗わない</b>でください。<br />
新品のマキネッタや、洗剤できれいに油分を落としたマキネッタは、抽出されたコーヒーが直接アルミの金属面に触れるため、金属くさいコーヒーになってしまいます。使い終わったマキネッタのカップに付着したコーヒーのオイル分が一種のコーティング剤の役割を果たして、次にコーヒーを作るときにアルミの金属臭さがコーヒーに移ることを防いでくれます。そのため、上のカップの内部は洗剤を使わず、僅かな油分を残しておきます。<br />
もっとも、コーヒーの油分を残したまま長い間放置すると、油分が変質して逆にいやな臭いがコーヒーに移ってしまいます。毎日マキネッタを使う人ならともかく、たまにマキネッタを使うという程度であれば、洗剤を使ってもいいと思います。もし洗剤で洗ってアルミ臭が気になるようなら、マキネッタを使う前にカップに牛乳などを入れて牛乳の油分が落ちない程度に軽く水洗いして使ってもいいかもしれません。ステンレス製のマキネッタなら、金属臭がコーヒーに移ることはないので洗剤で洗ってもかまいません。<br />
アルミ製のマキネッタは、長い間水分に接していると、白く腐食してしまいます。特にタンク内に残った水分をきれいに拭きとっておかないと、そのうちにタンク内部が白く腐食してきます。腐食しても使用に問題はありませんが、見た目も悪いのでタンク内の水分はしっかり拭っておくことをお勧めします。<br />
<br />
また長い間マキネッタを使っていると、次第にゴムのパッキンが劣化してきます。パッキンが劣化すると上下の継ぎ目から蒸気が漏れるようになるので、その時には新品に取り替えてください。<br />
パッキンはマキネッタのサイズごとに専用の交換用パッキンを使います。<br />
消耗品というわけではありませんが、粉を入れるロート型のバスケットも、使っているうちに内部にコーヒーのカスが付着し、均等に湯が通らなくなることがあります。バスケット内部の掃除は難しいのですが、重曹を溶かした湯で煮沸すると、ある程度はきれいになります。掃除が面倒なら、新しいバスケットだけでも購入できますから、新品に交換することもできます。<br />
<br />
<h3>
エスプレッソの楽しみ方</h3>
マキネッタで作ったコーヒーも、所詮ただのコーヒー。自由に好きなように飲めばいいのですが、最後にマキネッタで淹れたおいしいコーヒーの飲み方について書いておきます。<br />
<br />
基本は、たっぷり砂糖を入れて甘くして飲むスタイルです。あの小さなカップにスプーン2杯か3杯ぐらい砂糖を入れて、軽くまぜて飲みます。最後の一口はコーヒーを飲んでいるのか、コーヒー味の砂糖を食べているのかわからないぐらいですが、これがなかなかおいしい。糖分は控えているという方にはお勧めしませんが、こうして甘くして飲むエスプレッソは、コーヒーというよりは飲むスイーツと言うべきかもしれません。<br />
<br />
もちろん、それほど大量の砂糖を入れず、スプーン1杯、あるいはスプーン半分ぐらいの砂糖を入れて飲んでもおいしいと思います。砂糖がエスプレッソの強い苦味を押さえてコーヒーをマイルドにしてくれます。また、あまりおいしくないコーヒー豆でも、砂糖を入れることで欠点が気にならず、おいしく飲むことができるようになります。<br />
<br />
そして、砂糖を入れずにコーヒー本来の苦味や酸味、コクを味わうというスタイルは、日本のコーヒー好きにとっては一般的な飲み方かもしれません。私はわざわざ砂糖を入れるのが面倒なので、いつも砂糖を入れずに飲んでいますが、あまりおいしくないコーヒー豆を使うと、豆の欠点が目立ちます。またコーヒーの欠点隠しのテクニックとしては、塩辛くならない程度の少量の塩を入れるという方法もあります。<br />
ちなみに、エスプレッソを飲む前に、一口、水を飲んで口の中をさっぱりさせてからエスプレッソを飲むと、よりエスプレッソ本来の味を楽しめると思います。<br />
<br />
一杯分のエスプレッソを100ccぐらいの湯で薄めれば、いわゆるアメリカーノです。<br />
湯の代わりに温めたミルクをたっぷりとまぜるとカフェ・ラテ。そして、ミルクフォーマーで泡立てたミルクを注げばカプチーノになります。<br />
薄いドリップ・コーヒーよりも、濃いエスプレッソはミルクとの相性が良いので、カフェ・ラテやカプチーノには最適です。<br />
エスプレッソは食事と一緒に飲むには量が少なすぎますが、アメリカーノやミルクとあわせると朝食の時にパンと一緒に飲むコーヒーとして最適です。ちなみに、エスプレッソの本場、イタリアではカプチーノは朝食の時に飲むものだそうで、午後にカプチーノを飲む人はいないのだとか。ヨーロッパ人にとって、ミルクは飲み物というよりは食べ物に近いのかもしれません。<br />
<br />
夏の暑い日は、マキネッタで淹れたコーヒーでアイスコーヒーを作ってみてはいかがでしょうか。<br />
マキネッタで淹れた濃いコーヒーを大量の氷を入れたコップに注ぎ、よく混ぜれば最高のアイスコーヒーになります。ドリップ・コーヒーでアイスコーヒーを作ると、どうしても薄くなってしまいますが、エスプレッソなら濃くて香り高いおいしいアイスコーヒーになります。<br />
ここにミルクを注げばアイス・カフェラテですが、熱いエスプレッソを氷に注ぐとちょっと水っぽくなってしまうかもしれません。私は氷を入れたバットに小さめの金属製バットを置いて、カリカリに冷えた金属製バットにエスプレッソを注いでコーヒーを冷やします。冷たくなったコーヒーとミルクをあわせてアイス・カフェラテを作ると、水っぽくない濃厚なアイス・カフェラテになります。<br />
<br />
好きなフレーバーを加えてフレーバー・コーヒーにしてもいいでしょう。<br />
加えるフレーバーはどんなものでも好きなものを。甘い香りのフレーバーがよく合うようですが、たとえばバニラ、ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツ、チョコレート(ココア)、カラメル、シナモン、ナツメグ、オールスパイスといったスパイス類など。<br />
この他にも、例えばレモンやライムの汁を加えればさっぱりしたコーヒーになりますし、バターやココナツオイルを浮かせるとコクのあるコーヒーに、そしてワインやリキュールとあわせればちょっと大人のコーヒーになります。<br />
<br />
マキネッタで作った濃いコーヒーは、さまざまなアレンジ・コーヒーのベースとしても最適ですし、コーヒーゼリーやコーヒー風味のケーキなどのお菓子を作るときにも便利です。<br />
<br />
マキネッタは、コーヒーの世界を広げてくれます。<br />
多くの人にマキネッタで作ったコーヒーの世界を楽しんでいただきたいと思います。yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-39057385394793222692015-07-10T19:46:00.000+09:002015-07-11T17:34:43.865+09:00ボストン美術館の和服体験イベント<a href="https://www.bostonglobe.com/lifestyle/style/2015/07/07/mfa-backs-down-over-kimono-event-response-protests/lv9NHcnpW0lsRE77d9hvkI/story.html" target="_blank">ボストン・グローブの記事</a>を紹介した環球時報の記事をネタにして「<a href="http://news.livedoor.com/article/detail/10328958/" rel="nofollow" target="_blank">ボストン美術館の和服試着イベント 「人種差別」と抗議され中止に</a>」という記事がネットで流れているけど、英文の元記事の中国語の紹介記事の日本語による相当強引な要約の紹介なので、何が問題なんだか、まるでわけがわからない。おかげでネトウヨがこの記事を転載しまくって、変な方向で炎上してたりする。<br />
<br />
<a name='more'></a>しかしボストン・グローブの元記事を読むと、つまりこの抗議の核心は、十分な説明もなく "the museum was perpetuating
racist stereotypes by presenting Asian culture as quintessentially
exotic(美術館はアジアの文化を典型的エキゾチックとして提示することでステレオタイプな人種差別を固定化しようとしている)"
ということらしい。また、モネのジャポニズムについては、<span data-reactid=".bc.1:4:1:$replies1030387820327205_1030496153649705:0.1:2:$comment1030387820327205_1030508983648422:0.0.$right.0.$left.0.0.1"><span data-ft="{"tn":"K"}" data-reactid=".bc.1:4:1:$replies1030387820327205_1030496153649705:0.1:2:$comment1030387820327205_1030508983648422:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body"><span class="UFICommentBody" data-reactid=".bc.1:4:1:$replies1030387820327205_1030496153649705:0.1:2:$comment1030387820327205_1030508983648422:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$replies1030387820327205_1030496153649705:0.1:2:$comment1030387820327205_1030508983648422:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0.$end:0:$text0:0">「現在、一部の活動家や学者の中には19世紀のヨーロッパにおけるアジアに対する熱狂を帝国主義的なオリエンタリズムに重ねて解釈している」というような文章もある。</span></span></span></span><br />
<br />
美術館がこのイベントを中止したことが正しかったのかどうかは別として、東アジア系米国人がこのイベントに不快感<span class="text_exposed_show">を抱き、抗議し、これに対して美術館側は「来場者に不快な思いをさせたことにお詫びします」というようなコメント(詳しくは<a href="http://www.mfa.org/news/2015/july" target="_blank">原文参照</a>)を出してイベントを中止したというのだから美術館側も何らかの問題を感じているのかもしれない(美術館からのコメントには、文化的に敏感な問題についても考慮しているというようなことが書かれている)。少なくとも個人的には、抗議の趣旨に納得できる部分はあると思う。<br /> </span><br />
<span class="text_exposed_show">また、この件についてハフィントンポストUSもこの件についての美術ライターの文章を載せている<a href="http://www.huffingtonpost.com/entry/museums-kimono-wednesdays-cancelled-after-claims-of-racism_559eb64ee4b05b1d028fe7e8" rel="nofollow" target="_blank">(Museum's 'Kimono Wednesdays' Cancelled After Claims Of Racism</a>、</span><span class="text_exposed_show"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1"><span data-ft="{"tn":"K"}" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body"><span class="UFICommentBody" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0.$end:0:$text0:0">日本語版「<a href="http://www.huffingtonpost.jp/2015/07/11/museums-kimono-wednesdays-cancelled-after-claims-of-racism_n_7774766.html" target="_blank">ボストン美術館の「キモノ試着イベント」が中止に 理由は人種差別、白人至上主義?</a>」)。</span></span></span></span></span><br />
<span class="text_exposed_show"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1"><span data-ft="{"tn":"K"}" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body"><span class="UFICommentBody" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0.$end:0:$text0:0">ハフポの記事では抗議者側の言い分をかなり詳しく紹介していて、全体的に美術館側に批判的な印象だ。最初から「問題が指摘されてきた」、「そもそもこれは</span></span></span></span></span><span class="text_exposed_show"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1"><span data-ft="{"tn":"K"}" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body"><span class="UFICommentBody" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0.$end:0:$text0:0"><span class="text_exposed_show"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1"><span data-ft="{"tn":"K"}" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body"><span class="UFICommentBody" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0.$end:0:$text0:0">打ち掛けであって</span></span></span></span></span>着物ではない」という調子なんだけど、打ち掛けも広義の着物だよなあ…というのは、まあどうでもいい。</span></span></span></span></span><br />
<span class="text_exposed_show"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1"><span data-ft="{"tn":"K"}" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body"><span class="UFICommentBody" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0.$end:0:$text0:0">ハフポの記事にはモネの「ラ・ジャポネーズ」についての「19世紀末にパリを席巻した熱狂的日本ブームに対する風刺」だという解釈もあると書いている。そんな解釈があるとは知らなかった。そう言われれば、数年前の日本における韓流ブームみたいな感じなのかもしれない。「ラ・ジャポネーズ」も、そういう目で見てみると、たとえばすっかり韓流ブームにハマってしまった中年女性が韓国ドラマのヒロインの服を着て、何とも似合わないのにすっかりその気になってポーズを取っている図、みたいな気もしてくる</span></span></span></span></span><span class="text_exposed_show"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1"><span data-ft="{"tn":"K"}" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body"><span class="UFICommentBody" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0.$end:0:$text0:0">。もちろん、だからダメというわけではないのだけれど、話を元に戻せば「なぜたとえば北斎の展示ではなく、いろいろと問題が指摘されているこの絵なのか」ということだ。なお、日本語版では省略されているが、ハフポUSの記事には<a href="http://mfabostonyellowface.tumblr.com/" target="_blank">抗議者たちのサイト</a>に掲載されているこの件に関する<a href="http://mfabostonyellowface.tumblr.com/post/123552545865/faqs-made-of-the-protest" target="_blank">FAQ</a>が転載されている。このFAQを読めば、彼らのアクションに対する一般の来場者の反応が推測できる。そしてこれに対するアンサーには「TBD(未確定)」の部分が多いというあたりが面白いところ。</span></span></span></span></span><br />
<span class="text_exposed_show"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1"><span data-ft="{"tn":"K"}" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body"><span class="UFICommentBody" data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0"><span data-reactid=".bc.1:4:1:$comment1030387820327205_1030515216981132:0.0.$right.0.$left.0.0.1.$comment-body.0.$end:0:$text0:0">詳しくはハフポUSの記事や日本語版を読んでいただきたいが、ハフポUSの記事のコメント欄には「自由に着物も着られないのか」、「ポリティカル・コレクトネスは現代の焚書だ」みたいな否定的なコメントも多い。日本語版のコメントは、そもそも何が問題になってるのかわからんという調子のものが目立つけど、そもそも日本ではこうした「ポリティカル・コレクトネス」を掲げた抗議のスタイルに馴染みが薄いのでよけいわかりにくいのかもしれない。</span></span></span></span></span><br />
<span class="text_exposed_show"><br /></span>
<br />
<div class="text_exposed_show">
モネの時代のジャポニズムについて、ぼくはほとんど知識がないので何とも言えない部分もあるし、日本人(ぼくもどうしようもなく日本人なのだ)は日本文化を第三者的な視点から見ることが難しいのだけれど、現代の米国という文脈に置かれた帝国主義時代の日本(そして日本が代表するとされる東アジア)のイメー
ジが、東アジア系米国人に呼び覚ます感情がどんなものなのかについて、思いを巡らせているところなのであります。<br />
<br />
(ハフポ日本語版の記事が公開されたため、7月11日に日本語版関連の文章を修正しました) </div>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-85847644517369804592015-07-09T05:34:00.000+09:002015-07-09T05:34:41.178+09:00産経の朴槿恵名誉毀損裁判について産経の朴槿恵名誉毀損裁判の公判で米国人ジャーナリストが弁護側証人に。<br />
産経が割と詳しく伝えている。<br /> <a href="http://www.sankei.com/premium/%E2%80%A6/150708/prm1507080004-n1.html" rel="nofollow" target="_blank">第7回公判の詳報(上)</a><br /> <a href="http://www.sankei.com/premium/%E2%80%A6/150708/prm1507080005-n1.html" rel="nofollow" target="_blank">第7回公判の詳報(下)</a><br /><br />
産経にしてみれば身内の裁判だから、詳報と言っても都合のいいところだけの詳報のような印象があって、検察からのイエローペーパーがらみの質問の部分の証言内容は書かれていない。ぼくとしては、まさにその部分についてまともなジャーナリストがどう答えるのか一番知りたかったのに...<br />
実際、外国のメディアが現地のさまざまな噂や報道を参考にしたり引用することは普通に行われているし、信頼できる現地メディアの報道内容を伝えることその
ものに問題はないと思う。しかし産経の記者は、真偽が不明な噂に言及した朝鮮日報のコラムを引用して、さらに朝鮮日報も書かなかった「噂」の内容を紹介し
てしまった。ちなみに、この「<span class="text_exposed_show">噂」は朝鮮日報がコラムで紹介する以前から、韓国の政治部記者の間では知らない人はいないほど有名な話でもあったという。<br /> </span><br />
<a name='more'></a><br />
<span class="text_exposed_show">証人に立った米国人ジャーナリストは、真偽が確認できない場合は周囲の人に聞くと言っているが、産経の記者はこの有名な噂の真偽をせめて現地の記者などに
聞いて確認しようとしただろうか。たぶん、確認の努力はしていない。韓国人記者に聞いても、おそらく記事にできるような内容じゃないと言われたはず。米国
のクリントン大統領のスキャンダルは重大な事実があったけれど、今回の朴槿恵をめぐる噂は、全く根も葉もない噂だったのだから、確認のしようもない。<br />
ちなみに、弁護側証人に予定されていた朝鮮日報の記者は公判を欠席したそうだが、産経の記者の情報ソースはあるいはこの朝鮮日報の記者だったのかもしれな
い。そうだとすると、欠席したくもなるだろうね。ここで変な証言をすればクビが飛ぶ。あるいは産経なんかを弁護したら朝鮮日報の読者からクレームが殺到す
る。どっちにしてもろくなことはない。</span><br />
<div class="text_exposed_show">
おそらくこの公判で検察側は、こうした「噂」をめぐることを証人に対して質問しているはずなのだが、産経の「詳報」では、「その後、検察側の質問は、(中
略)『イエロー・ジャーナリズム』の問題点などをただす質問などが続いた」という調子でゴソッと抜けている。このあたりが何とも臭い。産経としては伝えた
くない内容だったのだろう。<br />
また証人は問題の記事は「ざっと読み終える内容の記事」だったとも言う。朴槿恵の私生活に切り込むとか、大統領の職務スタイルを検証するといったような記
事ではなく、読んでも読まなくてもいいようなしょーもないゴミみたいなコラムだった…とは言わなかったけど、まあ、そういう意味を上品に表現したんだろ
う。あるいは、産経が上品にリライトしたのかもしれない。<br />
<br />
日本でもしばしばSLAPPが問題になる。今回の産経の件のように韓国でよくあるメディアが「名誉毀損」で告訴・告発されるというのもSLAPPだろうし、メディアに対する卑怯な攻撃として安易に使われているのは明らか。いくら韓国社会が名誉を重んじる社会だとしても、産経のようなどうしよ
うもないヨタ記事だったとしても、名誉毀損の乱発が韓国のメディアにとって強い圧力になっているのは事実であって、これは決して健康な政権とメディアの関係ではないと思う。<br />
少なくとも言論の自由の価値を考えれば、こんな裁判が進んでること自体がおかしいのだけれど、韓国でのこれまでの同種の裁判の判決などを考えると、今回のケースは有罪になる可能性が高いと思う。しかし、今回の国際問題にまで発展して韓国の言論の自由が問われることになってしまった産経のヨタ記事について、韓国の裁判所がどんな判断をするのか、韓国メディアウォッチャーとしては興味津々。</div>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-6794344927376427902015-07-09T05:20:00.000+09:002015-07-09T05:34:51.697+09:00韓国の政治が面白くなってる韓国の政局が面白い。<br />
与党セヌリ党の院内代表(与党内の議会側のトップで、与党議員が選出する)が青瓦台との力比べで負けて辞任したのだが、辞任の記者会見で「法と原則と正義
を守りたかった」、「大韓民国は民主共和国だ」と述べた。つまり、朴槿恵政権は「法と原則と正義に反している」、「独裁だ」と言ってのけたわけである。<br />
<br />
<a name='more'></a><br /><br />
ことのはじまりは、議会が通過させた法案に拒否権を行使した大統領が、院内代表を「背信者」という強い言葉で非難し、党の分裂の危機感をあおったことだった。<br />
三権分立のメカニズムの中で、議会は政府とは異なる独自の機能を持つ。大統領が議会の与党側の代表者を感情的な言葉を使って非難し、事実上、辞任の圧力をかけて議会側が大統領の意を受けて院内代表辞任を決め、結局院内代表は自主的に辞任することになったという経緯だ。<br />
詳しくは、ハンギョレ日本語版の<a href="http://japan.hani.co.kr/arti/politics/21266.html" rel="nofollow" target="_blank">追い出された与党の院内代表「大韓民国は民主共和国」</a><span class="text_exposed_show">、<a href="http://japan.hani.co.kr/arti/politics/21272.html" rel="nofollow" target="_blank">[ニュース分析]韓国与党に“朴槿恵色”さらに強まる...民心離反のブーメランになる可能性も</a>、<a href="http://l.facebook.com/l.php?u=http%3A%2F%2Fjapan.hani.co.kr%2Farti%2Fpolitics%2F21260.html&h=9AQGe6-g-&enc=AZPuLUwGhYrBdVAVZVvStDG5MNsk7roi09m2yeBsISiryaN33FVVgPA80KTrl06IbbYOlPBMRA3o4xw58di80KsSEAt3Gcv9hDihrirQkwVkKvTBg0KRS6WS9UifPlGUeV5cSuI_L9owKGqk07via_FRw1gFMjF7uS1a7wej3bTpHRlHe19sC9JJyAj9DF6OlhzYM6urJ2YsEI-0lQp9XUbt&s=1" rel="nofollow" target="_blank">[記者手帳]「選挙の女王」神話の結末は</a>といった記事などを参考にしてほしい。</span><br />
<div class="text_exposed_show">
<br />
とにかく、そんなわけで大統領の強大な権力にひるむことなく「国民が選んだ議会」の側から堂々と正論をぶちかましたセヌリ党の院内代表の演説は、野党側か
らも賞賛の声が上がっている。普段はセヌリ党に冷たいリベラル側の評論家たちの中にも「保守議会人の真骨頂だ」みたいな反応がある。<br />
もちろん、来年の総選挙を睨んで党内の主流・非主流の対立という背景があるにはあるのだが、それでも単なる数合わせの論理ではなく、政治家としての信念に
基づく発言だという点に意味がある。形の上では朴大統領が押し切った形で、政権の求心力を一旦は確保したものの、2年後の大統領選挙に向けて、青瓦台の圧
力に屈した与党主流派に対し、非主流派の存在感が急浮上したとも言える。…もっとも、来年の総選挙で非主流派が苦戦する可能性も高まったわけだけど。<br />
<br />
こうした韓国の政局を眺めながら、「独裁」を押し通す日本の政権と、内心ではそれをおかしいと思いながらもぐうの音も出せない日本の与党のだらしなさに慨嘆を禁じ得ない。</div>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-70947744924427602102015-03-04T23:50:00.002+09:002015-03-05T03:35:09.597+09:00カフェ・ティモール<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; margin-left: 1em; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgjZyuN6W1QnpoRm7e7nwNMiOylynGKqISGu9_Y77CbD5ga5gsIBYk2IjlGe7MWrI5BD5bUUx6TKKEcdTV0jD7uyWFOTHOa79ESud6IHFhcGajG6anQEUcWAFILWAwVALAjwOhd4vqNGiHv/s1600/etimor-green-bag.JPG" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgjZyuN6W1QnpoRm7e7nwNMiOylynGKqISGu9_Y77CbD5ga5gsIBYk2IjlGe7MWrI5BD5bUUx6TKKEcdTV0jD7uyWFOTHOa79ESud6IHFhcGajG6anQEUcWAFILWAwVALAjwOhd4vqNGiHv/s1600/etimor-green-bag.JPG" height="150" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">PARCICで買ったカフェ・ティモール</td><td class="tr-caption" style="text-align: center;"></td></tr>
</tbody></table>
PARCICで買ってきた東ティモールの生豆(<a href="http://www.parcic.org/product/cafetimor/" target="_blank">カフェ・ティモール</a>)。<br />
このカフェ・ティモールは割とポピュラーで、あちこちで飲める。普通においしい。<br />
焙煎豆も売っているので、普通に飲みたければ焙煎豆を買ってきて飲めばいいんだけど、ちょっと思うところがあって、常々もう一段階深く焼いてエスプレッソで飲んでみたいと思っていた。以前は生豆の少量の小売をしてなかったんだがしばらく前から生豆も売るようになった。<br />
昨日、小川町の方に用事があって、ちょっと時間があったので小川町のPARCICに寄って「1キロください」と言ったら、しばらく奥でごそごそやっていて、「はい!」とZiplogのバッグに入れて渡してくれた(写真)。2014年のニュークロップだそうな。<br />
<br />
<a name='more'></a>値段は、普段飲んでるアンフェアトレードのブラジルの二倍の価格だけど、まあ、フェアトレード/有機栽培だったら良心的な価格かもしれない。欠点豆も少なくて生豆の品質はいい。とりあえず、フルシティまで焼いてみた。<br />
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhc1zdT9ByeqNfyGhVCCY1UORv3myfWmnfZTDGk1Yrnw3okpOKBOvZkIv-0g437hYXF76U6yaTQue6cOosTht8FgqAEnhe-maY6JebFVCvS7Oxx3yyALxqwDI63yJjTIDPDAPgE4f-fFggW/s1600/etimor-green-beans.jpg" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhc1zdT9ByeqNfyGhVCCY1UORv3myfWmnfZTDGk1Yrnw3okpOKBOvZkIv-0g437hYXF76U6yaTQue6cOosTht8FgqAEnhe-maY6JebFVCvS7Oxx3yyALxqwDI63yJjTIDPDAPgE4f-fFggW/s1600/etimor-green-beans.jpg" height="150" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">カフェ・ティモールの生豆</td><td class="tr-caption" style="text-align: center;"></td></tr>
</tbody></table>
東チモールのコーヒーは、まあ、飲んでみれば単なる普通のコーヒーである。フェアトレードだの有機栽培だのと言っても、特別においしいわけでもなく、特別においしくないわけでもなく、普通においしい。もうちょっと安ければいうことないけど。<br />
<br />
ただ、東ティモールのコーヒーは、ただのコーヒーとしてばかりではなくて、それにまつわるいろんな物語が面白い。ポルトガルがティモールに入ってきてからの歴史や独立後の経済的な自立への努力、日本の関与とフェアトレードといったあたりもいろいろな物語がある。戦時中はしばらく日本の占領下にあった地域でもあって、そのあたりのことも現在の東ティモールコーヒーと微妙にからんできて、そんな話を聞くと「コーヒーでも飲んで応援するか」という気になったりもする。そのへんの話はいろんなところに書かれているので、ここではちょっとマニアックな話をひとつ。<br />
<br />
<div class="text_exposed_show">
<table cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="float: right; text-align: right;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgMn1XUmDJ_-roXCweAU6YckNTguEscIP6EojS-bTJA_iaErNsN8AEJ_u7xDfdMaNzAHc6bychOwA-XmA2HgRla5m9GCWfLi84hgGtxs3A9nZXIhLcM7_T9uIND0H-cbHSBnIgilQ55N_zc/s1600/etimor-fullcity.jpg" imageanchor="1" style="clear: right; margin-bottom: 1em; margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgMn1XUmDJ_-roXCweAU6YckNTguEscIP6EojS-bTJA_iaErNsN8AEJ_u7xDfdMaNzAHc6bychOwA-XmA2HgRla5m9GCWfLi84hgGtxs3A9nZXIhLcM7_T9uIND0H-cbHSBnIgilQ55N_zc/s1600/etimor-fullcity.jpg" height="150" width="200" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">フルシティに焼いてみた</td></tr>
</tbody></table>
このカフェ・ティモールもそうだけど、東ティモールのコーヒーは本来なら交配しないはずのアラビカとロブスタが突然変異か何かで自然に出来たハイブリッド種で知られている。というか、知ってる人は知っている。普通は知らないと思うけど。<br />
東ティモール以外でもいくつかそうした自然交雑種が見つかっているそうなのだが、東ティモールで発見されたこのハイブリッド・ティモールという品種は、アラビカの風味とロブスタの生産性・耐病虫害性を兼ね備えていたことで、その後、爆発的な人気を呼ぶことになる。<br />
品質が良いとされるアラビカ種のコーヒーはサビ病という病害に弱く、一度、これが流行すると広い範囲に渡って全部やられてしまって、国中のコーヒーが全滅なんてこともあったらしい。たとえば、スリランカは今では紅茶で有名だけど、19世紀前半にコーヒーが持ち込まれてからはコーヒーの栽培が盛んだった。ところが1868年(一説では1869年)に発生したサビ病の大流行でスリランカのコーヒーが全滅してしまい、その後はコーヒーの木からお茶の木への植え替えが進み、今のように紅茶で有名になったという。<br />
とにかくサビ病ってのはコーヒーにとって実に恐ろしい病気で、世界中でサビ病にやられた農園がこのハイブリッド・ティモールや、ハイブリッド・ティモールをさらに品種改良したカティモールなどの品種への植え替えを進めたんだそうだ。その結果、今では一部のスペシャルティコーヒーを除けば、世界の大部分のコーヒーがこのハイブリッド・ティモールを祖先に持つ品種だという(図参照。図中で左下の方にある「ハイブリッド・デ・ティモール」がそれ)。言い換えれば、今のコーヒーの世界があるのも、東ティモールで見つかったこのハイブリッド種のおかげ、というわけで、この東ティモールコーヒーは実に偉大なコーヒーの品種なのである。<br />
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/6/68/Coffee_Cultivars.png" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://upload.wikimedia.org/wikipedia/ja/6/68/Coffee_Cultivars.png" height="192" width="320" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">コーヒー栽培種の系統図(出典はWikipedia)</td></tr>
</tbody></table>
<br />
東ティモールのコーヒーは「ちょっと苦味が強い」と言われる。これはロブスタの遺伝子が出す苦味らしい。それで、ハイブリッド・ティモールはもっとすっきりしたアラビカ本来の風味を持つ品種へと改良されてきたわけで、その意味ではこのカフェ・ティモールは洗練されたコーヒーとは言えないのかもしれない。<br />
ただロブスタ的な苦味はそんなに嫌われるような味なのかというと、必ずしもそうでもないと思う。たとえば、イタリアン・エスプレッソでは苦味や深みを出すために意図的にロブスタを
ブレンドすることがある。アイスコーヒーにはロブスタが大量に使われていて、ロブスタの苦味は暑い日のアイスコーヒーにはむしろアラビカ100%の上品なアイスコーヒーよりおいしい。もちろんコーヒーの鑑定士がやるようなカッピングの世界では、ロブスタのブレンドなんてもってのほか、ということになるのかもしれない。嫌な苦味と麦茶みたいな変なロブスタのにおいは余計な味、雑味として、無条件に否定されてしまう。専門家でもマニアでも評論家でもない単なるコーヒー好き、エスプレッソ好きな人間が毎日飲むコーヒーに、ロブスタ的な苦味・雑味があってもそれはそれで個人的な好みの範囲の話でしかない。コーヒーのマニアだったら「雑味も味のうち、なんてことを言うのは素人だ」というかもしれないけど、だって素人なんだもん。もちろん「雑味も味のうち」なんて言うコーヒーの専門家がいたら、その人の言うことは眉に唾をつけて聞いたほうがいいね。<br />
ちなみに、ぼくはカフェ・ティモールを飲んでも全然いやな苦味なんて感じない。というか、そんなことを気にしていたらコーヒーなんて飲んでられない。カップがどうこう言うのは売る側の論理。飲む側は豆が苦ければあっさり淹れるとか、いくらでもおいしく飲む方法はあるんだから。<br />
<br />
ロブスタで思い出したけれど、昔、スタバが流行り始めて日本でもエスプレッソが話題になっていた頃、PARCICで東ティモールコーヒーについてあれこれ話を聞いたことがある。<br />
その時、焙煎済みのパッケージは(深めの焙煎ではあるんだが)エスプレッソにするにはちょっと浅いので「PARCで東ティモールのエスプレッソ・ローストを出したらどうだろう」と言った。そうしたら「東ティモールは苦味があるから」みたいなことを言われて、「まあ、売れないでしょ」ということになったような記憶がある。それ以来、東ティモールのエスプレッソのことは忘れてたんだけど、最初に書いたように、しばらく前からPARCICで生豆を売るようになったので一度、エスプレッソ用にローストしてやろうと思ってたというわけ。まだ飲んでないけど、悪くないはず。</div>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-84771447845155204462014-10-27T03:04:00.001+09:002014-10-28T02:27:47.086+09:00「黒と黄」香港雨傘革命について韓国のチャムセサンに韓国語で紹介されていた文章。とても興味深い内容なので、原文を参照しつつ日本語訳してみた。
米国の<a href="http://ultra-com.org/">「ULTRA」</a>というサイトに掲載されていた"<a href="http://www.ultra-com.org/project/black-versus-yellow" target="_blank">Black versus Yellow/Class Antagonism and Hong Kong's Umbrella Movement</a>"というタイトルの文章で、筆者は「米国のある過激派と匿名の友人(an American ultra and some anonymous friends)」になっている。
チャムセサンの記事は、Ultra-com.orgに掲載された文を<a href="http://libcom.org/">「リブコム」</a>というサイトのブログに転載されたものをベースに韓国語に翻訳されたものだが、翻訳調の韓国語は読みにくいのでここではULTRAの原文からチャムセサンの韓国語訳を参考にしながら日本語に翻訳した。<br />
ちなみに、日本語への翻訳について、筆者からの了解などは今のところ取っていない海賊翻訳であることを書き添えておく。この翻訳の利用について著作権的な問い合わせをいただいても答えるのは困難なのでご了解を。<br />
<br />
なお、チャムセサンの該当記事は以下の3本に分割されて掲載されている。
<br />
<ul>
<li>1編:<a href="http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=86271" target="_blank">[香港雨傘運動]未来ない世代の登場</a></li>
<li>2編:<a href="http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=86284" target="_blank">[香港雨傘運動]ポスト天安門、反中国感情と階級運動の屈曲</a></li>
<li>3編:<a href="http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=86320&page=1" target="_blank">[香港雨傘運動]バリケードで成長する階級闘争</a></li>
</ul>
<style type="text/css">img {display: block;width: 95%;}</style>
<a name='more'></a>
<h1>黒対黄:香港の雨傘運動と階級的対立</h1>
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/5/62997/1.jpg" title="バナー" />
<br />
<h2>PART 1 歴史 グローバルシティ</h2>
<p>さまようショッピング客は湾の反対側の金融街のスカイラインが緑と黄色に光る万華鏡の中に沈む時、自分撮りのポーズを取る。
その下で、ビクトリア港の海水は台風の前兆を見せながら静かに揺れる。
水は波打っているがクルーザーは東アジアで最も華麗なショッピングモールの一つである尖沙咀(チムシャツイ)の埠頭に停泊し、ほとんど動かないようだ。
クルーザーは世界随所の裕福な訪問客が冷暖房施設を備えた安全な環境の中で移動の便を提供する。
ひとまず船から降りると、彼らは日本式バーベキューを食べたり、
20世紀スタイルの植民情緒を売る旧時代の英国風のブティックの磨き上げられた床をすべるように動きながら、
この都市で最も洗練された商店とレストランで免税で金を使う。
</p><p>
埠頭の外では、雨がしとしとと降り始める。
雨のしずくはセルフ写真を撮る彼らのiPhoneにも落ちる。
最近は皆がKポップを聞いているが、若い少女はボーイフレンドの下手くそなギターにあわせて古い広東語の流行歌を歌っている。
人々はぎざぎざの形の香港のコインをカンパ箱に入れる。
風は強くなり始め、マイクで流れる広東語なまりの雑音をかき消す。
彼女の後には遊覧船が白く、そして静かに泊まっている。</p>
<p>
これが香港の闘いだ。その香港では広東語の古いラブソングは台風に吹き飛ばされ、
死んだようなクルーザーと金融街のあかりの下、
ショッピングモールが現れる前に消えていく。
</p><p>
ここの光景は、快適なエアコンと警戒線の中で安全を脅かされることなく、資本が
港や銀行、不動産市場を通じてアジア本土を略奪できるように考案された原型的な
「グローバルシティ」で暮らすしたたかな人間と対面する。
</p><p>
長い間、香港はアジアにおける他の西欧の活動拠点とほとんど同じ貧しい植民地の残滓以上ではなかった。
中国本土で革命が起き、産業開発と農業改革のための外国からの支援が革命の防壁としてのこの都市に注ぎ込まれたが、生活水準と福祉はすぐに改善されたわけではなかった。
この植民政権は不安定な社会を統治し、殺到する移民を受け入れるために全力を尽くすやはり暴力的な政権だった。
本土の革命後、数十年間、しばしば暴動が起きた。
<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Hong_Kong_1956_riots" target="_blank">1956年の反乱</a>は、大英帝国に対する継続的な衝突の始まりになった。
別の<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Hong_Kong_1966_riots" target="_blank">暴動の波</a>は1966年の春に始まり、1年後の<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Hong_Kong_1967_Leftist_riots" target="_blank">1967年の香港蜂起</a>で幕を下ろした。
これは香港の歴史で最大の内部紛争で、警察との間で政府庁舎の爆破や右派メディアへの標的攻撃など、全市的な市街戦を伴う大衆ストライキが起きた。
結局、5千人が投獄され、2千人が有罪判決を受け、多くの共産主義者が中国本土に追放された。
</p><p>
1967年の暴動の後、香港政府は百万人に低価格な国営アパートを提供する植民地改革計画などの福祉事業を始めた。
1950年代以来の製造業の大々的な発展は結局穏やかな賃上げをもたらし、香港は初期の「アジアの虎」経済国の一つとしての地位を確保した。
1980年代になるまで、中国の初の特別経済区域である海の向こうの深センとの地理的な近さ、そして中国本土との歴史的な関係により、香港は新しい開放中国につながる重要なリンクだった。
こうした基礎は文字通り「グローバルシティ」の基盤となった:
世界で最も裕福な人の1人である李嘉誠は、1967年の暴動後に暴落した不動産を買って財産を形成した。
現在も彼らの資産はこの都市の根幹を形成し、李嘉誠は金融街の主な摩天楼だけでなく、港までを所有する世界で最も忙しい人の1人になった。
</p><p>
港と、それを取り巻く金融構造の下で、香港は製造業から1980年代のグローバル資本主義の管理センターとしての役割を果たし始めた。
製造業が中国本土の港町に移転し、香港はこれらの新しい産業ハブを管理し、アジア本土への逆輸出の鍵としての理想的な場所になった。
香港、シンガポールと台湾、そして中国系移民の資本により、多くの新しい中国の工場地帯が作られていった。
現在、アジア系外国人による中国への直接投資は ―日本とパートナー関係にあるか日本資本の代理の<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#i">[i]</a>― 米国やヨーロッパからの投資を超えている。
</p><p>
今の中国本土と香港との境界の様子は、こうした分断を如実に描きだしている。
深セン側では開発団地が川に沿って急速に延びている:
そこには汚染された霧の下の正体不明の、半分は空のアパート群がある。
香港側は、川に沿った緑の木の葉、森に入るだけでも特別許可が必要で、軍隊により守られた境界地域全体がグリーンベルトと農業地域だ。
</p><p>
一見すると、2つの世界は敵対的に見える:
深センは「ポスト産業的な」隣の牧歌的な緑地に対抗して統制や環境とは無関係のように無秩序に拡大している。
だが事実、この敵対は最も深い相互依存を象徴している。
分割された両側は相互に共同で構成される。
深センは香港資本なしでは建設できなかっただろう。
そして香港は深センの工場なしでは決してショッピングモールとオフィスタワーの世界、そして注意深く作られた牧歌的農地を持つことはできなかっただろう。</p>
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/5/62997/2.jpg" title="深センと香港の境界" />
<i>▲深センと香港の境界</i>
<br />
<br />
<h3>未来なき世代</h3><p>
香港の復興期はベビーブーム世代によって形成された。
彼らの多くは最初は日中戦争の時に、そしてその次は1940年代の後半に国民党と共産党の軍による内戦の時にこの島に避難して来た移住民の子孫だ。
米国とヨーロッパ、そして逆説的には中国本土でのように、この世代は1960年代と1970年代初期にいくつかの反乱を主導した。
しかしベビーブーム世代の運動は、一部の人々が再構造化されたグローバル経済内での安全な地位を代価として、反乱に参加した人々に背を向け、結局は敗北したと定義される。
香港で、これは自由放任的資本主義の世界で最も貴重な実験の一つとなり、今もしばしば保守系の論評家の賞賛を受ける。
</p><p>
だがこれはまたベビーブーム世代の子どもたちへの圧力となる効果をあげた。
深センの全盛期、李嘉誠のように他人の助けを受けずに成り上がった百万長者の例は別として、当時規制されていなかった産業的な食肉処理場で働いていた親に育てられた香港の若い人たちの多くは、魂のないサービス雇用や1997年そして2007年の経済危機に直面している。
最高の大学に入るための過熱競争が強要され、その上、この体制で成功した大学生さえ異常なほどの長時間労働、所得の平均40%を住居費として支出しなければならない惨憺とした雇用を得るために戦わなければならなかった。
</p><p>
今日、香港家計の8.5%は年間100万ドルかそれ以上を稼いでいる。
この都市には<a href="http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424127887324178904578342203122255308" target="_blank">世界最大のスーパープライム住宅市場</a>の一つが<a href="http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2014/08/08/defying-gravity-hong-kong-property-prices-reach-new-highs/" target="_blank">ある</a>が、
同時に住宅不足は深刻で、<a href="http://www.scmp.com/business/article/1277488/hong-kongs-housing-supply-soar-just-mortgage-rates-double" target="_blank">住宅価格は天井知らず</a>で金持ちが投資目的で購入した数万軒のアパートは空の状態だ。
またこの都市は世界で一番人口密度が高い地域の一つで、住宅価格はとても高く、多くの若者は30代になっても両親と一緒に暮らさなければならない。
貧しい多くの人々は彼らが旺角(モンコック)や湾仔(ワンチャイ)に出勤しなければならない「新都市」にある公共住宅に<a href="http://lsecities.net/media/objects/articles/mapping-social-determinants/en-gb/" target="_blank">追い出される</a>。
他の人々はビルの屋上や路地の隅に建てられた危険で苦るしい小さなスラムを探さなければならない。
50万人以上が文字通り、<a href="http://www.dailymail.co.uk/news/article-2558403/Hong-Kongs-caged-dogs-Poverty-stricken-people-forced-live-like-animals-one-worlds-wealthiest-densely-populated-cities.html" target="_blank">鳥篭の中</a>で暮らしている。
</p>
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/5/62997/1413888169/3.jpg" title="公共住宅の分布" />
<i>▲公共住宅の分布:香港の公共住宅の多くは主要都心から遠いニューテリトリーにある新都市にある。</i>
<br />
<p>
この都市のジニ係数は0.537で先進国で<a href="http://chr.sagepub.com/content/43/1/1.short?rss=1&ssource=mfc" target="_blank">一番不公平な水準</a>であり、人口の20%以上は<a href="http://www.scmp.com/news/hong-kong/article/1345638/new-study-says-147-million-poor-and-deprived-hong-kong?page=all" target="_blank">貧困線以下</a>で暮らしている。
移住労働者は日常的に虐待され、団体交渉は不法で、2010年になるまで最低賃金がなかった。
1時間28香港ドル(約390円)の最低賃金が導入されたが、これはモンコクから空港までの地下鉄運賃にもならない水準だ。
一方、裕福な外国の事業家は、植民地時代に<a href="http://www.scmp.com/magazines/post-magazine/article/1535499/when-death-came-calling-plague-hong-kong" target="_blank">伝染病が流行</a>した時に英国の官僚が逃避するために建設された高級アパートを買える程の金を稼ぐ。
</p><p>
香港はギリシャで起きたような「<a href="http://www.bbc.com/news/business-17067104" target="_blank">アノミー的崩壊</a>」ではないが、香港の過剰労働と過消費、そして過度に都市に密集する青年たちは、失業と低賃金などで<a href="http://www.nytimes.com/2010/09/15/business/global/15drachma.html?pagewanted=all&_r=0" target="_blank">アテネを離れる</a>青年たちと多くの共通点を持っている。
先が見えない未来の前で、多くの青年は単に出て行くことを決心する。
香港での移住は今、1990年代初めの返還前の大量移民事態<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#ii">[ii]</a>以来、最も速い割合で<a href="http://english.caixin.com/2013-11-11/100603483.html" target="_blank">増加</a>している。
相変らず東アジアでの優越的な地位による相対的に低い失業率(4-5%)にもかかわらず、危機は微妙な信号を送っている:
精神健康サービスのための要求はこの十年間で<a href="http://www.bbc.co.uk/news/health-13687793" target="_blank">2倍以上</a>増加した。
香港の文化的な「死」やそして政府の<a href="http://therealnewshk.wordpress.com/2014/06/09/the-north-east-new-territories-development-project-means-dissolution-of-hong-kong-china-border/" target="_blank">開発</a>に反対するありふれたデモと雪だるまのように強まる<a href="http://online.wsj.com/articles/hong-kong-democracy-rally-city-prepares-for-record-march-1404192707" target="_blank">本土政府</a>の統制について、人々が普通に話しているのを聞くことも珍しくない。
最近の学生ストライキと中環(セントラル)(そして今は金鐘(アドミラルティ)、旺角(モンコク)、銅鑼湾(コーズウェイベイ)とその他多くの主要地点)での(再)占拠は、こうした一連の出来事の中で現れた最近の現象でしかない。
</p><p>
香港の若年層は労働の分野で特権的な位置にあるが、それにもかかわらず、2007/2008年に始まった金融危機に続き、世界で若い民衆が先頭に立った反乱という同じグローバルなダイナミックスに明確に参加している。
それらの事件に参加する民衆は、正確には彼らの周辺のすべてにぼんやりと現れた経済的、環境的そして社会的な運命を感じ取り、反撃のために選ばれた「未来なき世代」の構成員の「ウルトラ(過激派)」だ。
世界でこうした活動に参加する人々の起源と経験には大きな差異がある。
一部は学生で、一部はストリートチルドレン、サッカーのフーリガンだったりサービス労働者だったりする。
このように異なる背景から出てきたこれらの暴動は、共産主義者の理論集団エンドノーツ(Endnotes)が「典型的に互いに距離を取ってきた階級分派は、別の分派を認めたり、時には共に暮らすことを強制される」という「構成問題(composition problem)」と呼ぶものだ。
問題は、どうすれば運動が「彼らの闘争過程でプロレタリア分派を」、「構成」、「協力」または「団結」させられるのかという問いの中にある。
特に、成長し始めた運動の社会的基盤として多様な経験に直面する時の質問でもある。
多くの人々からの広範囲な共鳴があったとはいえ、最終的に現場ではすでに開始段階にある運動を生産したという結論につながる。
</p>
<h3>
汎民主派と情熱的市民</h3>
<p>これらの反乱は、エジプトでも、ギリシャでも、<a href="http://www.ultra-com.org/project/new-ghettos-burning/" target="_blank">ミズーリ</a>でも、潜在的な可能性は大きなものだったが、政治的矛盾と実践経験の不足により力を失った。
ギリシャやスペインのようないくつかの地域には、若者たちが再発見し復活した凝集力のある左派政治の伝統がある。
しかし、それ以外の地域では<a href="http://www.ultra-com.org/project/the-solstice/" target="_blank">急速に保守化</a>し、ウクライナやタイのような地域では運動を防御し、拡張し、まとめ上げる能力を持つ極右が圧倒し、不満を抱える世代を引き込んだ。
</p><p>
残念ながら香港は、多くの面で前者より後者に近い。
1967年以後、共産主義指向の左派は大衆的基盤のほとんどを失い、警察により容赦なく解体された。
一方、この国家は労働者、学生などの人々が経済再構造化プロジェクトに参加することの代価として譲歩し始めた。
中国に関し、香港内での冷戦の雰囲気は、中国経済が外国資本に開放された後も続いた。
香港政府は新しく誕生するすべての急進的な小グループに中国問題についての立場を表明することを強制することで、どんな形の共産主義であれ、その蘇生を防いだ。
抗議行動における「暴力」は、今でも必ず本土の中国共産党(CCP)による扇動だと説明される。
</p><p>
結果的に香港のいわゆる「左派」は数十年間、主に本土の「権威主義」に対する「民主主義」というナイーブな談論に支配されてきた。
北京の天安門広場での蜂起により鼓舞され、そして無慈悲な粉砕への恐れにより、香港の急進的学生の多くは1989年以来、「民主主義」のための学生主導運動として主流メディアが描いた天安門を額面通り受け止めた。
北京では、非学生の幅広い参加、北京工人自治連合会の結成、そして学生よりも労働者を重い犯罪として長期間の刑を課すという国家の決定にもかかわらず、運動の<a href="http://ns210054.ovh.net/blog/twenty-five-years-tiananmen-protests-legacies-student-worker-divide-05062014" target="_blank">メッセージの主導権</a>を握り、政治・経済体制の自由化に向けた要求を西欧のリベラル層に呼び掛けたのは学生たちだった。
イメージは歪められ、その影響はただ香港で増幅された。
</p><p>
最初の直接的な効果は「香港市民支援愛国民主運動連合会」の結成として現れた。
司徒華、李柱銘、李卓人といった人物がここに合流し始めると、すぐに彼らは本土の政府による攻撃を受けた。
2年後の1991年、香港は初めての直接選挙を実施した。この選挙では香港民主同盟<i>[注:中道、1990年創党、1994年民主党に合併]</i>と自由主義的な匯點(ミーティングポイント)<i>[注:中道左派、1983年創党、1994年に民主党に統合]</i>の選挙連合が、小さなリベラル政党の連合と共に地滑り的大勝利をおさめた。
1991年の選挙を契機として「汎民主化」陣営が誕生し、彼らはその後20年間、何回も集合離散を繰り返した。
現在、これらの選挙政党や、知識人、活動家とNGOの緩い連合とともに、「汎民主派」と呼ばれる。
<i>[注:司徒華(市民運動家、九龍東立法議会議員)、李柱銘(弁護士、香港民主党-中道/中道左派、1994年統合民主党、匯點、さらに前線(Frontier)が共同で結成-初代党首)、李卓人(香港労総元事務総長、香港市民支援愛国民主運動連合会元会長)]</i>
</p><p>
汎民主派活動家陣営の中心的な構成員の中には、中国政府の「政治的教育」のための教育課程に抵抗して形成された<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Scholarism" target="_blank">学民思潮</a>のような中高生の組織と香港の7つの代表的な大学の学生連合が結成した香港大学生連合会(学連、HKFS)がある。
これらの組織は理屈では非常に幅広い基盤を持っていることになっているが、代表はたいてい汎民主派と同じ方針を持ち、改革に対しては合法的かつ紳士的な方式を追求する。
不確かな状況で学生組織がしばしば制度化された汎民主派のグループに行動するよう強制するが、学生の多くはやはり「香港市民」という自負心を持ち、警察がデモ隊を攻撃した時に反撃する人々を非難したりもする。
最近の香港の政治状況に関しても、学連や学民思潮のようなグループは先頭的な役割と共に、最終的には抑圧的な役割をした。
<a href="http://www.scmp.com/news/hong-kong/article/1526945/protesters-storm-legco-over-northeastern-new-territories-plan" target="_blank">新界の開発</a>に反対するデモから今年の7月1日主権返還記念日に毎年行われるデモの後、少しの間行われた<a href="http://online.wsj.com/articles/organizers-of-massive-july-1-hong-kong-pro-democracy-rally-arrested-1404473049" target="_blank">占拠</a>まで、学生グループは抗議を進めるために欠かせなかったが、実際の警察の弾圧に直面すると完全に怖気づいてしまった。
</p><p>
この過程で香港の若い抗議者たちは、イデオロギー的には弱いが資金は十分な汎民主派のリベラル派と、その最右派側の<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/People_Power_%28Hong_Kong%29" target="_blank">人民力量</a>(ピープルパワー)とその追従者の<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Civic_Passion" target="_blank">熱血公民</a>(Civic Passion)周辺の緩やかな集団にまで拡大した。
熱血公民は、公式的には移住問題についてはいかなる立場も持たないが、香港の極右民族主義者を広く受け入れている。
集会で彼らの黄色いTシャツを着たメンバーが移住民(特に本土からの中国人)は出て行けと話している姿はたびたび眼に触れる。
</p>
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/2/63010/4.jpg" title="" />
<div style="text-align: center;">
<i>▲右派、熱血公民グループの指導者、黄洋達、背景は中国共産党反対の横断幕</i>
</div>
<p>
あちこちの民族主義政治とともに、熱血公民は所属国家の言語で階級対立を曖昧にする傾向がある。
政治分析的には、多くの人は、はっきりした左派よりも、むしろロン・ポール<i>[注:米国共和党の政治家]</i>やアレックス・ジョーンズ<i>[注:米国のジャーナリスト]</i>のような人々と似ている。
彼らは香港の未来を収奪する国際資本家階級の本当の役割よりも、この過程で本土の資本家らが演じた役割だけを強調する。
さらに危険なことに、彼らは香港に移住した貧しい多くの本土の中国人(またはあまり豊かではない旅行者)をこの都市のすべての資源を食い尽くそうとするイナゴの群だと表現する。
</p><p>
<a href="http://america.aljazeera.com/articles/2014/9/29/hong-kong-occupy.html" target="_blank">反中国感情</a>は香港社会の日常生活で可視的に現れるほど、広く認められた非常に大衆的な人種主義の一つの形だ。
北京の直間接的な検閲を受けない少数のメディアの一つである蘋果日報は2012年、香港に近付く<a href="http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2012/02/01/about-that-hong-kong-locust-ad/" target="_blank">巨大なイナゴ</a>を描き、「香港のために、本土の親から生まれる子供の世話をするために18分ごとに100香港ドルを払いますか?」という全面広告を掲載した。
今年の初め、100人以上が<a href="http://www.scmp.com/news/hong-kong/article/1429205/hong-kong-protesters-tell-mainland-chinese-tourists-go-home" target="_blank">「反イナゴ」キャンペーン</a>に参加して広東道をデモ行進した。
裕福な本土の観光客が好む高価な宝石店がある一帯で、彼らは「中国に帰れ」、「香港を取り戻せ」と書かれたプラカードを持ち、北京語を話す野次馬を怒鳴りつけた。
社会的な緊張が悪化した時には、こうした日常的なレイシズムは便利なガス抜きの方法であり、
これは抗議者を分裂させると同時に、珠江デルタ<i>[注:中国の珠江河口の広州、香港、マカオを結ぶ三角地帯]</i>からの移民の暴動に彼らが自然に連帯することを防ぐように構造化されている。<br />
</p>
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/2/63010/5.jpg" title="本土の親から生まれる子供の世話をするために18分ごとに100香港ドルを払いますか?" />
<i>▲香港最大の新聞社の一つの反中国人広告</i>
<p>
しかし、人々が汎民主派連合の保守主義に幻滅を感じた時、最初の可視的な代案は、戦闘的な行動を厭わない人民力量や熱血公民のような一部の少数グループだった。
若い人たちは、汎民主派の儀式のような集会や政党迎合主義を見ながら、数年でこうしたグループの大衆性は明確に高まった。
最もよく言及される事例にはこのようなものがある。
毎年6月4日、主流の民主党は1989年の天安門広場運動を記念するキャンドル・デモを行う。
熱血公民は例年のキャンドルデモの代案として、さらに戦闘的で、民族主義者(彼らは「地域主義者」と称する)や人種主義スローガンも散見される集会を始めた。
2013年、彼らの代案集会には200人しか参加しなかったが、今年は<a href="http://chinaworker.info/en/2014/06/06/7315/" target="_blank">7000人が集まった</a>。
公式のキャンドルデモははるかに大規模ではあるが、参加者はこの間、数万にまで減っている。
</p><p>
現在の「雨傘革命」では、反中国グループはまた主流から外れたように見える。
だが過去の経験から言えば、汎民主派が行動しないことで動揺し始めた時、戦闘的な青年世代を集めて戦術的な前進を可能にするのは、極右しかなかった。
香港の政治はこれまで数年間、この壁に向かって突き進んできた。<br />
</p><p>
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/2/63010/6.jpg" title="" />
<i>▲雨傘運動の過程で最近、香港全域の壁に貼られたステッカー:「植民主義反対! 新香港人(中国本土からの移民)反対」</i>
<br />
<h3>OGオキュパイと港湾ストライキ</h3>
<p>現在の「オキュパイ・セントラル(Occupy Central、佔領中環)」グループは―厳密に言えば「愛と平和のオキュパイ・セントラル(Occupy Central with Love and Peace、護愛與和平佔領中環、和平佔中)」―、香港で<a href="https://libcom.org/blog/occupy-central-hong-kong-06022012" target="_blank">最初のオキュパイ・セントラル</a>の存在を曖昧にする傾向がある。
米国のオキュパイと同時に、香港でも2011年のオキュパイ運動は市内の金融センターを目標として、香港の金融街の心臓部にあるHSBCビルのまわりにテントを張ってデモをした。
オキュパイ・セントラルが2011年の一番古いオキュパイ運動の一つだったとしても(2011年10月に始まり、2012年9月に終わる)、この運動は全盛期でさえ100人程度しか参加せず、他のデモと比べれば小規模なものだった。
それにもかかわらず、これは小さな都市国家における市民蜂起の新しい時代を開くもので、最初のオキュパイ運動の参加者の多くは新界開発に反対したり「雨傘運動」に火をつけた学生休業組織を支援するなど、現在の運動の基礎を作る方向に進んだ。
</p>
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/2/63010/7.jpg" title="最初のオキュパイ・セントラル" />
<i>▲香港の最初のオキュパイ運動</i>
<p>
だが最初のオキュパイは、他の多くの運動のように、政治的に混乱していた。
この運動は新しいアナーキストばかりでなく、例のごとくさまざまな陰謀論、短絡的な活動家、そしてもちろんリベラルの一部が混ざり合って激しく揺れ動いた。
政治的にはオキュパイ・ウォールストリートに参加したリベラルが掲げた「政治から金を取り上げろ」という皮相的な批判と基本的に通じる部分はあるが、香港のこうしたリベラルは汎民主派の一種といえる。
これらのリベラルと最初のオキュパイをした人々―若い学者、学生、失業者と家のない人々―は異なる種類のものだったが、最初のオキュパイ運動が撤去された後にマスコミとのコネクションを利用して効果的に再オキュパイの計画を国際的に伝えたのは、オキュパイ・セントラルにほとんど参加しなかった年上のリベラルたちだった。
</p><p>
トーキング・ヘッド3人衆の戴耀廷(Benny Tai)教授、陳健民(Chan Kin-man)教授、朱耀明(Chu Yiu-ming)牧師は一般投票で選出する政府を要求し、一連の集団審議の計画を作り、立法会に提案した。 <a href="http://america.aljazeera.com/articles/2014/9/30/occupy-central-domestic.html" target="_blank">移住家事労働者</a>などが排除されているにもかかわらず、香港ではこれが「普通選挙権」と見なされた。
3人の指導者たちは、この改革案が受け入れられなければセントラルで大衆的な市民不服従を行うと威嚇し、「非暴力的」で、香港の大多数の人々に反対するものではないことを強調して「愛と平和のオキュパイ・セントラル」という新しい運動を提案した。
</p>
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/2/63010/8.gif" title="「愛と平和のオキュパイ」のロゴ" />
<div style="text-align: center;">
<i>▲新しい「愛と平和のオキュパイ」のロゴ</i>
</div>
<p>
だが新しいオキュパイ・セントラルのグループがオンライン選挙を実施すると(最終的に香港人の10人中1人しか参加しなかった)、オキュパイ反対勢力は都市全域の請願と署名運動を支援に動き、世論調査の結果、多くの人が再占拠を支持していないことが明らかになった。
その後、戴耀廷は実際にオキュパイを行えば、汎民主派に対する「現実的」な市民の露骨な反対が拡大することを恐れ、この運動は「失敗した」と<a href="http://www.thenation.com/article/181591/why-hong-kongs-occupy-central-movement-has-beijing-very-very-scared" target="_blank">宣言</a>した。
この頃、公共バスの放送広告には流行に敏感な若い香港人から年を取った企業家までが出てきてオキュパイ・セントラル計画は小規模商店の営業と週末のショッピングを破壊するという宣伝が溢れた。
香港の政治家たちは抗議行動で市民社会の支持を失うことを恐れ、ほとんどの運動は事実上、秩序の名で始まる前に抑え込まれてしまった。
</p><p>
また改めてオキュパイというブランドを使ったことは、オリジナルのオキュパイの急進的な視点を新しいリベラルの主張で覆い隠すのに便利でもあった。
外部から見ると、この意味は明確ではないかもしれないが、オリジナルのオキュパイ運動は「未来なき世代」の一部が汎民主派を含む香港の政治全体と秩序を集団で批判する数少ない空間の一つだった。
このオキュパイ運動の中心的なメンバーの一部は、リベラル民主主義に対する明快な批判、つまり香港の「聖牛(資本市場の象徴)」を解体することを主張しさえした ― こうしたことは89年以来、この都市の歴史ではほとんど考えられなかったことだった。
学生や若者の急進的な部分が愛と平和のオキュパイ・セントラルではなく、結局学生ストライキを発議してセントラルばかりでなく、金鐘(アドミラルティ)、銅鑼湾(コーズウェイ・ベイ)や旺角(モンコック)の通りのオキュパイは、このような環境で行われたのだった。
</p><p>
若い民衆が汎民主派の保守派と衝突したのはこれが初めてではない。
2012年に最初のオキュパイが撤去されて緊張が香港で高まり始めた時、新しい敵対が外部に広がり始めた。
2013年3月、香港の葵青コンテナターミナルの労働者の間で大規模なストライキが始まり、これはこの数十年間、香港で最大の労働争議になった。
オリジナルのオキュパイとストライキ、そして現在のデモに直接の関連はないが、それぞれは同じ経済的沈滞と深まる階級敵対によって発生したのは明らかだ。
さらに重要なことは、こうした運動が民衆の一般的な政治意識を変化させ、この新しい認識はこれに続く運動の基盤になったということである。
</p><p>
このストライキは当初、港湾内のクレーン技術者が独立に<a href="http://www.bloomberg.com/news/2013-04-02/hongkong-intl-terminals-faces-hk-5-million-daily-loss-on-strike.html" target="_blank">始めた</a>が、汎民主派の保守派に率いられる香港職工会連盟(HKCTU)と労働党の傘下の香港碼頭業職工会(UHKD、港湾労組)が素早く目をつけた。
交渉を主導する労働組合の代表団により、ストライキ労働者の初期のエネルギーは急速に分散し、多くの労働者へのストライキの拡散は防がれた。
李嘉誠の旗艦会社である<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Hutchison_Whampoa" target="_blank">ハチソン・ワンポア(和記黄埔)</a>が所有するこの港は、香港のイメージと経済の両方にとって重要だ。
この港が閉鎖されれば、香港と中国本土の最も裕福な資本家の金脈は干上がり、地域経済全体に影響しただろう。
しかし労働組合と労働党はストライキが始まってわずか数日後に、実際に港が閉鎖されるとマスコミ―そして「市民社会」を構成する金持ち―が労働者を攻撃するだろうとし、裁判所の禁止命令を受け入れるようストライキ労働者を説得した。
</p><p>
その後、労働者たちは港湾そのものの占拠ではなく、港外の歩道の片隅にテントを張り、港への進入路の一つの正面で象徴的な封鎖を行った。
世界中のマスコミは「ストライキ」を報道したが、このショーの裏で港は普段よりやや緩慢ではあったが稼動していたのだ。
ストライキの絶頂期にも、この港は相変らず80%の稼働率を示していた。
組合員は港湾労働者のごく一部しかいなかったが、組織された労働者の間で経済的な打撃を強化しようという主張は押しのけられたり無視された。
若い支持者たちは、さらに多くの労働者と接触しようとしたが、労働組合で働くリベラル保守派はやはり彼らを脇に追いやってしまった。
</p><p>
労働組合は道路周辺の占拠によるささいな妨害でも、市民社会(つまりスト基金の主な出資者である)の好みに合わないかもしれないと心配し、すぐにこのテントを片付けてハチソン・ワンポア本社がある市内の長江センター(アドミラルティにある高層ビル)の下に小さな座込場を作った。
その時から「ストライキ参加者」たちは港から遠く離れた市内のビルの前でプラカードを持つ少数の人々になった。
結局、ストライキ労働者の要求は一部分しか勝ち取れず、労働者の多くは<a href="http://www.scmp.com/news/hong-kong/article/1232519/strike-end-sees-all-involved-losers" target="_blank">ストライキを敗北だったと考えた</a><a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#iii">[iii]</a>。
</p><p>
その後、多くの報道機関は今回のストライキについて前例がないと描写したが、ストライキに参加した労働者に対してどう感じているかと質問したところ、高齢の労働者たちは1997年の返還以前、労働党が存在せず多くの労組が不法だった時にはこの港で二回のストライキが起きたことを指摘した。
年を取った労働者たちは、他の何よりも優先して市民社会の好みに合わせて訴えるよう押し付ける労働組合や政党代表がいなかった時のストライキの方が、実際にはるかに成功的だったと主張した。
だから彼らはただ山猫ストに参加して実際に港の機能をマヒさせ、そうして主要な要求を勝ち取った。
それと較べ、最近のストライキは惨めな負けだった。
</p>
<h2>PART 2 現在 雨傘を持て<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#iv">[iv]</a></h2>
この港湾ストライキは「雨傘運動」を理解するための重要な先駆けだ。
現在のオキュパイは疑いなくこれと同じジレンマに直面している。
ストライキ労働者のように、彼らは市民社会に訴えるか、あるいは経済的な妨害を強めるかという質問の間で膠着状態に陥っている。
運動内部の分裂がこれを示している。
若い抗議者の多くは「愛と平和のオキュパイ・セントラル」の幹部に反対している。
陳健民教授は梁振英行政長官が辞任すれば封鎖を終わらせようと言い、強い批判を受けた。
だが彼らのような若い人々は、いかなる財産上の損失もあってはならず、警察が攻撃しても反撃するなと言って、民主主義、普通選挙権と非暴力に関する大衆的な言葉をオウムのように繰り返している。<br />
<br />
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/63027/1.jpg" title="張り紙" />
<i>▲非暴力を行使して民主主義のためにだけ戦おうと提案する張り紙</i>
<br />
<br />
「秩序」に対する奴隷根性は、抗議者たちをデッドゾーンに閉じ込めようとする。
多くの人は私有財産の侵害を不当だと考えるので、このデッドゾーンの中では運動に力を付与する経済的妨害をエスカレートさせることができない。
結局こうした方式の抗議は、政府にとって楽な形で自然に消滅するか、行政官の辞任といった小さな譲歩を勝ち取って満足せざるを得ない。
この難題を知りつつも、多くの人は一様に暴力集団<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#v">[v]</a>がこの島を軍事占領するための口実を作り、北京に命令を出させるために状況をエスカレートさせようとしている(という噂)を心配している。
<br />
ここで興味深い矛盾が発生する。
デモに潜在する民族主義は、「香港人」である警察は味方であり、潜在的な未来の参加者だと見なしているのに対し、軍事介入は、警察と同じ戦術を使ったとしても、一般的に拒否する。
これは結局、北京による香港の政治家のコントロール以上に、軍隊そのものが北京の直接の命令下にある本土の人によって構成されているということが問題だということだ。
しかし抗議者たちにとって、これはいかなる種類の論理的な矛盾もない。
多くの人々は警察と戦ったり逮捕に抵抗するのは逆効果だという立場を固持しているが、軍隊に抵抗するために暴力戦術を使うことは全く正当だと主張している。<br />
<br />
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/63027/2.jpg" title="バリケード" />
<i>▲モンコクのあるバリケード</i>
<br />
<br />
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/63027/3.jpg" title="バスに貼り付けられたメッセージ" />
<i>▲モンコクでデモ隊が放置された公共交通バスにメッセージを貼り付けている。このバスには1978-1981年の「民主の壁運動」の「西単民主墙」を連想させる「民主墙(民主の壁)」の文字が見える。</i><br />
<i> </i>
<br />
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/63027/4.jpg" title="車を障壁とするバリケード" />
<i>▲モンコクのあるバリケードには警察の進入を防ぐために2台の車両が停められている。3日に追加された車両の1台は簡単に撤去できないように車輪が取り外された。当時、占拠者は救急車と消防車が通るたびにバリケードを開いていた。だが2日、アドミラルティで警察は救急車のためにバリケードを開いた時、占拠空間に進入してゴム弾と催涙ガスを投入したため、その後デモ隊はこの車両の車輪を外した。</i>
<br />
<p>
ポピュリスト的な視点は、すべての衝突の原因を外部的な人種や国籍、または単に移民の身分といった問題におしつけ、民衆の内部的な敵対についての認識を遮る。
こうしたポピュリズムが優勢になると、一部の抗議者の暴動、財産の破壊そして「無礼」といったことさえも、「外部の人たち」、この場合は中国本土の人によるものとして片付けられ、少なくとも彼らが一般的な存在になるまで主張し続けるだろう。
だがストライキは既存の社会内部の階級的敵対を表面化するものであるため、そのようなポピュリストの論理を打ち破る性質を持っている。
</p><p>
現在のこの運動を前進させる道は極めて限られており、多くの経路は敗北につながる。
抗議者たちの戦術的停滞は、抗議者たちが行動しないことが一般参加者から見れば彼らが正当ではないかのように映るため、政府はただ彼らがいなくなるのを待つようにさせかねない。
すでに新しい参加者は運動に力がなく、ただ漂流しているようだと不平を言っている。
この反乱はうまくいっても一回だけの失敗した「社会運動」になりかねない。
市民社会の前に広がる不毛の光景は、貧しい人ではなく将来のNGO指導者や政治家しかいない。
最悪の場合には、香港の民衆は何の統制力もなく、インフレ、不平等と窮乏は少しも改善されることなく続く体制への参加だけが認められる一般投票権で終わるかもしれない<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#vi">[vi]</a>。
</p><p>
しかしこのような状況で、敗北は右翼の復活につながる危険がある。
極右がこの抗議行動を動かす力を得れば、この運動は全体的に民族主義に向かって進むことになるだろう。
この運動初期から「究極の普通」になり、活動力のない「レフティスト・プリックス<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#vii">[vii]</a>」を攻撃するビラと言説を配って歩く熱血公民のようなレイシスト政治集団を多くの人々が認めようが認めまいが、現在の「<a href="http://www.ultra-com.org/project/counting-riots/" target="_blank">反乱の時代</a>」において右翼は人々を引き付ける。
彼らは最近、モンコクのバリケード(アナキストが作ったバリケード)を守っていた黄色いシャツのメンバーを「青リボン(親中国デモ隊)」が破壊しようとしてから目につき始めた。
この状況は<a href="http://www.ultra-com.org/project/the-solstice/" target="_blank">ウクライナの惨めな経験</a>と似ている。
極右は西欧の方を向く資本家同盟の突撃隊のような行動をした。</p>
<br />
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/63027/5.jpg" title="" />
<i>▲「青リボン」が2日に解散を試みたことでモンコクのバリケードに集まる熱血公民会員の小グループ。バリケードの防衛は右派の役割というわけではないが、光州への露出度を高めようとしているらしい。彼らのシャツには英語で、「プロレタリア」と書かれていた。極右または「第3者主義(third positionist)」グループ<i>[注:マルクス主義や資本主義反対を強調する革命的民族主義者。ネオファシズム、民族アナーキズム、民族ボルシェビズムなど]</i>は左派の用語を簒奪して使う。</i>
<br />
<br />
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/63027/6.jpg" title="" />
<div style="text-align: center;">
<i>▲レフティスト・プリックスを信じるな<br />
解散(するようにする要請)を警戒しろ<br />
われわれがしているのはパーティーではなく市民不服従であることを忘れるな!!!<br />
私たちが望むものは真の普通選挙だ!!!<br />
カラオケ禁止<br />
記念写真禁止<br />
まだ勝利していない<br />
指導者禁止<br />
小グループ討論(リベラルのよるグループ討論のこと)禁止</i>
</div>
<br />
<h3>
「民主主義」の問題ではない</h3>
<p>だが敗北は決して避けられないわけではない。
最近の香港のどこにでもいるような若者たちは、彼らの未来が奪われていることを認識しつつあり、なぜ彼らがこの位置に置かれているのか、そしてどうすれば反撃できるのかを知ろうとしている。
巨大な隣の本土への統合が進むにつれ、中国は小さな都市国家の香港にとってまさに「未来」だ<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#viii">[viii]</a>。
これは青年世代にとって、中国もまた不吉な未来を予感させるものの一つであることを意味している。
</p><p>
運動が止まっていることに不満を持つ若い抗議者は多いが、彼らを押し進めるには孤立感と無力感がある。
特に、夜になると怒った献身的な若い人たちがたくさん出てくるが、彼らをつなぎ、活動をまとめていく方法はなさそうだ。
さらに重要なことは、これらの抗議者たちは彼らの怒りを「民主主義」と「普通選挙権」の言語に翻訳する傾向があるが、境界を越えて珠江デルタの工場労働者たちとの連帯を見つけることには失敗しているということだ。
</p><p>
だが汎民主派の専門用語がこの運動の共通言語であるという事実にもかかわらず、この運動自体は、多くの人々にとってリベラルな「民主主義」とはほとんど関係がないのは明らかだ。
実際に、ほとんどの討論で抗議者たちが実際に望んでいることは、早く他の領域に突入したいということだ。
もし彼らの目標について質問すれば、多くの人々はオウムのように同じことを言うだろう―社会的階層や世代を問わず信じられない程に一貫している。
だが彼らが「なぜ」それを望むのかと強く問えば、多くの抗議者たちはすぐ、単なる政治的な問題ではなく、経済的な問題へとジャンプするのだ。
</p><p>
人々は天井知らずの賃貸料と非人間的な水準の不平等、食費と交通費のインフレ、そして社会の底辺の膨大な人々を簡単に無視する政府を嘆く。
自由発言台に立つ人は誰もが「なぜ香港に金持ちは一握りで、貧しい人はこれほど多いのか? 私たちに民主主義がないからだ!」と―単なる間違いだとしても―主張する。
多くの人々は、リベラル民主主義が実際にギリシャや米国のような所でいかに機能したのかについて、底抜けに貧しい知識により、自分たちの指導者を「選出」できるようになれば、その指導者がインフレや貧困、金融投機といった広範囲な問題を解決してくれると主張する。
そして民主主義は、一般投票制度をいかに実行するかを考える議論ではなく、すべての社会的な病を癒やす万病薬の一種として扱われている。</p>
<br />
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/63027/7.jpg" title="" />
<i>▲中年のある男性(香港出身だが、数十年間海外で暮らし、親戚を訪問するために戻った)は、銅鑼湾のバリケードの前で写真撮影をした。彼の左には「民主」と書かれている(彼の後ろには「レフティスト・プリックス」を警告する別のポスターがある)。彼はデモ隊が交通と社会秩序を妨害することは同意しないが、警察がデモ隊に多くの催涙ガスを使っていると考える。そして彼は今、1989年スタイルの流血事態が起きるのではないかと心配している。</i>
<br />
<p>
しかしこの運動のポピュリストと民主主義に関する幻想は、ともに不安定になりかねない。
占拠運動がさらに包括的な人々に広がり、新しい参加者が彼ら自身の要求をバリケードに持ち込んでいる。
学連(HKFS)の幹部をはじめとする、本来リベラルな学生の一部は、ますますそのために不満を感じ、普通選挙権の要求に集中することを促す案内文を出している。
インタビューに応じてくれた人たちは、この運動が「混乱」し、選挙改革のための闘争ではなく、学生を攻撃する警察に抵抗する多くの新しい抗議者により「拡散」してしまうのではないかと憂慮した。
だが新しい要求は、選挙についてのありふれた要求の領域を越えて広がり、実際にこの運動に再点火する可能性がある。
一般的に、この運動を発議した人々から遠く離れた階級が合流することは、「拡散」ではなく、むしろこの運動を押し進める力を増幅する一種の位相の変化を知らせる信号だ。</p>
<br />
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/63027/8.jpg" title="" />
<i>▲「一点」に留まり、選挙改革以外の要求をしないように訴える張り紙</i>
<br />
<p>
一つ特に注目すべき可能性は、労働者たちの参加が増加していることだ。
比較的小さい香港職工会連盟(HKCTU)は10月1日(中国の「国慶日」)のゼネストを呼びかけ、少なくとも<a href="http://www.thenation.com/blog/181833/10000-workers-are-strike-support-hong-kongs-protests" target="_blank">一部の労働者</a>がこの呼びかけに応じた<a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html#ix">[ix]</a>。
以前の港湾ストライキに参加した何人かの港湾労働者も、港湾ストライキは「不可能」だろうとしつつも、デモに参加して抗議活動への支持を表明した。
だが路上のオキュパイ運動が成長していることにより、旺角のような住宅地では、他の労働者が参加する可能性がますます高まっている。
</p><p>
オキュパイをゼネストに拡大すれば、ポピュリストの仮説に疑問を提起するだけでなく、運動の排他的な政治的な要求をも本質的に不安定にする効果をあげるだろう。
例えば、港湾労働者が2回目のストライキを発議すれば、労働者の日常と若い世代の未来を略奪することについての李嘉誠など香港の資本家の責任は否定できなくなるだろう。
この対立を本土の中国人に転嫁することは単に不可能になる。
香港内部の二つの階級の敵対はますます否定できなくなり、デモは無抵抗の道を断ち切って危険であると同時に希望の未来に向かうだろう。
</p>
<br />
<h3>
台風</h3>
<p>尖沙咀(チムシャツイ)は現在占拠されているが、右翼勢力が強いといううわさがある。
バリケードはショッピングモールの外に作られ、群衆は傘の下に集まってぼんやりしたクルーザーの形の下でこの運動の未来を議論している。
右翼はクルーザーは今や本土の資本家で満杯になったと誇張しているが、左翼はそう言うことができないようだ。
下手くそなギターにあわせて広東語でラブソングを歌っていたあの少女はもういなくなり、どこかで観光客案内の看板と交通表示板でバリケードを作っているかもしれない。
だがその歌は今、人々の希望という形で空のバスと雨にぬれた政府庁舎にまとわりつき、都市全体へと拡大している。
</p><p>
台風がやってきて、海は激しく波打っている。
もうこのクルーザーがあとどれほど都市の上にいられるのかは分からない。
クルーザーの裕福な乗客、中国本土であれ、どこであれ、他の人からは見えないが警察の阻止線と白い壁の後で静かに座っている。
埠頭が占拠されれば、この港はどうなるのだろうか?
秩序という香港のみじめな奴隷根性、この運動の近視眼的な要求とひどいポピュリズムにもかかわらず、少なくとも今後、「香港はもう以前と同じではない」という点だけは明らかだ。
現在の状況を支える可能性はもはやないという事実はむしろ、この運動に潜在性があるということを確信させる。
仮にこの運動が敗北してもだ。
</p><p>
台風は本来、混沌の被造物であり、この島が洪水になれば、状況はさらに悪化するかもしれない。
だがこの混乱にはまたある種の約束がある。
現在の状態の破壊は、以前は全くの運命以上ではないと思われていた、この先のかすかな可能性を断ちきってしまう。
突破口はある。
恐らく人々は雨の中でも、突破口に向けてどう航海していくのかを学び始めている。
そして雨が何年も続いたとしても、人々には雨傘がある。</p>
<br />
<i>―ある米国の過激派と数人の匿名の友人
</i><br />
<br />
<b>[脚注]</b>
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="i"></a><b>[i]</b> 中国の経済開放の詳しい歴史と20世紀後半の東アジア資本の役割についてはジョバンニ・アリジの次の論文を参照のこと。“China's Market Economy in the Long Run,” in China and the Transformation of Global Capitalism, edited by Ho-fung Hung. John’s Hopkins University Press, 2009. p.22.<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="ii"></a><b>[ii]</b> 現在の移民は、毎日6万人が出国した1990年代初期よりはるかに低いレベルである点に注意。
<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="iii"></a><b>[iii]</b> この情報は、香港のオリジナルのオキュパイ運動参加者によるストライキの初期に数日感労働者と一緒にいた多くの人とのインタビューを通じて得られたものである。
<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="iv"></a><b>[iv]</b> 最後のいくつかの部分の情報の多くはインタビューおよび政治分派について調べるために、私たちが現場で会った人々への直接調査により構成された。私たちが会った人の一部は初期の学生ストに参加していた。他の人々は警察の鎮圧後に参加した。直接調査で集めた情報の質により、これらのセクションではリンクや引用をつけず、インタビュー引用符号だけをつけて提供されている。
<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="v"></a><b>[v]</b> 香港の組織ギャングの多くは現在、香港政府と協力して北京の利害に寄与する「愛国的」人物だ。しかしこれは一般的な真実ではない。北京が支援するギャングに関するうわさは、バリケードを作るためにデモ隊と協力したモンコクのギャングに対する報道に対抗して急増した。
<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="vi"></a><b>[vi]</b> もちろん今後、香港の民主主義が究極的には改良主義政治の限界を越える方式で階級敵対が蘇生する政治的空間を作るという主張に異議はあるだろう。これは本質的に(私たちが集められる限り)レフト21<i>[注:香港の左派組織]</i>のような一部のグループの主張だ。しかしこれは率直な立場ではない。基本的に妄想を続けさせ、敵対に対する認識を無制限に延期させる。一般的に「適当な時間」に行動を延期することは、単に完全に行動に反対する一つの方法だ。
<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="vii"></a><b>[vii]</b> 文言としては「左膠」、「レフト・ペニス」という広東語で(ほとんど見ることのない)小規模な左派グループよりも汎民主派指導部についての言葉だ。膠の文字は「にかわ」の意味だが、広東語で膠と鳩の発音が共通していることから、婉曲的に陰茎を意味するために使われる(「鳩」は陰茎の隠語)。「レフティスト・プリック」という言葉はこの数日で広く使われるようになった。この都市のすべての主な占拠地域で繰り返し聞くことができる。その上、左派も汎民主派に対して良い意味の、ちょっとした悪口としてこれを使っている。この用語を使ったとしても本質的に悪いわけではない。一部の敏感な左派は必然的に怒るが、問題は右翼がこの運動の全体に受け入れられるスローガンを鋳造してばらまいていることだ。このスローガンが(または美学でも戦術など何でも)一般化すれば、これは右翼を事実上の指導的位置につけることになる。
<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="viii"></a><b>[viii]</b> 1997年の中国政府への英国植民政権の香港返還は、アジア金融危機と同時に起き、中国もまたこの危機が引き起こした香港の経済沈滞に不合理に関連付けた。
<br />
<br />
<a href="https://www.blogger.com/null" name="ix"></a><b>[ix]</b> あいまいだが、しかし「1万ストライキ労働者」という主張がどんな現実的な根拠を持つとしても、国慶日はとにかく全国的な休日なので、労働者は働きに行く必要がない。休日だったので、休日に多くの人々は単にオキュパイ運動に参加した。だがこれは「ストライキ」ではない。<br />
<br />
以上
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-52374152012203689092014-06-26T10:41:00.001+09:002014-06-26T10:42:14.331+09:00韓国内の米軍基地村慰安婦6月25日、韓国CBSラジオの「鄭寛容(チョン・グァニョン)の時事ジョッキー」という番組の中で、韓国内の米軍基地の基地村で性売買に従事していた女性たちが国家を相手に損害賠償請求訴訟をするというので、訴訟をまとめている人とのインタビューを流していた。<br />
韓国の米軍相手の基地村については広く知られている。ただ基地村の運営に韓国政府や米軍が関与していたという話は、これまで一部では伝えられていただけで、あまり知られていなかった。そこに政府に対する訴訟ということになると、ちょっと展開は違ってくるかもしれない。ぼく自身、このあたりの詳しい事情はよく知らないので、提訴に至る経緯だとか、そのへんはよくわからない。しかし韓国政府や米軍までが組織的に「基地村」の運営に関与していた責任が裁判で認められたら、まあ、それだけで十分大きな影響があるだろうけど、最近の日本軍慰安婦に関する議論にも影響してくるかもしれないし、日本の右翼が「韓国だってやってたじゃん」と喜ぶかもしれないし、朴裕河氏をめぐる議論にも関係してくるかもしれない。<br />
ラジオのインタビューは、そうしたいろいろなこともおそらく念頭に入れて行われたのだと思う。<br />
<br />
参考までに、<a href="http://www.cbs.co.kr/radio/pgm/board.asp?pn=read&anum=13247&vnum=2945&bgrp=4&bcd=007C055E&pgm=1383" target="_blank">CBSのサイトに掲載されていたインタビュー</a>の書き起こしを海賊翻訳してみた。以下は翻訳。<br />
<br />
<a name='more'></a><br /><br />
<b>[題名]:「当局が基地村性売買管理、教育まで」</b><br />
<ul>
<li>基地村性売買は国家の強圧だった</li>
<li> 米軍慰安婦と呼ぶべき</li>
<li>国家が基地村の女性を登録・管理していた</li>
<li>警察が「米軍にしっかりサービスしろ」と教育</li>
<li>人身売買で性売買店に連れられてきた女性が多い</li>
<li> 被害女性122人が自発的に訴訟に参加</li>
</ul>
■放送:FM 98.1 (18:00〜20:00)<br />
■放送日:2014年6月25日(水)午後7時<br />
■進行:鄭寛容(翰林国際大学院大学教授)<br />
■出演:シン・ヨンスク(セウムト代表)<br />
<br />
◇鄭寛容(チョン・グァニョン)〉韓国内の米軍基地の基地村で性売買に従事していた女性たちが国家を相手に損害賠償請求訴訟をするそうです。韓国の慰安婦は日本軍慰安婦だけではない。基地村内の米軍慰安婦制度の被害者に謝罪し賠償すべきだという主張ですね。この訴訟を主導する関係者に電話して話をきいてみましょう。この訴訟を主導しているセウムトのシン・ヨンスク代表につなぎます。<br />
シン代表さん、こんにちは。<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、こんにちは。セウムト代表のシン・ヨンスクです。<br />
<br />
◇鄭寛容〉そのセウムトというのはどんな所ですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉セウムトはですね、1996年に基地村の女性と混血児を支援するために作られた非営利団体です。2004年には性売買防止法を作りました。3年前からは米軍慰安婦問題を解決するために積極的に努力しています。<br />
<br />
◇鄭寛容〉はい。米軍慰安婦といった表現を今使っているそうですね。国家を相手に損害賠償請求したということはつまり、まさに基地村の女性たちが国家の強圧によって活動をすることになった、そうですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。<br />
<br />
◇鄭寛容〉その強圧の証拠はどんな事なんですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉その当事者の方々は、米軍慰安婦たちは当時、国家が直接介入した多くの部分を証言しています。国家が基地村という特定地域を設置して、米軍を直接...<br />
<br />
◇鄭寛容〉基地村の中のどんな地域ですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉基地村の中に特定地域を設置しました。基地村という特定地域を設置して、米軍慰安婦を登録・管理をしたんです。そして米軍慰安婦にちゃんとサービスして、それから米軍と摩擦を起こすなと言って、直接国家が教育をして女性たちを管理していました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉特定地域を設置して、それから登録して、管理までしましたというのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。<br />
<br />
◇鄭寛容〉政府が直接したのですか、地方自治体だったのですか?どこがしたのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉初期は直接保健所と...初期には警察署が直接管理をしていました。そしてその後は保健所等を通して直接管理しました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉警察署に登録をしたのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。その米軍慰安婦の初期には、その、新聞を通して、私たちが確認しました。警察を通して、登録手続きをしました。その次は保健所を通して、女性たちを登録管理していました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉今おっしゃった初期というのは、いつですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉これはその、米軍慰安婦が初めてできたその、50年代後半から60年代のごく初期でした。<br />
<br />
◇鄭寛容〉50年代後半から60年代初期に、警察がどの店に誰々がいる、そういうことをすべて登録していた、そういうことですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。<br />
<br />
◇鄭寛容〉それはどんな資料で立証されているのでしょう?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉今、私たちは現在、新聞の資料と女性たちの証言から明らかになっています。<br />
<br />
◇鄭寛容〉証言もあって、新聞で報道されたこともあったんですね?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。<br />
<br />
◇鄭寛容〉その後は、今度は保健所のような場合は、いわゆる衛生診断、そんな意味で保健所が登録をしたのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。60年代には。その女性たちの性病検診のために保健所が直接登録しました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉その上に、米軍と摩擦を起こさず、きちんとサービスしろという教育もさせたのですね?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。その被害女性の人たちは、当時、毎月1回女性を直接クラブに集めて、女性たちに直接米軍にしっかりサービスしろという教育をしました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉では、教育した主体はやはり警察ですか、どこですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉教育の主体はいろいろでした。米軍の衛生課から直接出てきて教育をしたこともあり、警察署、軍属まで参加する教育でした。<br />
<br />
◇鄭寛容〉米軍衛生課の職員なら韓国人軍属ということになりますね。<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉あー、米軍の軍属です。<br />
<br />
◇鄭寛容〉米軍が直接出てきて教育をした?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。医務中隊から直接きて女性たちにスライドを見せて、性病管理についての教育を直接しました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉はい。それは米軍が直接して、それから警察も教育をしたのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。警官たちは性病検診をきちんと受けるようにさせて、そして基地村の中で米軍と摩擦にならないように教育をしました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉はあ。主にその基地村で働いていた人たちが、そこに行くことになったのは自発的だったのですか、でなければ強制的に連れて行かれたのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉その女性たちは基地村にさまざまな経路で流入しました。しかしほとんどは強要的に、広い意味では人身売買だったケースがとても多かったです。当時、ソウル駅や他の地域で人身売買されて、そして紹介業者の詐欺もありました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉はい。そうして詐欺にあったり強制的に人身売買されて行った人たちは、そこから脱出するために努力をしたのではありませんか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。女性の人たちは脱出しようとずいぶん努力していました。そして直接基地村で働いている警察と公務員に脱出を、救助を要請したりもしました。しかし当時は警察も公務員も業者側で、むしろ女性の被害を黙認していました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉警察や公務員に救助を要請したのに、それを助けるどころか、そのままずっといるように強要したということですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。むしろ被害者の人たちの証言では、借金があれば借金を返して出て行けと言われたり、あるいは直接救助を要請したその被害女性が働いていたクラブの主に直接連絡して、また女性を業者に連れていったこともがありました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉連れて行ったりもしたのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。<br />
<br />
◇鄭寛容〉こうしたことは、証言の外には現在、他に資料はないのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉ええ、ありません。<br />
<br />
◇鄭寛容〉ああ、本当に衝撃的な事実ですが、今回の訴訟に参加する人は合計何人ぐらいですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉今現在、全国にある基地村の女性は122人です。<br />
<br />
◇鄭寛容〉この人たちはみんな自発的に申請をされたのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。みんな自発的でした。現在、その政府が作った基地村特定地域は全国に分布しています。ですから実際には、さらに多くの被害者が現在生存しておられます。しかし今回の訴訟に参加される方々は122人です。<br />
<br />
◇鄭寛容〉はい。そしてこの122人はすべて警察だとか保健所だとか、とにかく国家政府の公務員たちが直接介入したという証言をしておられる?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。国家から人権を蹂躙されたという事実をきちんと証明された人たちです。<br />
<br />
◇鄭寛容〉分かりました。今回1人当り1千万ウォンの賠償を請求していますが、その1千万ウォンを請求された理由はありますか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉実際には、被害者の方々はその1千万ウォンの賠償額は、その被害内容に比べると適当ではないと感じています。<br />
<br />
◇鄭寛容〉少なすぎると感じているんですか。<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。しかし今回の訴訟を進めている訴訟弁護団と原告が合意して形成された部分です。しかし明らかにその1千万ウォンは、女性の被害に対してとても少ない金額ですが、被害者の方々はこの被害金額より、この歴史的な事実がきちんと正しく知らされることを望んでいるので訴訟をすることになりました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉はい。真相究明次元、そういうことですね?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。<br />
<br />
◇鄭寛容〉その1千万ウォンの賠償はどのような法律によるものですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉今現在、その女性たちは旧売春行為防止法や、そして国際法の人身売買規約などに違反していたので、その部分にして、今現在1千万ウォンだけ訴訟を進めています。<br />
<br />
◇鄭寛容〉すでに訴訟は提起したのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。今日提起しました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉今日。<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい。<br />
<br />
◇鄭寛容〉勝訴の可能性どう見ていますか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉えー、私としては原告の方々と一番近くで活動している私としては、勝訴すればうれしいです。必ず勝訴することを望んでいますが、被害者の方々は勝訴は別として、韓国社会がこの基地村の米軍慰安婦問題の隠された真実を明らかにするために積極的に努力をしています。<br />
<br />
◇鄭寛容〉あるいは、その訴訟に参加された被害者の方々の証言の中でですね、当時、誰かの公務員の名前だとか職位といったことを正確に覚えていて、そんなことまですべて話している人たちもいるのですか?<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉事実その被害を受けた経験はずいぶん前の記憶なので、今現在、再構成をしている段階です。ですから人によっては正確に覚えている人もいて、そうではない人たちもいます。<br />
<br />
◇鄭寛容〉分かりました。ぜひ本当に歴史に隠れた真実がきちんと明らかになることを期待して見守ります。どうもありがとうございます。<br />
<br />
◆シン・ヨンスク〉はい、ありがとうございました。<br />
<br />
◇鄭寛容〉セウムトのシン・ヨンスク代表でした。yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-7648855422573342762014-06-23T21:59:00.001+09:002014-06-26T10:44:55.775+09:00鈴木章浩議員のヤジの意味鈴木章浩都議が「早く結婚したほうがいいんじゃないか」というヤジで世間から袋叩きにされている。白々しく自分ではないと言っておいて、今ごろになって認めて神妙に謝罪をしてみせ、それでも議員は辞めないというのだから、卑怯なやつだと思う。<br />
<br />
でも謝罪会見を聞きながら、「何か違う」という印象が拭えない。ウソをついて逃げようとしたこと、辞任もせず居座っていることも問題なんだろうけど、それだけではない。<br />
鈴木章浩都議は、「少子化・晩婚化のなかで早く結婚して頂きたい」と思っていたが「本当に結婚がしたくてもできない人への配慮が足りなかった」から謝罪する? おかしくないか?<br />
<br />
<a name='more'></a><br /><br />
「産めないのか」というさらにえげつないヤジもあったというが、みんなが早く結婚したら少子化が解消されるわけではない。早く結婚しても子供ができない夫婦は珍しくない。結婚しなくても子供を産むカップルもいる。同性結婚はどうする? 子供を産まない結婚は結婚ではない?<br />
<br />
そもそも鈴木章浩都議をはじめとする保守政治家の「結婚」という制度についての考え方が、とんでもなく時代錯誤的、反人権的であることが、今回のヤジ問題の背景にある。国家のために結婚し、国家のために子供を産む、そんな価値観の中からは「早く結婚したほうがいいんじゃないか」という声が上がってくるのは、ある意味、当然。<span class="st">中国をシナと呼び、尖閣諸島に乗り込んだ右翼議員の鈴木章浩都議には、自分の発言の意味がわかってないんじゃないかと思わざるを得ない。</span><br />
<span class="st">謝罪記者会見の中で、マスコミの記者は無難な記事のネタになりそうな回答ばかりを要求していたけれど、ぼくは鈴木章浩都議に同性結婚についてどう思うのか、不妊カップルについてどう思うのか、結婚しても子供は欲しくないというカップルについてどう思うのか、結婚という制度についてどう思うのかを聞いてみたい。 </span><br />
<span class="st">少子化が日本の国力を低下させるという発想から、結婚を</span><span class="st"><span class="st">少子化対策</span>だと考え、「</span><span class="st">早く結婚して頂きたい」というのであれば、これは</span><span class="st"><span class="st">ナチス的な優性思想がちらつく</span>戦前の「産めよ殖やせよ国の為」のスローガンで</span><span class="st"><span class="st">押し付けられた</span>国策と何も違わない。</span><span class="st">少子化については、過去に「子供を産む機械」といった発言が問題になったりもした。最近では「女性手帳」が問題になった。子供を産まない女、国の為にならない子供は、存在価値を認められない。</span><br />
<span class="st"></span><br />
そんなことを考えると、鈴木章浩都議に謝罪をさせ、あるいは辞任に追い込んだとしても、そして今回、同調してバカなヤジを飛ばした別の議員を吊るし上げたとしても、また何度でも同じようなことが起きる。yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-4869987954877357102014-05-23T22:39:00.002+09:002014-05-23T22:41:14.993+09:00タイのクーデターに反対する共同声明タイのクーデターについて、Facebookに「<a href="https://www.facebook.com/notes/julius-choo-chon-kai/no-to-another-coup-in-thailand-joint-statement-by-asia-pacific-left-parties-orga/10152442296654429" target="_blank">アジア太平洋地域の左派政党と団体による共同声明</a> (原文は英語)」という文書が発表されていたので、参考までにざっと翻訳して紹介します。<br />
<br />
アジア太平洋地域の左派政党と団体による共同声明<br />
2014年5月23日 21:31<br />
<br />
タイにおけるクーデターを非難し、戒厳令の即時廃止を要求する地域の左派政党と団体による共同声明。<br />
この声明に署名していただける団体は、<a href="mailto:int.psm@gmail.com">int.psm@gmail.com</a> に電子メールを送ってください。<br />
<br />
<a name='more'></a><br />
<hr />
またタイで起きたクーデターに「No!」<br />
<br />
以下に署名したわれわれの団体は、プラユット・チャンオチャ指導部下のタイ軍隊により行われた最近のクーデターを強く非難する。<br />
<br />
今回、2006年のクーデターの約8年後に起きたクーデターは、タイの民主主義や社会正義を拡張するものではなく、単に独裁的支配の掌握を強化し、既存の
民主的団体を弾圧しようとするものでしかない。軍はすでにメディアとインターネットに対する取締りを始め、クーデターに反対する人々を逮捕している。<br />
<br />
このクーデターは、自分たちの力を強めるために民主的空間の縮小を企むタイの支配階級の利益を保護することを目的としている。タイの暫定軍事政権は、政治
危機を解決するための自由かつ公平な選挙の実現には関心がなく、支配に対する明らかな脅威とみなされる表現の自由を保護するものではない。<br />
<br />
タイ軍は、たとえば2010年の赤シャツによる民主主義を求める抗議運動に対する血なまぐさい大虐殺のように、民主化運動への冷酷な弾圧で知られている。<br />
<br />
ゆえにわれわれは以下を要求する:<br />
- タイにおける戒厳令を即刻停止し;<br />
- タイの人々が民主的に将来の政府を選べる選挙プロセスを回復し;<br />
- タイにおける弾圧と政治的反体制派の逮捕をやめ、すべての政治犯を釈放し;<br />
- ASEAN各国の政府は共に、タイでクーデターを非難し、終息させるための圧力を行使し;<br />
- すべての国の政府は暫定軍事政権を承認しないことを示すために、外交官をタイから撤収させよ。<br />
<br />
軍事クーデターとタイの民主主義の回復のためのたたかいのために、われわれはタイにおける民主化運動との連帯を強化する。<br />
<br />
署名団体:<br />
1. Parti Sosialis Malaysia (PSM)<br />
2. Partido Lakas ng Masa (PLM), Philippines<br />
3. Socialist Alliance, Australia<br />
4. Turn Left, Thailand<br />
5. Social Action for Change (SAC), Cambodia<br />
6. Socialist Aotearoa, New Zealand<br />
7. Unite Union, New Zealand<br />
8. Thai Alliance for Human Rights – Australia<br />
9. Awami Workers Party, Pakistanyuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-47780830822621337772014-04-25T08:17:00.000+09:002014-04-25T16:40:46.268+09:00あえてセウォル号の船長を弁護する韓国のニュースサイトを見ると、どこもかしこも連日セウォル号事故のニュースで埋まっていて、日本でもずいぶん話題になっているけれど、まあ、だいたい「船長は悪いやつで、救助の体制もなってなかった」という感じだろうか。<br />
特に、乗客を放り出してさっさと逃げ出したセウォル号の船長だとか、操船ミスだったようだとか、船員は非正規職だったとか、つまり船員のレベルが低くて船が転覆して、被害を大きくしたかのように伝えられている。でも、本当にそうなんだろうか。いろいろな情報を集めてみると、乗客の避難誘導での責任は確実にあると思うのだが、それ以外の部分では必ずしも断定的に船員が問題だったとばかりも言えないような気がする。<br />
4/23にCBSラジオが放送した<a href="http://www.cbs.co.kr/radio/pgm/board.asp?bgrp=6&pgm=1378&pn=read&mcd=BOARD1&bcd=007C059C&anum=48903" target="_blank">弁護士とのインタビュー</a>を聞いていると、船長をはじめとする乗組員はそれなりに努力はしていたように思われる。 <br />
<br />
<a name='more'></a>そもそも事故の発端は、「若く経験の浅い女性航海士」の不可解な操船だった、と言われているのだが、このあたりは「難所を行く大型客船を小娘に操縦させていいのか」みたいなニュアンスが感じられて気持ちが悪い。で、実際に、いろいろな情報を総合すると、難所とされている部分は通りすぎて、あとは障害物のない海域に出るところで、操船に難しい部分はなかったため、船長は三等航海士にまかせて部屋で休んでいたという。<br />
そして、事故のきっかけになった進路変更は、通常の進路変更だった可能性があるという。この航路では、その地点で右に10度の進路変更をするのだという。航海士はここでまず5度の進路変更をした。ところが、この5度の進路変更の前から、船はやや左に傾いていたという情報もある。そもそもこの船にはバラストだのスタビライザーなど、いろいろな問題があったという話は前にも書いた通り。元々傾いていた船が、右5度の進路変更がきっかけになって大きく左に傾いてしまったというわけだ。<br />
それに加えて、この船は積み荷の固定が不十分で、船が傾いたことで大きな音をたてて荷物が崩れた。これに驚いて操舵士が逆に左に15度舵を切って傾きを復元しようとしたらしい。ところが大きく左に傾いていた船は、取舵に反応せず、逆に左に大きく30度ほど傾いてしまったというのだ。<br />
このあたり、頭の中で船の傾きと舵の動きを考えてもらいたいのだが、確かにそうなる。左に傾いた状態で、船の下部にある舵が左に角度をつけると、推進力は「左」ではなく「斜め上」に向かう。つまり船底には右上へのベクトルがかかり、船の上方は荷崩れで左下へのベクトルがかかる。それで船体が大きく左に傾いた、ということらしい。<br />
<br />
結局、積み荷が崩れて左側が重くなっていた船は復元力の限界を超え、横倒しになってしまった。後は慣性で船が大きく右旋回することになる。つまり、そもそも原因とされた右側への大きな進路変更はなかったということだ。<br />
<br />
さて、ここでなぜ16チャンネルではなく、12チャンネルで済州管制センターに連絡をしたのか、という問題があるのだが、前にも書いたように16チャンネルでは外部の多くの人が傍受しているので問題が大きくなるのを恐れたという話もあるが、連絡をした航海士によれば、操舵室には12chと16chにチャンネル設定された2台の無線機があり、16chは操舵室の右、12chは操舵室の左にあったという。船体が左に大きく傾き、16chの無線機に手が届かなかったので、とにかく急いで12chにセットされていた無線機で連絡をした、という。単なる言い訳かもしれない。その後、その無線機で16chでの交信をしているし、チャンネルを変更することがそれほど難しいとは思えない。それでも、とにかく無線交信をした航海士はそう言っているということで、それなりに合理性はある。<br />
<br />
では、この間、船長は何をしていたのか。大きく船が傾いたとき、下着姿でくつろいでいた船長はあわてて操舵室に来たという(救助された後、<a href="https://www.youtube.com/watch?v=ZEDcEGTgA5U" target="_blank">毛布を腰に巻いている映像</a>がニュースでしばしば流れる。ズボンをはく暇もなく飛び出してきたわけだ)。船が傾いていてまともに歩けず、滑って転んでお尻を打ち付けたとかで、這ってきたらしい。それほど時間はかからなかったということだ。<br />
<br />
そこで船長は船の姿勢を回復しようとしていた可能性があるという。エンジンの出力を調整したり、舵を調整したりすれば、完全に横倒しになってない以上、姿勢回復のための操作に必死になっていたことは容易に考えられる。<br />
それでも転覆の可能性があるので、船長は乗客にライフジャケットの着用を指示した。問題はどうして甲板に出ろという指示をしなかったのかということだが、セウォル号が所属する船会社は以前、同社が運行していた漢江の遊覧船事故があった時、乗客が甲板に出て水に落ち、多くの被害者を出したことで、船会社が内部的に事故の時に乗客を甲板に出すなという資料を作っていたという。<br />
また交信記録ではセウォル号側は何度もしつこく「いつ救助艇が来るのか」と尋ねている。<br />
30度も傾いた船の甲板なんて、ほとんど壁みたいなものだ。甲板に出て、さらに船が傾けば間違いなく海に転落する。潮流が早い海域で、まだ海の水は冷たい。落ちれば潮流に流され、捜索は困難を極めるだろう。海に落ちれば1時間ぐらいでたぶん低体温症で死んでしまう。周辺に救助艇がいないのに、海に転落したら乗客は助からないとベテラン船長(船長は非正規職だった、というけど、彼は定年まで同社で働き続けた船長で、その後非正規の形で雇用が継続されている。おそらく多くの修羅場を経験してきただろう。少なくとも、そのへんの馬の骨を拾って船長をやらせていたわけではない)が判断したとすると、それはそれで一理ある。<br />
<br />
実際にどのような案内放送が行われたのかも問題だが、船長は「脱出できる状態で待機せよ」というような指示を出したというのだが、それが正確に伝わったかどうかもよくわからない。いずれにせよ、乗客は船室でじっとしていろ、という意味で理解した。<br />
その後、救助隊が到着し、脱出しろという放送があったかどうかもまだわからない。とにかく、救助隊が到着した時点で退去しろという放送の指示をしたというのだが、その時にはほとんど船は横倒しの状態で、船室にはどんどん水が入ってくるような状況で、脱出の放送があったとしても脱出できたかどうか…<br />
それで、退去の指示を出して、船長は操舵室から出て救助艇に乗った、という。<br />
<br />
ここまでのストーリーは、船長と話をした弁護士の話に、その他伝えられているいくつかの情報を加味したもので、実際にこの通りだったのかどうかは全くわからない。単なる可能性のひとつでしかない。しかし、決して無理なこじつけのストーリーでもない。「そうだった」と言われれば、そうだったのかもしれないと思う。<br />
<br />
朴槿恵大統領は、「船長は殺人に等しい」と言ったとか。また検察も<span class="st">不作為による殺人の容疑を適用することを検討しているとも言う。</span><br />
<span class="st">船長の判断や行動にまったく問題がなかったというわけにはいかないとしても、今の段階で船長や乗組員を無責任な破廉恥漢と言ってしまうのはどんなもんだろう。</span><br />
<span class="st">むしろ事故の直接の原因は、中古の船に無理な改造をして、まともな積み荷の固定装置もつけず、各種の故障が放置されていたことで、わずかな外乱で荷崩れを起こしたことで、その責任は船会社にあるのではないだろうか。</span><br />
<span class="st">そして事故を大きくした原因は、迅速な救助活動ができず、船が沈みつつあるというのに適切な対応も取れず、右往左往した当局にあるのではないだろうか。</span><br />
<span class="st">「とんでもない船長」にすべての責任を負わせてはいけないと思う。</span>yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-51091326565699895522014-04-22T05:02:00.001+09:002014-04-25T08:20:02.523+09:00元セウォル号航海士とのインタビューについて<span class="userContent">韓国のメディアは毎日、朝から晩までセウォル号関連のニュースを伝えているが、4/21のJTBCニュース9で、セウォル号に乗って問題の航路での運行の経験がある<a href="http://news.jtbc.joins.com/article/article.aspx?news_id=NB10468123" target="_blank">ベテラン航海士とのインタビュー</a>が放送された。これまで指摘されていなかった数々の疑問や、なぜこのような事故が起きたのかについての説得力のある情報が含まれている。</span><br />
<span class="userContent">この電話インタビューは、航海士のなまりが強い上に、話し方がまずくてよくわからない部分もある。さすがのソンソッキも話をまとめるのに苦労しているのが面白いけど、それはまた別
の話として、ウェブサイトの文字起こしも不正確(</span><span class="userContent"><span class="userContent">たとえば</span></span><span class="userContent"><span class="userContent">サイトのコメント欄に「スターポルトチェイン」は「スターボード・テン(面舵10度)」というコメントがついていた</span>)で細かいところはよくわからないのだが、とにかくこれまでの報道では出てこない話<span class="text_exposed_show">で、びっくりした。ぼくが理解した内容としては、ざっと以下の通り。<br /> </span></span><br />
<a name='more'></a><br />
珍島の管制海域に入れば管制センターとの交信をして確認しなければいけないのに、船側からも管制センター側からも交信がなかった。<br />
珍島管制センターが使う16チャンネルの周波数を使わずに済州島の管制センターが使う12チャンネルを使ったことで事故対応が遅れたという指摘があるが、
16チャンネルは多くの関係者が傍受しているので、このチャンネルを使うと問題が大きくなることを恐れて12チャンネルを使った。<br />
どうしようもなくなってから16チャンネルで珍島管制とのやりとりが始まった。<br />
船の傾斜については、スタビライザーだのバラストだのという問題以前に、そもそも貨物の固定がいい加減だった。乗船時の人数確認もしていない。固定器具を設置していなかったのは、固定器具が高価だからだ。<br />
固定が不十分なので、ちょっとした進路変更で荷崩れする。そもそもこの海域は渦が発生して進路変更が多いところだという。経験が浅い航海士が自動操船を切って手動に切り替えて操船していて、荷崩れの音に驚きおかしな操船をして、船の姿勢復元ができない状態になった。<br />
<br />
…というような内容で、つまり、乗船時の作業もいい加減、船舶の運行管理や管制の体制もいい加減、事が大きくなることを恐れて隠そうとしたのも問題、ということになる。<br />
おそらくこのインタビューの内容は、さらに取材を重ねて検証された後に詳しく報道されることになると思うけど、JTBC、やるなあ。<br />
<br />
この他にも、この船に乗っていた機関士8人のうち5人が、しばしば船が傾くので危険を感じて辞職していたとか、経営者が海運の素人だとか、縁故採用が多かったとか、事故の原因について興味深い情報を伝えている。<br />
<br />
<span class="text_exposed_show">(追記 4/25に <a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/04/blog-post_25.html" target="_blank">関連記事</a> を追加しました。)</span> yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-2736997686533864922014-04-20T16:28:00.000+09:002014-04-25T08:19:05.006+09:00セウォル号<br />
<span class="userContent" data-ft="{"tn":"K"}">大惨事になってしまった韓国のセウォル号。救助作業は遅々として<wbr></wbr><span class="word_break"></span>進まず、時間だけが無駄に流れ、家族の焦りはつのるばかり。まだ事故の全体像は明<wbr></wbr><span class="word_break"></span>らかになっていないが、漠然としたものが見えてくるにつれて、何<wbr></wbr><span class="word_break"></span>だか暗澹たる気分が強まる。<br /> この事故の背景には、技術的な問題、安全管理の問題、そして救助<wbr></wbr><span class="word_break"></span>システムの問題がある。<br /> </span><br />
<a name='more'></a><br />
事故のきっかけは濃霧で出発が遅れたこと。この遅れを取り返すた<wbr></wbr><span class="word_break"></span>めに通常の航路ではなく、危険な近道をしたらしい。<br />
最大の難所で、理由はわからないが何かがあって、(1)無理な急<wbr></wbr><span class="word_break"></span>旋回をした。<br />
この時に積み荷が崩れ、船全体がバランスを崩したのだが、(2)<wbr></wbr><span class="word_break"></span>過積載で船の重心が高くなっていたか、(3)固定が不十分だった<wbr></wbr><span class="word_break"></span>可能性があるという。<br />
しかし普通ならそう簡単に船がひっくり返るものではない。ところ<wbr></wbr><span class="word_break"></span>がこの船は、船体の安定維持のための(4)バラストタンクと(5<wbr></wbr><span class="word_break"></span>)スタビライザーに問題があり、船員は修理を要求していたのに部<span class="text_exposed_show">品の調達が難しいなどの理由で(6)適切な修理が行われていなか<wbr></wbr><span class="word_break"></span>った。<br /> もしかすると、(1)の急旋回は、(2)から(5)までの要因の<wbr></wbr><span class="word_break"></span>どれか、あるいはこれらが重なり、実際の操舵角度以上に舵が効く<wbr></wbr><span class="word_break"></span>オーバーステア状態になってしまっていた結果かもしれない。<br /> さらに、当時操船の責任者はこの海域を航行するのは初めてだった<wbr></wbr><span class="word_break"></span>という。ベテランでも難しい海域に、姿勢制御システムに問題があ<wbr></wbr><span class="word_break"></span>る船を経験の浅い航海士に操船させた船長の責任もある。<br /> <br /> 船長といえば、今回の事故は船長の責任は重大だ。船が傾き、危険<wbr></wbr><span class="word_break"></span>な状態になった時の(7)船長の対応は、(8)安全マニュアルに<wbr></wbr><span class="word_break"></span>違反するまったく不適切なものだった。危険になった時に全員甲板<wbr></wbr><span class="word_break"></span>に出るように案内すべきだったという。安全な誘導ができなかった<wbr></wbr><span class="word_break"></span>理由として、(9)安全教育や訓練、安全対策の不足などの理由が<wbr></wbr><span class="word_break"></span>指摘されている。避難誘導がきちんとできていれば、全員助かった<wbr></wbr><span class="word_break"></span>かもしれないという。</span><br />
<span class="text_exposed_show">(4/21追記)伝えられるところによると、船長は救助艇が到着していない状態で傾いた甲板に出ると海に転落する可能性があり、潮流が早く水温が低い海に投げ出されると危険だと判断した可能性があるという。救助艇到着後、避難するよう放送するように指示した、または指示しようとしたと言われるが実際には放送は行われていない。(追記終わり)</span><br />
<span class="text_exposed_show"><br /> 船体が完全に傾き、救助活動が始まった時点での問題もある。<br /> 外に出てきた人たちの救助はうまくいったのだけど、船内に閉じ込<wbr></wbr><span class="word_break"></span>められた人の救助ができなかった。最初の数時間は本当に貴重な時<wbr></wbr><span class="word_break"></span>間で、この時間に適切な救助活動ができていればずいぶん救えたと<wbr></wbr><span class="word_break"></span>思うのだが。<br /> 転覆してしまった後のことについては、(10)危機管理システム<wbr></wbr><span class="word_break"></span>の不在ということに尽きる。対策本部が2つもあったり、未確認の<wbr></wbr><span class="word_break"></span>情報が飛び交ったり、対策本部が誤報を連発したり、ここにマスコ<wbr></wbr><span class="word_break"></span>ミの低俗な報道や名前を売りたい政治家が登場したり、もうめちゃ<wbr></wbr><span class="word_break"></span>くちゃ。<br /> 民間の優秀なダイバーが集まっているのに、せっかくの装備や人材<wbr></wbr><span class="word_break"></span>を指揮する人がいないどころか、民間の活動を邪魔しさえしている<wbr></wbr><span class="word_break"></span>という。日本や米国が支援提供の意思を示しているのに、この混乱<wbr></wbr><span class="word_break"></span>状態ではとても外国の支援を要請できる状態ではない。<br /> <br /> 事故から5日。水に濡れない空間があれば、生存者がいる可能性は<wbr></wbr><span class="word_break"></span>まだ皆無ではない。最善を尽くしてほしいと思う。</span><br />
<br />
<span class="text_exposed_show">(追記 4/22に <a href="http://andenkoko.blogspot.jp/2014/04/blog-post_22.html" target="_blank">関連記事</a> を追加しました。)</span>yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-33921371061882619902014-04-02T10:08:00.000+09:002014-04-15T06:07:35.995+09:00F-35という戦闘機<span class="userContent">日本ではジェット戦闘機のことなんて、自衛隊関係者か、さもなくば軍事オタクやマニアでもなければ、ほとんど知られていない。ぼくもそうだったのだけど、何年か前に外国人から「武器を知らずに『戦争反対』なんてナンセンス」と言われて、それもそうだと思った。それ以来、少しずつ、戦争のシステムを気にするようになったのだが、最近、特に気になってるのがF-35という開発中の戦闘機だ。</span><br />
<br />
<a name='more'></a><br /><br />
<span class="userContent">F-35は米国のロッキード・マーチンを中心に開発されている多機能なステルス機(レーダーに映らない)で、とても高度に電子化された最新型の戦闘機だ。大きくわけてF-35A、F-35B、F-35Cの3種類があって、Aを基本としてBは垂直離着陸ができるようなジェットノズルが付けられているタイプ、Cは空母に搭載するタイプ。いろいろあるけど、日本はF-35Aを導入することを決定した。</span><br />
<span class="userContent">問題は、このF-35の開発が難航していて、どんどん完成予定が延びていること、それに伴って開発費も膨れ上がり、最終的な価格も当然高くなる。本来、多国籍開発体制で、従来より安くできる、という売り込みだったはずなのだから、逆に高くなるというだけでも失敗なのだが、当初の価格の二倍以上になっているのだから、それだけでも大失敗といっていい。</span><br />
<span class="userContent">普通だったら「失敗したプロジェクト」として放棄されてもおかしくないほどトラブル続きなのだが、すでに諦めるわけにはいかないほど莫大な資金が投資され、開発プロジェクトに参加している企業や共同開発国のことを考えると、「大きくなりすぎて潰せない」という。<br />
日本もF-35は購入計画だけでなく、このプロジェクトには少なからず関与していて、IHIや三菱重工が製造に参加しているほか、F-35の整備センターを
日本に作る計画もあるらしい。<br />ちなみに、整備センター(という名前になるのかどうかはともかく、整備工場みたいな施設)というのは、普通の整備工場とは異なるF-35特有のブラックボックスの交換や、飛行のたびに必要になるステルス塗料の塗装などを行うF-35に特化した施設だという。<br /> </span><br />
<span class="userContent">さて、日本にとっての問題は、まずF-35の価格があまりにも高価である上に、日本企業が莫大な投資をしていること、そして
ライセンス生産の予定もあるということで、日本と<span class="text_exposed_show">しては最初から引くに退けない選択をしてしまったということだ。F-22やユーロファイターのような出来合いの戦闘機を買ってくるというような話ではないのである。<br />
武器輸出三原則を捨てて防衛装備移転三原則とやらを決めたのも、秘密保護法を通過させたのも、安倍政権の趣味もあるだろうけど、これはF-35の開発に日
本が関わっていることと無関係ではない…というか、ぼくはF-35の開発に参加していなければ、三原則や秘密保護法はずいぶん違うものになっていたと思う。実際、IHIがエンジン開発に参加することになったというニュースは秘密保護法の議論がはじまった2013年11月のこと。三菱重工の参加は秘密保護法が成立した後の2014年1月だ。</span></span><br />
<span class="userContent"><span class="text_exposed_show">いうまでもなく、戦闘地域で使われる戦闘機の開発に日本がかかわるのだから、従来の武器輸出三原則にひっかかってしまう。戦闘機の国際開発プロジェクトに
参加するなんてことを想定していない日本の情報保護に関する法制度では、最高級の極秘情報に属する戦闘機の製造に関する情報の保護はできない。<br />
民主党政権が次期F-XとしてF-35の導入を決めた頃、同時に三原則の見直しや秘密保護法が議論されていたのは、そういう理由だったわけだ。</span></span><br />
<br />
<span class="userContent"><span class="text_exposed_show">もちろん次期F-Xの決定は、戦闘機の速度がいくか、航続距離がいくら、搭載能力がいくらといった性能だけじゃなくて、ミサイル防衛計画なんかも同時に進められていたわけだけど、イージス艦だとかミサイル防衛計画だとか対潜哨戒システムだとか、そして米国などの同盟国との共同作戦を行う場合のインターオペラビリティだとか、さまざまな要素が複雑にからんでいる。逆に言えば、日本をどのように「防衛」するかという大きな防衛のプランの中で決まってくる。たとえば、領空に入ってきた外国の飛行機を追い出せばいいんだ、という前提なら、F-35みたいな高度な機能や多機能な戦闘機である必要はない。F-35は対空ばかりでなく、対艦、対地の戦闘能力が高いことが特徴だが、これは次期F-Xが決まる前の2006年に自衛隊の統合作戦遂行のための</span></span>統合幕僚監部が設置されたことと無関係ではないはずだ。やはり2006年に防衛産業を育成するための防衛事業庁が設置されていることがF-35開発への参加、ライセンス生産、そして武器輸出への伏線になっている。 <br />
<span class="userContent"><span class="text_exposed_show">とにかく機種選定に関しては結局、中長期的な防衛計画の枠組みで決まるので、「F-35は高いから買わない」とかいうオプションはないのだろう。</span></span><span class="userContent"><span class="text_exposed_show"><span class="userContent"><span class="text_exposed_show">実際の価格は従来の戦闘機の2倍近くになりそうだというし、メンテナンスも従来の戦闘機と違ってとんでもなく費用がかかるという。しかし</span></span>「必要なら買う」しかない。そして、計画が立てられた時は法律に抵触する可能性があっても、「必要なら法律を変える」ことで対応するという形なのだが、どうもこれは釈然としない。</span></span><br />
<br />
<span class="userContent"><span class="text_exposed_show">こうして見てみると、武器輸出三原則、秘密保護法、日本版NSC、集団的自衛権…といった最近日本政府が打ち出している数々の防衛省がらみの政策は、結局、ずいぶん前から防衛官僚が米国や日本の軍事産業とともに入念に準備してきた政策だったということが見えてくる。昨年の秘密保護法の議論は、最初から結論ありきだったわけだし、三原則の見直しもF-35をめぐる武器ビジネスの仕上げというわけだ。</span></span><br />
<br />
<span class="userContent"><span class="text_exposed_show"><span class="userContent"><span class="text_exposed_show">民が主人であるはずの民主主義国家の</span></span>防衛政策は、しっかりと国民に
説明し、必要であれば立法手続きを取り、その上で計画を樹立するというのが本当だと思う。ところが、F-35をめぐる一連の動きは、官僚が計画を立案、遂
行して、最後の段階になって強引に法律を作って辻褄をあわせるという順番で、国民への説明だの理解だのを求めという姿勢はどこにも見えない。口を開けば防衛だ、安全保障だ、積極的平和だという日本の政府だが、</span></span><span class="userContent"><span class="text_exposed_show"><span class="userContent"><span class="text_exposed_show">日本の防衛というやつは</span></span>本当にこんな調子で事業を進めていいとは思えないのだが。</span></span>yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-9020834429176303482014-03-14T23:36:00.000+09:002014-03-17T14:39:36.978+09:00新自由主義に強奪されたフェアトレード<style type="text/css">div {margin-bottom: 1em;}</style>
<div>
コーヒーは好きだし、フェアトレード・コーヒーやオーガニック・コーヒーなんかにも興味はある。
まあちょっと高いけど、品質はそこそこ悪くない。
ただ、オーガニックは別として、コーヒー屋の店頭に並んでいる品揃えの一種としてのフェアトレード・コーヒーというのは「何か、違う」という気がして仕方がなかった。
かといって、正統フェアトレードの作法に従うのも、正直言って少々疲れる。毎日特定の種類のコーヒーだけを飲み続けるというのもアレだし。
いや、そもそもコーヒーという飲み物そのものが、極めて帝国主義的だったりする。
コーヒーだけじゃなくて、チョコレートも砂糖も、うむ帝国主義って、なかなかおいしいものなんだ…というのはともかく、帝国主義と「公正貿易」というのはいかにも矛盾している。
<br />そんなことを考え始めるとキリがない。フェアトレードだの帝国主義だのの矛盾に無駄に悩まず、普通の不公正貿易コーヒーを愛飲している、というとウソになる、単に安くておいしからいいや、といったストレートな理由で不公正貿易コーヒーを飲んでいるわけだ。<br />
そんなある日、韓国のチャムセサンに掲載されていた<a href="http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=73407">「新自由主義に強奪されたフェアトレード」</a>というテキスト(原文韓国語)を見つけたのだけど、これがなかなかおもしろかった。
韓国でも最近、フェアトレードが流行しているそうなんだが、やっぱり韓国の左翼もフェアトレードについては似たようなことを感じているらしく、そのあたりの議論のタネとして(週例討論会の資料だ)、フェアトレードをめぐる話題がまとめられている。
<br />討論会用のテキストということもあって、必ずしもこの内容はフェアトレードにかかわる人たちが同意するようなものではないと思うし、いろいろな論点がスルーされている部分もあるように思う。
フェアトレードについては素人なので、この文章について気の利いたコメントはできないけれど、フェアトレードについて考えるきっかけとしては悪くないと思う。<br />
以下、ざっくり翻訳してみたので、フェアトレードに興味のある方はご一読を。
<br />
<a name='more'></a></div>
<div>
<h1>
新自由主義に強奪されたフェアトレード</h1>
<h2>
[週例討論会]フェアトレード、何が公正か</h2>
<div class="chamSign">
オ・スンウン(ソウル大人類学科) 2014.03.12 18:28</div>
[討論文-編集者]<br />「フェアトレード」が伝える「優しいチョコレート」
<br />
2月13日のバレンタインデーの日、ソウル市城北区は「優しいバレンタインデー」チョコレート販売イベントを行った。
ここで販売されたチョコレートは「フェアトレード」の国際認証を受けた有機チョコレートだ。
この運動の歴史が短い韓国で、地方自治体が直接フェアトレード運動の主体になったのはとても異例だ。
城北区はすでに昨年、韓国フェアトレード団体協議会と業務協約を結び「フェアトレード先導区、城北」を宣言し、地方自治体で初めてフェアトレード条例を制定した。
フェアトレードの販売拡大、フェアトレード通り造成など多様なイベントで倫理的消費文化の拡散を宣言したのだ。
<br />
しかしまだ韓国ではフェアトレードの論理が馴染んでおらず、こうしたフェアトレード製品の流通が何を意味するのか、簡単に思い浮かばない。
個人によって、ただ良い有機農製品を購入することだったり、第3世界の貧しい原料生産者の自立のための寄付だったりする。
あるいはスターバックスのように「フェアトレード」に進出した大企業の倫理的消費マーケティング戦略に巻き込まれているのかもしれない。
他方、わが国のフェアトレード市場の規模は2012年に130億ウォン程度なので、特別な意味を付与することが難しかったりもする。
<br />
韓国での本格的なフェアトレード運動は、2007年の韓国フェアトレード連合の結成から始まった。
その過程で「美しい店」、「女性環境連帯」、「トゥレ生活協同組合」と業務協議を結び、そのネットワークが発展した。
そして最近、協同組合の論理の浮上と共に、次第に注目されつつある。
しかしまだ販売網が大衆化しておらず、いくつかの市民団体の協力体制の中で小規模に運営されている程度だ。
そのような面から見れば、地方自治体が積極的に主体になった上の事例は、この運動に今後、どのような展望があるのかを示す事例と考えられる。
<br />
今回の週例討論会では、代案貿易運動から倫理的消費者運動まで、多様なスペクトラムと歴史を持つフェアトレード運動について調べよう。
特にフェアトレードの大きな転換点になった90年代中後半の世界的な情勢と新自由主義危機管理政策の全面化がいかなる影響を与えたのかを探り、この運動の歴史的な教訓を見つけたい。
</div>
<div>
<h2>
フェアトレード運動の歴史と変貌</h2>
フェアトレード運動は、1946年メノー派キリスト教の緊急支援団体である
MCC(Menonite Central Committee)がプエトリコの低所得層女性が作った手芸品を輸入したことがモチーフになった。
第2次世界大戦の後にはヨーロッパの罹災者が作った工芸品に拡張され、これは北米初のフェアトレード機構であるテンサウザンド・ヴィレッジの基礎になった。
このようにして救護活動から始まったフェアトレード運動は、1968年に国連貿易開発会議(UNCTAD)で「援助ではなく貿易」が必要だという主張が提起され、低開発国家の発展政策の一環として照明を受け始めた。
<br />
その後、70-80年代には「連帯の貿易」として社会運動の性格が強まる。
代案貿易運動と認識され、彼らは政治的見解を明確にした。
たとえば米国のレーガン政府は、独裁政権を追い出して執権したニカラグアのサンディニスタ左派政権に対して禁輸措置を取ったが、これに対抗して「イコールエクスチェンジ(Equal Exchange)」という運動団体はニカラグアの農民と連帯するために、オランダを経由して彼らから高品質のコーヒーと家庭用品を輸入した。
このように、不当な被害を受けている国々と意識的に連帯して不公正な国際貿易システムを改革しようとする政治的運動に発展したのだ。
<br />
その後、90年代を経てフェアトレード運動は大きな転換を体験する。
フェアトレードに対する認証制度が導入され、主流秩序に進入する。
認証制度とは、いくつかの条件を満足する製品に対し、フェアトレードを仲介する団体がフェアトレード商品であることを認証する制度だ。
ちょうどKSマーク(訳注:韓国のJISマークのような制度)と似ている。
たとえば原料生産者の場合、販売収益の一定の割合を生産者の共同体を運営するための組合基金として出したり、有機農管理基準を遵守したり、大規模プランテーション事業主ではない小農でなければならない等等の基準がある。
そして彼らから原料を購入して加工製品を作った企業にフェアトレード認証マークを出す。
認証制度の導入後に新しく生じた現象は、大企業にフェアトレード認証基準の審査を受けて認証を受けろというキャンペーンだった。
代表的な事例として、世界的なコーヒー専門業者のスターバックスがある。
もちろん、スターバックスのコーヒー商品の全てがフェアトレードの商品ではない。
実際の売り上げに占める割合は非常に低い。
<br />
これは既存の不買運動と違い「このように行動すれば『フェアトレード』と認める」というメッセージを投げるので、企業を引き込むには効果的だった。
こうした戦略は、運動の内部に激しい論争を呼び起こした。
なぜなら大企業に最低限の基準だけを守ることを要求するのはフェアトレード運動が持つ精神的な出発点から遠ざかる結果を生みかねないと憂慮したからだ。
こうした双方の対立は、2011年にも激しくぶつかった。
フェアトレード認証が大企業にもマーケティング効果を与えることが確認されたため、事業的な面からこれを望む立場としては、基準を緩和して簡単に認証を取得できるようにするべきだと強調した。
実際、米国のフェアトレード団体であるFair Trade USAは、これまでの小農協同組合の資格基準を変更し、大地主が所有するプランテーション商品にもフェアトレード認証を付与した。
この決定により、Fair Trade USAは世界のフェアトレード認証機構のネットワーク組織であるフェアトレード インターナショナル(Fairtrade International)と決別することになる。
<br />
このように、フェアトレード運動の歴史は大きく3期にわけられる。昔も今も、強かろうが弱かろうが、倫理的な消費と精神的な連帯感に訴える点はすべて同じだ。
だが生産者と消費者の連帯性に基づく運動という性格から、仲介と認証機関による絶対的な規定力が基礎になる運動へと変貌した。
そのような客観的認証機関の登場により、交易量では一層進展したのは事実だ。
だが前に言及した激しい内部の対立からわかるように、現実の権力関係に対応する認証機関としての役割は、危機管理政策の手下に転落する危険が非常に大きいように見られる。
<br />
<h2>
フェアトレード認証制度と公正価格をめぐる対立</h2>
フェアトレードの核心は「公正価格」だと言える。
不合理な貿易取り引きから疎外された人々に正当な値段を支払すべきだというその精神から見ればそうである。
ところがこの「公正価格」は市場価格と連動するほかはない。
市場価格を基礎として、ここに「倫理的消費」を引き出すことができる程度の若干の加算価格がつく。
この加算価格は生産者の努力と水準によって決定されるのではなく、第1世界に存在する潜在的な「倫理的消費者」の財布を緩める程度により決定される。
だから「倫理的消費」を刺激するマーケティングが絶対的だ。
そうすることで市場価格との差別化に成功できるからだ。
実際、フェアトレード製品の広告文句には、「世界の貧困と戦うあなたの選択」といったように、感受性を刺激する内容がしばしば登場する。
<br />
しかし、もし市場価格が非常に低く設定されると、一定の加算価格がついても生産者にとってはとても低い水準にならざるをえない。
90年代、ベトナムなどでコーヒー豆の生産量が爆発的に増え、2000年代からコーヒー価格が暴落し始めた。
当時、第3世界のコーヒー生産者は途方もない苦痛に耐えなければならなかった。
たとえば2002年にはコロンビア産のウォッシュト・アラビカ1ポンドの国際価格格はたった65.26セントだった。
これでは農民の生活を保障するには非常に不足する。
実際、2002年、フェアトレード協同組合のメキシコのUCIRIでは約150人の農夫が生計を求めて離脱した例もある。
<br />
その後、こうしたコーヒー価格が十数年間で着実に上昇したが、前に言及したコロンビアのウォッシュト・アラビカ1ポンドの国際価格格は2011年には283.82セントと、4倍以上上昇した。
これはフェアトレードが保障する190セントを大きく上回る価格で、フェアトレード認証に多くの企業が参加するように誘導できる。
なぜなら企業の立場としては、市場価格とあまり違わない価格でフェアトレード認証制品を消費する階層に簡単に進入できるからだ。
そのため、コーヒー価格がフェアトレードの保障価格の下でまた大幅に下がれば、これは参加企業の離脱を呼び起こすことになる。
つまり市場価格の変動にフェアトレードが従属する状況が生じることになった。
そのため市場価格を安定させようとする別途の国際的な努力が伴わなければ、フェアトレードのシステムも揺らぐことになる。
<br />
こうした問題は、消費者だけでなく、生産者にも現れる。
前に言及したように、市場価格が暴落すればそれより若干高い公正価格でも、絶対金額が低いため、生産者の離脱が発生する。
反対に市場価格がフェアトレードの保障価格より高くなればフェアトレードではない他のルートを通じて販売する誘引が発生する。
実際、コーヒー部門でフェアトレードネットワークに参加する生産者にとって、彼らの必要を充足させるにはフェアトレードコーヒーの販売量は非常に不足しているのが実情だ。
生産者も生産量の20%だけをフェアトレードで販売しているだけだ。
<br />
こういう現象は、フェアトレードの認証制度が持つ脆弱な性格を表わす。
しばしば想像されるのとは違い、認証団体が完全に販売の責任を取らないためだ。
認証団体は資格を付与するだけだ。
そのためフェアトレード販売網で契約されない物は、一般の市場を通じて販売される。
<br />
こうした脆弱性があらわれる理由は、倫理的消費者に絶対的に依存しなければならない構造的な限界と、有機農のようなウェルビーイング品目や、特別な気候と土質で生産される作物に集中する生産条件のためだ。
実際、フェアトレード製品のほとんどがコーヒーであることからこれを確認できる。
そしてその中でも特定の品種に制限されている。
実際、その割合も、世界のコーヒー交易量の1%にもはるかに満たない。
大規模プランテーション農業の構造がすでに構造化されているためだ。
それで前に言及したようにFair Trade USAがFairtrade Internationalと決別し、大規模集団農産品にもフェアトレード認証システムに引き込んだのだ。
<br />
このように、認証体系を拡張させようとする政策は、品目を多様化させる過程にもあらわれる。
代表的には、フェアトレード携帯電話だ。
携帯電話に欠かせない数種類の特殊な鉱物があるが、これらの鉱物の生産者に認証団体が提示した基準を遵守すればフェアトレード製品だと認証する。
そしてこれを原料として生産した携帯電話にその認証マークを付けてやるのだ。
<br />
こうした認証制度の拡大と変化はフェアトレード運動が持つ弱点から必然的に発生せざるをえない。
公正価格を維持するためには、絶対的に倫理的消費に依存しなければならない構造なので、消費者に品質を保証する客観的制度が欠かせないからだ。
それでフェアトレード認証団体は、現地の生産者に優秀な品質の維持と倫理的な生産過程を遵守するように監督する役割を担うことになる。
しかし現実的に見れば、こうした監督が現地の行政力と結合して、常時運営されなければ、何度かの巡回訪問で終わるほかはない。
結局こうした現実的な問題により、自ずから主流制度への進入と拡大をせざるをえず、過去の代案貿易運動としての性格はますます小さくなる。
<br />
<h2>
収益形成の観点と危機管理政策に照応するフェアトレード</h2>
主流制度への進入と拡大は、必ずしも否定すべきことではない。
運動が代案に発展するというのは、他の主流秩序を作ることを意味するものだからだ。
問題は、その過程で権力構造を改革する政治が必ず伴わなければならないが、その過程が抜けている。
たとえば、主に認証制度の拡張について悩む人々は「世界化は避けられない」と考える。
その一方で、新自由主義世界化が世界の貧しい人々に対して否定的な影響を与えることを否定しない。
結局、フェアトレードネットワークは彼らを保護する最も重要な手段の一つだと主張する。
しかし、新自由主義世界化の出現は避けられないものでも、取り返しがつかないものでもない。
世界市場での競争規範が個別の政府が自主的に行動することができなくさせたとしても、こうした状況はほとんどの国家が自ら新自由主義的政治、経済協約を締結することによって作られた。
<br />
だがフェアトレードを収益の形成の観点から見る立場の人々は、マクロ経済的な権力関係の不平等に挑戦するのではなく、地域的次元での対応に適応すべきだと強調する。
こうした観点は、国家間の政治経済の力学を無視する結果を生むこともある。
しかしこうした不公平な力の構図はフェアトレードネットワークに編入されるない生産者ばかりでなく、編入された生産者の暮らしも威嚇する。
フェアトレード製品で最も多くの交易量を占めるコーヒー産業の危機が、どのようにして訪れたかを見ればこれを簡単に確認できる。
<br />
90年代末のコーヒー価格の深刻な低下は、ほとんどが新自由主義政府と国際金融機構により触発された一連の事件によるものだった。
ICA(国際コーヒー連合)の価格維持システムが崩壊し、コーヒーを生産していた貧しい国家に負債危機が訪れた。
そして世界銀行とIMFの新自由主義政策が、これらの国々に商品輸出を拡大させた。
負債償還に必要な外貨を稼がなければならないベトナムなどの国家は、コーヒーのような商品の輸出の拡大で答えた。
しかし輸出の拡大は、地球的な供給過剰を招き、その商品の価格は暴落した。
その結果、破産、大量移民、全世界の小規模コーヒー農家の飢謹が発生した。
このように、国家間の政治経済力学が現在の伝統的市場のコーヒー価格とフェアトレード市場のコーヒー価格の格差を作った。
ところがこれに対してフェアトレード活動家は、逆説的にコーヒー価格を下げる主犯になるこのシステムに、もっと多くコーヒーを販売するために努力を傾けることで対応しているのだ。(Gavin Fridell)
<br />
しかし一方から見れば、マクロ経済的な権力関係から相対的ではあれ、むしろそうした権力関係に照応する形態で作動したりもする。
たとえばフェアトレードは、国連による公的開発援助(ODA)プログラムと政策的に非常によく似た形態を帯びたりもする。
先進国の開発途上国市場への進出や介入計画にフェアトレードの特典を入れる傾向が目立つ。
外国人直接投資と各種国際開発協力プログラムがフェアトレードを媒介に作動するのだ。
「民主主義と自治支援」、「企業家的精神訓練」、「民間パートナー協約」、「麻薬類栽培退治名目」等などにフェアトレードの概念が活用される。
<br />
これは、先進国が開発途上国に行っていた援助方式の変化と解釈できるが、実際に先進国の国際開発処から資金を受ける活動家が、こうしたプログラムを通じて旺盛な活動を行っている。
ここにフェアトレード認証機関も関係する。
実際、フェアトレード認証製品が一番多く売れる英国では、認証機関が昨年、韓国ウォン換算で30億ウォン程度の支援金を受けた。
それでも経済危機の余波で、前と違って減っているのだ。
こうした開発支援金はこれだけでは終わらない。
フェアトレード運動陣営が不公平な国際関係の執行者だと非難していた世界銀行からも、プロジェクトの支援を受けることが珍しくない。
<br />
市民団体が国家から補助金の支援を受けることが日常化された今日、こうした批判に対して現実的な困難によるやむを得ない選択だと見なされたりもする。
ところが問題は、これが単に金の問題だけで終わらないことにある。
その理由は、歴史的には開発援助プログラムが常に政治的であり、理念的な性格と結びついてきたためだ。
たとえば左派政府が執権する地域では、こうした支援プログラムが縮小または除外される。
あるいは、まったく彼らと政治的に反対側にいたり、中立的な勢力に経済的支援をする媒介体として作動したりもする。
一種のショーウィンドウ戦略であるわけだ。
このように、権力の象徴である金は、その出処によって常に権力関係を再生産してきた。
そのためにフェアトレードにおいても支援金そのものの問題より、それが目標とする政治的性格の方が重要だ。
<br />
<h3>
フェアトレードの歴史から私たちが学ぶ教訓</h3>
スターバックスの有機フェアトレードコーヒーの話に誰もが食傷している今日、フェアトレード運動は急激に主流秩序に編入されている。
前に言及したように、各国の政府と地方自治体は勿論、世界的な金融機構までがフェアトレードを始めている。
しかしフェアトレードの歴史にその精神を振り返れば、不公平な貿易構造を改革して、代案的な貿易秩序を作るという抜け目のない夢があった。
たとえその実行方法が倫理的消費に依存するものであっても、である。
<br />
ではこの運動が私たちに与える教訓が何なのかを振り返ってみよう。
それは貿易取り引きにおいて、随所に蔓延する不公正な権力関係を暴き、公正に変える努力と闘争だろう。
たとえば先日、韓国ばかりか全世界を驚かせたカンボジア労働者の虐殺鎮圧事態を見よう(参照:カンボジア衣類協会、労働者殺人鎮圧決定的役割、韓国企業も参加)。
1か月10万ウォンも受け取れない労働者が生産する衣類製品の月間の販売総額は数千万ウォンに達する。
10万ウォンが間違っていても、数千万ウォンが間違っていても、フェアトレード運動が指摘した不公正な貿易関係は、こうして私たちが自覚できなかった新しい場でさらに荒れ狂っている。
<br />
これは現在のフェアトレードにも同じように適用される。
現地で行われる季節性賃労働者の増加と企業型自営農の増加は、私たちが知らない搾取の問題が潜在していることを暗示する。
収益形成の観点と政治的利害関係が結びつくほどに、こうした労働搾取の問題は水面下に隠れている可能性が高い。
<br />
一方では、まだ韓国ではこうした先進国が体験した対立と問題を論じるにはあまりに歴史が浅いと指摘されている。
フェアトレード認証制度を遂行する団体さえないのだ。
しかしそのために、さらに私たちにとってフェアトレード運動が与える教訓を探ってみることが重要でもある。
なぜなら歴史的な発展に基づく自然発生的な流れではなく、外部から挿入された形態で運動が進む可能性が高いためだ。
そしてそれは前に指摘したように、政治的な権力関係により侵食される憂慮が大きい。
<br />
一例としてメキシコのサパティスタ運動の地元チアパス産のフェアトレードコーヒーが韓国のホームショッピングで売られている現象を見ると、これが果たしてサパティスタとの連帯を象徴しているのか、でなければイクトゥス宣教会の宗教的な宣教活動の一つの形態なのか紛らわしい。
実際、イクトゥス宣教会は中南米でキリスト教布教活動を目的とする宗教団体だ。
もちろん、彼らの宗教活動が必ずサパティスタと関連しているという原則はどこにもない。
だが私たちにとって重要なことは、フェアトレード運動が意図した当初の意義から抜け出し、その実用性に侵食された現実を果たしてどう見るべきなのかを問い直すことだ。
<br />
もしわれわれがフェアトレードの急進的な意味をよみ返らせることができれば、それは生産者と消費者の直接的連帯を通じ、資本間の競争秩序から脱出して生産現場を民主化させることであろう。
これが多少むなしく聞こえるとしても、新自由主義により強奪されたフェアトレードがすでに片側に傾いているのなら、また反対側に戻すことがさらに切実な戦略であるかもしれない。[討論文終わり]
<br />
* 討論文整理:ソン・ミョングァン(チャムセサン企画委員)
<br />
以下は提案発表文全文。
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<div class="chamimgbox">
<img src="http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/1/60993/01.jpg" /></div>
<div>
<h1>
フェアトレード、どう理解すべきか?</h1>
<div>
オ・スンウン(ソウル大人類学科)</div>
今では韓国でもフェアトレード製品を買える。
市場に発表された製品ごとに製造会社と内容は違っても、主原料が輸入される時、フェアトレードの基準が遵守されていればすべてフェアトレード製品と呼ばれる。
包装紙に刻まれた公認ロゴが該当製品が本当のフェアトレード製品であることを保証する。
<br />
このようにフェアトレードは、「フェアトレードのロゴが入った製品」という自明な物の姿で私たちの前に登場した。
しかしその完成の過程が私たちの目の前で直接見えない限り、私たちにとってフェアトレードはとても漠然とした何かでしかない。
フェアトレード陣営が直接フェアトレードについての説明をしてはいるが、その説明も手で触れない抽象と観念を羅列しているだけだ。
<br />
このような状況でフェアトレードを批判的に理解することは、その進入点からして不明なことのように見える。
しかし質問の中に答があると言う。一番確実な方法は、フェアトレード陣営が私たちに提示するその抽象と観念から食い込むことだ。
<br />
<h3>
0. 経済的観点の不在</h3>
フェアトレード陣営に今の名声を持たらしたのは、世界貿易の構造が第3世界の貧困の原因だという批判ではなく、その構造を直接変えようとした行動力だった。
彼らはフェアトレードという代案貿易モデルを実験して、その適用事例を増やすことで全ての貿易秩序を変えることができると話す。
小さな代案の花を咲かせて巨大な現実を覆ってしまおうという計画だ。
<br />
この美しい計画の真価を確認するためには、その計画の構成要素が世界貿易構造を正すという本来の目標をきちんと示しているのかをよく確かめてみなければなるまい。
もちろん、われわれはフェアトレード陣営が自らフェアトレードを説明する言葉と文などで、彼らの計画が示す方向をぼんやり感知できるだけだ。
<br />
<div style="font-weight: bold;">
[世界フェアトレード機構(WFTO)が発表したフェアトレードの10項目の原則]</div>
<ul>
<li>経済的に疎外された生産者のための機会の提供</li>
<li>透明性と責務性</li>
<li>公正な貿易慣行</li>
<li>公正な価格支払い</li>
<li>児童労働と強制労働禁止</li>
<li>差別撤廃、性平等、結社の自由に寄与</li>
<li>良好な労働条件の保障</li>
<li>力量強化の支援</li>
<li>フェアトレード広報</li>
<li>環境の尊重</li>
</ul>
ところでフェアトレード陣営は、彼らの計画を案内する長くて短い文書で労働と価格、発展などの経済的概念を押し出しているにもかかわらず、経済に関する体系的かつ根本的な観点を提示することを避けてきた。
つまり経済に関連して、表層のさまざまな要素を先頭に立って変えながらも、そうする理由を一つの経済的な観点から説明していないのだ。
<br />
フェアトレードのこうした「観点」の問題は、これまでフェアトレードをめぐる議論ではあまり扱われなかった。
ここには何よりもコーヒーやバナナ生産の現場が一般的なフェアトレード製品の消費者から遠くに位置する現実の背景が大きく作用したと見られる。
フェアトレードを疑って検討する決定的な契機は、とても遠にあるということだ。
多くの脱植民主義研究者が指摘するように、その間隙の背後には物理的な距離だけでなく、植民主義の歴史とその歴史が作り出したヨーロッパ中心の叙事と知識がある。
私たちがフェアトレードを開発途上国の経済と結ぶ新しい関係の代案として受け入れる前に、これまで開発途上国経済を理解するために慣習的に動員してきた主観的な要因が何なのかを十分に反省しなければならない。
<br />
上の問題意識により、この文は経済的な観点、つまり物質的な次元の観点を生かし、既にフェアトレード陣営が作り流布してきた正義(justice)の論理としての「フェアトレードの論理」を代替する新しい説明を出し、究極的にはフェアトレードを批判的に理解するための一つの端緒を用意することを目標とする。
認識的な次元についての議論まではしないとしても、それについても一定の予備議論を提供できることと期待する。
<br />
本格的な議論に入る前に、次の前提を明確にしたい。
<br />
最初はフェアトレードが、ただマクロ経済的モデルだけで意義を持つということだ。
明らかに、この仮定は世界貿易構造を是正して、開発途上国の貧困を解消するというフェアトレードの公式の目標であり約束に基づいている。
あれらの表現でわれわれは、フェアトレードが呼ぶ「生産者」という名が、農作業をしながらやっと子供を学校に送り、病気になれば病院にも行くといった具体的な人間でなく、国際貿易に関して大部分の開発途上国が置かれている貧困の現実を全体的に示していることが分かる。
言わば、フェアトレード陣営が「不公正貿易」の真実を発見する視点は、最初から地球的であり、また一般的だ。
それでも実際に現実として、フェアトレードは中南米とアフリカ、アジアの全輸出経済人口の中では数的にきわめて制約的であることに加え、産地認証制度による条件付きの参加だけを集めることで、一般的な開発途上国の貧困の現実を把握するためのきちんとした標本集団さえ作れなかった。
理想と、その実現の方式の間でのこうした乖離は、フェアトレードの基本的な欠陥だ。
この欠陥を問題にするという意味で、今後の議論はフェアトレードが開発途上国の経済に一般的に適用されるべきモデルだという観点を押し通すことにする。
<br />
二番目は、フェアトレードが植民主義と新自由主義の時代を経て、確立し深刻になった世界資本主義構造で胎動し、相変らずそこに根をおいているということだ。
この仮定は、近代資本主義に対する歴史的な洞察を要求し、そのような洞察を通じてわれわれは今の貿易構造が支えている現実をより広く分厚く理解することができる。
例えば不公正貿易という事態の外観は、開発途上国を数世紀にわたり(そして最近の新自由主義の時期に急進的に)輸出用生産経済に縛りつけることで、その反対給付として先進国が各種の生活必需品を安く多様に消費しつつ(労働大衆の生活費用と賃金が安くなるという点でこれは資本にとっては特に利益になる)、さまざまなサービス経済分野を開花させた(つまり多国籍流通資本だけが利益を得たのではない)グローバル関係のイメージを反映している。
同様の観点で「植民性(coloniality)」の研究者ウォルター・ミニョロは、植民地のプランテーションと鉱山で消耗したアフリカ奴隷と先住民が、名誉革命やフランス革命よりさらに確実な近代性の基礎だったと断言する。
全人類史の進歩とされる西洋の政治的な事件も、厳密には植民地経済から奪った莫大な富に負っていると批判される。
こうした指摘はフェアトレードの約束のように、世界の貿易秩序を変えるにはビジネスの慣行や消費者倫理の次元を越える、さらに根本的かつ全面的な対抗企画が必要であることを示唆する。
<br />
上の2つを基本前提として、以下の議論ではフェアトレード生産の一要素の「小農」に注目し、それからフェアトレードの物質的な性格をとらえ直したい。
<br />
<h3>
1. 「小農」という資格</h3>
開発途上国の貧しい農民だからと言っても、誰もがフェアトレード生産者になれるわけではない。
その条件と優先順位にはさまざまな議論があるだろうが、実際の資格になる基準はフェアトレード陣営がすでに決めている。
フェアトレード陣営は、フェアトレード生産者の資格を1)国外市場需要に合わせて品質を改善しなければならず、2)村内の民主的な意思決定と分配のために生産者協同組合を組織しなければならず、3)生産活動状況の性平等と児童保護、環境保護に努力しなければならないと要約して伝えている。
<br />
3種類がそれぞれ別個の懸案と考えられる上、内容にけちをつける隈もなさそうに見える。
誰が見ても良い言葉だ。
しかしこれらすべての条件を貫くたった一つのキーワードは別にある。
フェアトレードという名の下で、私たちが公正を論じる範囲と水準を指定する、密かながら強力な装置 ─ まさに「小農」だ。
<br />
フェアトレードの文書を読むと、すでにその導入部から開発途上国の農民が「小農」と言い換えられていることが確認できる。
フェアトレード生産者になる資格が少数の例外品目を除けば、小農(零細自営農、家族農)に限られるためだ。
こうした資格規定により、フェアトレード陣営は小農という名が全ての開発途上国の農民を代表していることを断言する。
<br />
では、どのような代表性なのか?
確認のために、総価値を基準して第2位の規模の国際貿易品目で、全てのフェアトレード事例の70%以上を占める品目のコーヒーを例にあげてみよう。
<br />
フェアトレードの論理による「コーヒー小農」の代表性は、1)多くの貧しい国々の経済がコーヒー輸出に依存しており、2)個別のコーヒー農地の大きさを基準として小規模農地の数が大規模農場の数を大幅に上回っていることを示す統計指標により正当化される。
コーヒー小農が第3世界の人口構成で一番比重が高い集団だとか、少なくとも貧困に関して最も有意味な集団だと言っているようだ。
<br />
続いてコーヒー小農は、世界市場の急激な変化により生計を直撃されても、それに対応したり対処する資源が殆どない、地球上で一番周辺的で脆弱な経済主体として描かれる。
この時の急激な市場の変化は、常に国際コーヒー価格の暴落という事態で予告され、またその価格暴落は小農が生産費用も保全できない程だという規定を重ねて完全な「危機」としての意味を確定させる。
<br />
その証拠としてフェアトレード陣営は「公正な価格」の意味を「少なくとも生産費用を保障する価格」と定義する(最近は「人間らしい生活が可能な価格」という表現を使うこともある)。
では、国際価格の暴落を問題にする彼らの態度は、その暴落の資本主義的な真実を暴こうとしているというよりも、小農にも少しは残る金があってもいいのではないかという極めて常識的な問題提起の水準をぐるぐる回っているわけだ。
<br />
<h3>
2. 小農の独走:農村経済から排除された所有と労働の争点</h3>
フェアトレードの論理において、小農は流通過程では暴利を取る中間業者と多国籍企業に自分の持分を奪われ、生産領域では大量に低賃金労働者を使う大農場主との不公平な競争関係に置かれている二重の弱者として描かれる。
<br />
小農と大農場主-中間業者の-多国籍企業を対決させるこうした構図は、通念的な善と悪のイメージと巧妙に結合し、容易にフェアトレードに道徳的な正当性を付与するが、それと同時に開発途上国の未来の展望を家族中心の単純な人生、人間的な苦労、少ない欲、親環境などの道徳的な観念に縛りつけかねない。
第3世界の農民が現在の世界経済に占める位置を、土着性の一要素に束縛する憂慮もある。
<br />
決定的には小農の道徳的な純粋性を仮定するフェアトレードの生産者資格規定は、開発途上国の農業現場に蔓延する賃労働(主に移住労働と季節労働の形態)の現実に目を塞ぐことで、農村経済という主題と、所有および賃労働の問題を分離させる。
<br />
小農と大農場主は、農地の大きさが違うだけで、すべて個人所有の土地で農作業をして、先進国の消費市場を目標として輸出競争をする資産所有者だ。
大農場でないからといって賃労働者を雇用しないわけでもない。
<br />
最近のフェアトレードの成功事例としてよく紹介されるドミニカ共和国のバナナ生産者の例をあげよう。
個別のフェアトレード生産地で商業的に成功するためのたった一つの戦略は、国外の販路を確保し、拡大することだ。
つまりフェアトレードバナナの生産者の商業的な成功とは、彼らの生産物を買う国外のバイヤーが安定して確保できたことを意味する。
一般的に販路の拡大は、生産規模と労働動員の拡大を伴うので、ドミニカ共和国のバナナ生産者も商業的な成功に相応し、賃労働の雇用を拡大してきた。
この時、ドミニカ共和国が公式に集計した賃労働者全体の数の半分以上(一部の仮定値では約90%)は、ハイチのように最近経済が破綻した近隣諸国出身の移住者で満たされる。
フェアトレードバナナを好むヨーロッパ内のニッチ市場が、その供給先をドミニカ共和国に指定した結果だ。
フェアトレードがカリブ地域の内部に地理的な階層構造を形成しているように見える項目だ。
<br />
フェアトレードがドミニカ共和国の移住労働者問題を看過しているという巷間の指摘に対し、国際フェアトレード機構(FLO)はドミニカ共和国政府に移住労働者の処遇改善を要請すると回答した。
この回答は、所有と労働の問題を明らかにフェアトレードの外側に押し出している。
<br />
こうした「押し出し」は、フェアトレードの公式文書で公正価格を算定する問題が重く扱われないという事実ともよく合う。
公正価格は農産物購入者(主に先進国の製造および販売業者)が生産者側に義務的に支払うべき価格で、そこからわれわれはフェアトレードが言う「正当な補償」の水準を客観的に確認できる。
こうした重要性にもかかわらず、フェアトレード陣営は公正価格の値段を品目別、生産地別、時期別に公示するばかりで、その算定方式について公開的な検討も討論もしなかった。
<br />
このように、フェアトレード陣営が物質的な現実に対する伝統的な左派的な争点を排除した結果は何か?
最も眼につくものの一つは、フェアトレードが急進的な思考から抜けだした消費者運動と倫理マーケティングの領域の中に安全に巣を作ったということだ。
つまりフェアトレード陣営は、政治的な異論が噴出しかねない議題を最初から落としてしまった。
そしてフェアトレードは倫理の世界で華麗に浮上した。
<br />
<h3>
3. 小農についてフェアトレードが語らないこと</h3>
小農は、広大な世界市場の中で一人で畑を耕す個人ではない。
小農は社会的な集団でもある。
社会的な次元から見ると、第3世界のコーヒー生産者に小農が多い現実は、次の2種類から理解できる。
<br />
一つは小農が国家主導の土地改革と管理体制の遺産であるということだ。
<br />
自分の土地を分配された住民が、一群の公共政策との関係の中で、国全体の農業生産性を上げるために動員される様相は、20世紀の中南米の歴史であたりまえに発見できる。
国別に差はあるが、今の農業政策の基調は政府が主力輸出用作物を選定し、生産手段を一括支援して生産物の買入と輸出を独占して、農業技術が社会的な次元で研究され訓練されるなどの内容を骨子としている。
メキシコのインメカフェ(INMECAFE)プログラムが代表的だ。
<br />
このように、国家が自国農業の生産と輸出を直接管理する制度は、コーヒーの輸出国と輸入国の間の多国間で結ばれた国際コーヒー協定(International Coffee Agreement、ICA)と対になっている。
1962年に初めて締結された国際コーヒー協定は、国家別の輸出量を指定するクォーター制に基づいて国際コーヒー価格の安定を試みたが(それさえも積極的な交渉というよりは価格をポンド当たり$1.2〜$1.4程度に固定することに目的があった)、東欧圏の没落と共に中南米のソ連化に対する憂慮がなくなった米国により、1989年にその効力が失なわれた。
冷戦に勝利した米国は、世界銀行-国際貿易機構(WTO)-米内務部間の結束体制を構築し、すべての国際社会に新自由主義の理想を受け入れさせるように実力を行使した。
借款と援助が重要な開発途上国の政府が一番早く変化を証明しなければならなかった。
既存の農業管理体制は「単一な世界市場」の理想を侵害するという理由で禁じられた。
<br />
では第3世界の小農が無防備状態で冷酷な世界市場の荒波に追いやられた最も直接的な理由は、新自由主義的な経済改革が小農の存在を重く考慮しなかったためだ。
つまりフェアトレードは、中南米の左派政権と保護貿易の基調が崩壊した廃虚の中で出現した。
フェアトレード陣営が上の歴史的な過程を説明しないまま、小農がまるで自分たちの市民社会や国家制度を持ったことがない牧歌的な仮像であるかのように描写する限り、フェアトレードも小農の存在を重く考慮しているとはいえない。
<br />
第3世界の市民社会と国家制度が崩壊した歴史的な過去は、フェアトレードの単純な出発点を示すだけでなく、現在進行形で続いている。
われわれはなぜフェアトレードコーヒーが品質を優先視すると同時に、近来は国外の資本に扉を開放した国々で多く生産されるのか、さらによく理解できる。
たとえばカガメ大統領の強力な経済改革の風の中、この数年間で高級スペシャルティコーヒーの生産地として急浮上したルワンダでは、コーヒーの品質改善を名目として生産地ごとに水源地と直接連結する洗浄施設が建設されている。
この時、施設の運営と所有権は、設立に直接投資して「品質向上を支援した」国外の資本に与えられている。
<br />
もうひとつ、われわれは小農中心のコーヒー生産経済が資本主義的生産の有力な形態である大量生産体制から抜け出している点に注目する必要がある。
<br />
資本主義の悪い性質を直そうというフェアトレード陣営の意志が面目を失うほど、今日の小農中心のコーヒー生産地は明らかに資本主義が未発達な国々に形成されている。
同じ国内でも、輸出用の低賃金工場が入る都市の産業地帯とは別に、小農中心の農村は慣習的な所有権の観念(農地だけではなく各種の天然資源や種子・農薬・認証制などをめぐる知的財産に対してもそうだ)と作法などに相変らず依存している点で、世界資本主義体制に十分に編入されていない一種の辺境として残っているのだ。
<br />
コーヒーに投資する世界市場の大きな損失が、このようにコーヒーの直接生産者を「未開拓」の状態に放置しておくのは、果たして何を語るのか?
可能な返答の一つは、コーヒー生産経済を大量生産体制に発展させなくても利益を創出するための大きな障害ではないということだ。
今もコーヒー価格は十分に低く、その水準を維持する世界的体制も堅固だ。
資本家がいちいち動いて大量生産を組織して、労働力を管理する必要はないということだ。
実際に、コーヒーを扱う国際資本は開発途上国で生産されたコーヒーを金融市場と連動させたり、流通・加工を独占する方式だけで莫大な利益を上げている。
例えばスターバックスが収益をあげる主な方式は、消費者価格が着実に上昇するという前提で、先物市場価格の急落による大きな差益を狙って1年分のコーヒー供給契約を一度に締結することだ。
<br />
最後に、開発途上国の国土にはまだ資本の利益になるような資源は無尽蔵にある。
簡単に水源地のような自然資源と生産活動全般に影響する種子や農薬、各種の環境規制などを思い出そう。
伝統的な土地所有権が一気に廃棄され、食糧市場に投資しようとする国外資本に小農の根拠地が一気に「強奪」される事態もたて続けに報告されている。
第3世界の小農を世界市場の堂々たる一員に引き込み、買入価格をもっと公正にしようという素朴な提案は、複雑化し続ける資本主義の流れからはるかに遅れて久しい。
<br />
<blockquote>
<h2>
[参考1]フェアトレード特典の物質的性格</h2>
<ol type="A">
<li>特典の内容構成:最低価格保障+流通段階短縮+その他技術的支援(品質向上教育および金融サービス)
<br />*例:現行のフェアトレードコーヒーの買入(本船渡し(F.O.B))価格は高級品種のアラビカ豆に限り1ポンド(約450g)当たり$1.35〜$1.40が生産物に直接(有機農認証時は$0.30追加)支払われ、$0.20は生産者協同組合の共同基金に積み立てられる。</li>
<li>特典の条件:小農の生産者協同組合組織または加入+品質改善および維持+会計と使途の報告</li>
<li>特典が可能な背景</li>
<ul>
<li>高級コーヒーの需要の増加:高級コーヒーの供給を安定させたい資本の必要+最適の生産地を確保したい資本間の競争</li>
<li>この十年間の国際コーヒー価格の上昇<br />
*例:コロンビア・ウォッシュトアラビカの1ポンド当たりの価格は2002年の65.26セントから2011年には283.82セントと4倍以上上昇し、これは現在フェアトレードが保障する最大値の190セントを大きく上回る。</li>
</ul>
</ol>
</blockquote>
</div>
</div>
<h2>
[参考2]倫理世界でフェアトレードの浮上</h2>
フェアトレードは国際コーヒー価格が約十年ぶりの暴落を記録した2002年の前後に、ヨーロッパと北米で大きな支持を得た。
当時、フェアトレードの浮上は、1)90年代に債務国から強要された新自由主義的構造調整の結果として開発途上国のコーヒー生産経済が続々と「自由化」されている間にベトナムのコーヒー生産量が爆発的に増加し、2)その反射効果で先進国の大衆がスターバックスのような多国籍企業の繁栄を直接目撃して、それらの企業が主導する消費文化を享有するようになり、3)新千年紀を控えて国際社会が新自由主義的世界化の弊害を認めざるをえなくなった同時的な事態を背景とする。
大衆的抵抗と国際連帯も組織されていた。
<br />
そしてこの十年間、スターバックス、ネスレ、ウォルマートといった食品製造および販売分野の巨大企業がフェアトレード参加を宣言し、有名小売店に彼らのブランドを付けたフェアトレード製品が配置され始めた。
しかし現行のフェアトレード認証制が実行されてから15年経った今の時点で、これまでフェアトレードが市場戦略であれ、開発途上国発展戦略であれ、眼につく成果を上げられなかったという事実は、フェアトレードを最初から再検討することを要請する。
フェアトレード陣営が掲げた各種の道徳的な修辞や仮像、楽観的な展望を取り払って、フェアトレードに関する議論の枠組みを完全に変えるべき時だ。
<br />
<a href="http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=73407">原文(チャムセサン)</a>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-3735785902233875402.post-86386702617880232622013-10-28T00:37:00.000+09:002014-03-17T14:40:31.316+09:00秋月のLIS3DH加速度センサー<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg9hECiQo3jOoKI_QUfn8bNuH70D2YoBU9acwcvk4XBg4EiFFnIMl2_xjYHEse6LKSvztVaquR0iQOCixjhOpUy3zMi8os4dWQ3lThsY3UfYxY6A-pHV3XtVVM6btaQtgsIHuIaCy1bGgy0/s1600/Arduino-LIS3DH.JPG" imageanchor="1" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEg9hECiQo3jOoKI_QUfn8bNuH70D2YoBU9acwcvk4XBg4EiFFnIMl2_xjYHEse6LKSvztVaquR0iQOCixjhOpUy3zMi8os4dWQ3lThsY3UfYxY6A-pHV3XtVVM6btaQtgsIHuIaCy1bGgy0/s200/Arduino-LIS3DH.JPG" /></a></div>
半年ぐらい前、秋月で買ってきたまま部品箱の肥やしになっていたLIS3DHという<a href="http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-06791/">三軸加速度センサーモジュール</a>を週末にArduinoにつないでみることにした。
ネットを検索すればコードのサンプルでも出てくるかと思ったんだけど、適当なサンプルが見つからなかったので、<a href="http://www.st.com/st-web-ui/static/active/en/resource/technical/document/datasheet/CD00274221.pdf">データシート</a>を読むことになっちゃった。<br />
接続はSPIで、普通にArduino側の11,12,13をMOSI,MISO,SCKに使い、10ピンをセレクトに使う。
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<a name='more'></a><br clear="all" />
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<table style="float: left; margin-right: 20px;">
<tbody>
<tr><th colspan="2">Arduino</th><th></th><th colspan="2">Akizuki LIS3DH</th></tr>
<tr><td bgcolor="#EEE">MOSI</td><td>DIGITAL 11</td><td>--- </td><td bgcolor="#EEE">SDI</td><td>pin 4</td></tr>
<tr><td bgcolor="#EEE">MISO</td><td>DIGITAL 12</td><td>--- </td><td bgcolor="#EEE">SDO</td><td>pin 5</td></tr>
<tr><td bgcolor="#EEE">SCK</td><td>DIGITAL 13</td><td>--- </td><td bgcolor="#EEE">SPC</td><td>pin 3</td></tr>
<tr><td bgcolor="#EEE">SS</td><td>DIGITAL 10</td><td>--- </td><td bgcolor="#EEE">CS</td><td>pin 6</td></tr>
<tr><td bgcolor="#EEE">電源</td><td>3.3V</td><td>--- </td><td bgcolor="#EEE">VDD</td><td>pin 1</td></tr>
<tr><td bgcolor="#EEE">GND</td><td>GND</td><td>--- </td><td bgcolor="#EEE">GND</td><td>pin 2</td></tr>
</tbody></table>
Arduino側のピンと、秋月のモジュール側のピン(LIS3HDのピンではないので注意)は表の通り。
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MOSIとSDI、MISOとSDO、SCKとSPC、そしてSSとして使うArduinoの10ピンをcsにつなぐ。
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そして電源はArduinoの3.3Vピンをモジュール側の1、グランドは2につなぐ。
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<br clear="all" />
とりあえずこれで接続はOK。次はコードを書くだけ、SPIライブラリがあるから楽勝だろうと思ったのだけど、まあ、レジスタの設定だの読み出しの方法だの、試行錯誤をすることになった。参考にしたページはArduinoの<a href="http://arduino.cc/en/Tutorial/BarometricPressureSensor">圧力センサーとの接続</a>、「LIS3DHとの接続がうまくいかない」という<a href="http://forum.arduino.cc/index.php?topic=169088.0">Arduino Uno SPI Accelerometer Code Issue</a>など。
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初期設定は、デフォルトの設定に従い、ビットオーダーをMSBFIRST、データモードはSPI_MODE3、クロック分割はSPI_CLOCK_DIV2をセット。コントロールレジスタ1には0x47をセットする。
コントロールレジスタ1の内容は、上位4ビットがサンプリングの周期で0100で50Hz。4ビット目がパワーモードでここは0にしてノーマル。下3ビットはXYZの有効/無効で、0111。つまり2進で01000111、16進で0x47、10進で71をセットする。
コントロールレジスタ1から6までの内容を設定することで、各種のモードや動作の設定ができる。データシート参照。
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とりあえず下のようなコードを書いてみたところ、3軸とも加速度のデータは取れる。データの表現は2の補数。
ただ、気になるのはなぜか下位6ビットがゼロになっている。コントロールレジスタ4で感度の設定ができるので高感度モードにしたり、いろいろやってみたけど、やっぱり下位6ビットはゼロ。SPIの読み出しで何か間抜けなことをしてるのかもしれないけれど、とにかく加速度センサーが使える、ということで満足することにして、もう夜も更けたので今日はこのへんでおしまい。
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<strike>この続きはやるかもしれないし、やらないかもしれない。どなたか下位6ビットの秘密をご存じの方は教えてください。</strike><br />
10/29修正: コントロールレジスタ4での感度設定が間違っていたことに気がついた。4ビット目のフラグのHRを1にすると分解能12ビット、0にすると分解能10ビットになる。setupの所で<code>writeRegister(CTRL_REG4, 0x08);</code>を指定すれば12ビットの分解能で加速度を読み込める。「おかしーなー」と悩んでいた時は、3ビット目を立てたり降ろしたりしてたのでした。やっぱり間抜けなポカミスでした。<br />
<blockquote style="background-color: #eeeeee; padding: 1em;">
<pre><code>
#include <spi .h="">
//Register Addresses:
const int OUT_X_L = 0x28; //X-axis acceleration data
const int OUT_X_H = 0x29;
const int OUT_Y_L = 0x2A; //Y-axis acceleration data
const int OUT_Y_H = 0x2B;
const int OUT_Z_L = 0x2C; //Z-axis acceleration data
const int OUT_Z_H = 0x2D;
const int CTRL_REG1 = 0x20; //Register that can enable,disable axes
const int CTRL_REG2 = 0x21;
const int CTRL_REG3 = 0x22;
const int CTRL_REG4 = 0x23;
const int CTRL_REG5 = 0x24;
const int CTRL_REG6 = 0x25;
const int WHO_AM_I = 0x0F; //Dummy register
const byte READ = 0b10000000; // LIS3DH's read command
const byte WRITE = 0b00111111; // LIS3DH's write command
const byte TEMP_CFG_REG = 0x1F; //Temperature sensor
//Axis definitions
int x_axis = 1;
int y_axis = 2;
int z_axis = 3;
//Arduino ss pin10
const int ss = 10;
void setup() {
pinMode(ss, OUTPUT); // we use this for the SS at pin 10
SPI.begin(); //wake up the SPI bus
SPI.setBitOrder(MSBFIRST);
SPI.setDataMode(SPI_MODE3);
SPI.setClockDivider(SPI_CLOCK_DIV2);
Serial.begin(115200);
writeRegister(CTRL_REG1, 0x47);
Serial.println(readRegister(WHO_AM_I));
delay(100);
}
int getValue(int axis) {
int Val = 0;
int h,l;
if (axis == 1) {
l = readRegister(OUT_X_L);
h = readRegister(OUT_X_H);
} else if (axis == 2) {
l = readRegister(OUT_Y_L);
h = readRegister(OUT_Y_H);
} else if (axis == 3) {
l = readRegister(OUT_Z_L);
h = readRegister(OUT_Z_H);
}
Val = ((h << 8) | l);
return Val;
}
unsigned int readRegister(byte thisRegister) {
unsigned int result = 0; // result to return
byte dataToSend = thisRegister | READ;
digitalWrite(ss,LOW);
SPI.transfer(dataToSend);
result = SPI.transfer(0x00);
digitalWrite(ss, HIGH);
return result;
}
void writeRegister(byte thisRegister, byte thisValue) {
byte dataToSend = thisRegister & WRITE;
digitalWrite(ss,LOW);
SPI.transfer(dataToSend);
SPI.transfer(thisValue);
digitalWrite(ss,HIGH);
}
void loop () {
Serial.print(" x = ");
Serial.print(getValue(x_axis));
Serial.print(" y = ");
Serial.print(getValue(y_axis));
Serial.print(" z = ");
Serial.println(getValue(z_axis));
delay(500);
}</spi></code></pre>
</blockquote>
yuhttp://www.blogger.com/profile/12246118312452839696noreply@blogger.com0