2014年6月26日木曜日

韓国内の米軍基地村慰安婦

6月25日、韓国CBSラジオの「鄭寛容(チョン・グァニョン)の時事ジョッキー」という番組の中で、韓国内の米軍基地の基地村で性売買に従事していた女性たちが国家を相手に損害賠償請求訴訟をするというので、訴訟をまとめている人とのインタビューを流していた。
韓国の米軍相手の基地村については広く知られている。ただ基地村の運営に韓国政府や米軍が関与していたという話は、これまで一部では伝えられていただけで、あまり知られていなかった。そこに政府に対する訴訟ということになると、ちょっと展開は違ってくるかもしれない。ぼく自身、このあたりの詳しい事情はよく知らないので、提訴に至る経緯だとか、そのへんはよくわからない。しかし韓国政府や米軍までが組織的に「基地村」の運営に関与していた責任が裁判で認められたら、まあ、それだけで十分大きな影響があるだろうけど、最近の日本軍慰安婦に関する議論にも影響してくるかもしれないし、日本の右翼が「韓国だってやってたじゃん」と喜ぶかもしれないし、朴裕河氏をめぐる議論にも関係してくるかもしれない。
ラジオのインタビューは、そうしたいろいろなこともおそらく念頭に入れて行われたのだと思う。

参考までに、CBSのサイトに掲載されていたインタビューの書き起こしを海賊翻訳してみた。以下は翻訳。



[題名]:「当局が基地村性売買管理、教育まで」
  • 基地村性売買は国家の強圧だった
  •  米軍慰安婦と呼ぶべき
  • 国家が基地村の女性を登録・管理していた
  • 警察が「米軍にしっかりサービスしろ」と教育
  • 人身売買で性売買店に連れられてきた女性が多い
  •  被害女性122人が自発的に訴訟に参加
■放送:FM 98.1 (18:00〜20:00)
■放送日:2014年6月25日(水)午後7時
■進行:鄭寛容(翰林国際大学院大学教授)
■出演:シン・ヨンスク(セウムト代表)

◇鄭寛容(チョン・グァニョン)〉韓国内の米軍基地の基地村で性売買に従事していた女性たちが国家を相手に損害賠償請求訴訟をするそうです。韓国の慰安婦は日本軍慰安婦だけではない。基地村内の米軍慰安婦制度の被害者に謝罪し賠償すべきだという主張ですね。この訴訟を主導する関係者に電話して話をきいてみましょう。この訴訟を主導しているセウムトのシン・ヨンスク代表につなぎます。
シン代表さん、こんにちは。

◆シン・ヨンスク〉はい、こんにちは。セウムト代表のシン・ヨンスクです。

◇鄭寛容〉そのセウムトというのはどんな所ですか?

◆シン・ヨンスク〉セウムトはですね、1996年に基地村の女性と混血児を支援するために作られた非営利団体です。2004年には性売買防止法を作りました。3年前からは米軍慰安婦問題を解決するために積極的に努力しています。

◇鄭寛容〉はい。米軍慰安婦といった表現を今使っているそうですね。国家を相手に損害賠償請求したということはつまり、まさに基地村の女性たちが国家の強圧によって活動をすることになった、そうですか?

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。

◇鄭寛容〉その強圧の証拠はどんな事なんですか?

◆シン・ヨンスク〉その当事者の方々は、米軍慰安婦たちは当時、国家が直接介入した多くの部分を証言しています。国家が基地村という特定地域を設置して、米軍を直接...

◇鄭寛容〉基地村の中のどんな地域ですか?

◆シン・ヨンスク〉基地村の中に特定地域を設置しました。基地村という特定地域を設置して、米軍慰安婦を登録・管理をしたんです。そして米軍慰安婦にちゃんとサービスして、それから米軍と摩擦を起こすなと言って、直接国家が教育をして女性たちを管理していました。

◇鄭寛容〉特定地域を設置して、それから登録して、管理までしましたというのですか?

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。

◇鄭寛容〉政府が直接したのですか、地方自治体だったのですか?どこがしたのですか?

◆シン・ヨンスク〉初期は直接保健所と...初期には警察署が直接管理をしていました。そしてその後は保健所等を通して直接管理しました。

◇鄭寛容〉警察署に登録をしたのですか?

◆シン・ヨンスク〉はい。その米軍慰安婦の初期には、その、新聞を通して、私たちが確認しました。警察を通して、登録手続きをしました。その次は保健所を通して、女性たちを登録管理していました。

◇鄭寛容〉今おっしゃった初期というのは、いつですか?

◆シン・ヨンスク〉これはその、米軍慰安婦が初めてできたその、50年代後半から60年代のごく初期でした。

◇鄭寛容〉50年代後半から60年代初期に、警察がどの店に誰々がいる、そういうことをすべて登録していた、そういうことですか?

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。

◇鄭寛容〉それはどんな資料で立証されているのでしょう?

◆シン・ヨンスク〉今、私たちは現在、新聞の資料と女性たちの証言から明らかになっています。

◇鄭寛容〉証言もあって、新聞で報道されたこともあったんですね?

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。

◇鄭寛容〉その後は、今度は保健所のような場合は、いわゆる衛生診断、そんな意味で保健所が登録をしたのですか?

◆シン・ヨンスク〉はい。60年代には。その女性たちの性病検診のために保健所が直接登録しました。

◇鄭寛容〉その上に、米軍と摩擦を起こさず、きちんとサービスしろという教育もさせたのですね?

◆シン・ヨンスク〉はい。その被害女性の人たちは、当時、毎月1回女性を直接クラブに集めて、女性たちに直接米軍にしっかりサービスしろという教育をしました。

◇鄭寛容〉では、教育した主体はやはり警察ですか、どこですか?

◆シン・ヨンスク〉教育の主体はいろいろでした。米軍の衛生課から直接出てきて教育をしたこともあり、警察署、軍属まで参加する教育でした。

◇鄭寛容〉米軍衛生課の職員なら韓国人軍属ということになりますね。

◆シン・ヨンスク〉あー、米軍の軍属です。

◇鄭寛容〉米軍が直接出てきて教育をした?

◆シン・ヨンスク〉はい。医務中隊から直接きて女性たちにスライドを見せて、性病管理についての教育を直接しました。

◇鄭寛容〉はい。それは米軍が直接して、それから警察も教育をしたのですか?

◆シン・ヨンスク〉はい。警官たちは性病検診をきちんと受けるようにさせて、そして基地村の中で米軍と摩擦にならないように教育をしました。

◇鄭寛容〉はあ。主にその基地村で働いていた人たちが、そこに行くことになったのは自発的だったのですか、でなければ強制的に連れて行かれたのですか?

◆シン・ヨンスク〉その女性たちは基地村にさまざまな経路で流入しました。しかしほとんどは強要的に、広い意味では人身売買だったケースがとても多かったです。当時、ソウル駅や他の地域で人身売買されて、そして紹介業者の詐欺もありました。

◇鄭寛容〉はい。そうして詐欺にあったり強制的に人身売買されて行った人たちは、そこから脱出するために努力をしたのではありませんか?

◆シン・ヨンスク〉はい。女性の人たちは脱出しようとずいぶん努力していました。そして直接基地村で働いている警察と公務員に脱出を、救助を要請したりもしました。しかし当時は警察も公務員も業者側で、むしろ女性の被害を黙認していました。

◇鄭寛容〉警察や公務員に救助を要請したのに、それを助けるどころか、そのままずっといるように強要したということですか?

◆シン・ヨンスク〉はい。むしろ被害者の人たちの証言では、借金があれば借金を返して出て行けと言われたり、あるいは直接救助を要請したその被害女性が働いていたクラブの主に直接連絡して、また女性を業者に連れていったこともがありました。

◇鄭寛容〉連れて行ったりもしたのですか?

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。

◇鄭寛容〉こうしたことは、証言の外には現在、他に資料はないのですか?

◆シン・ヨンスク〉ええ、ありません。

◇鄭寛容〉ああ、本当に衝撃的な事実ですが、今回の訴訟に参加する人は合計何人ぐらいですか?

◆シン・ヨンスク〉今現在、全国にある基地村の女性は122人です。

◇鄭寛容〉この人たちはみんな自発的に申請をされたのですか?

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。みんな自発的でした。現在、その政府が作った基地村特定地域は全国に分布しています。ですから実際には、さらに多くの被害者が現在生存しておられます。しかし今回の訴訟に参加される方々は122人です。

◇鄭寛容〉はい。そしてこの122人はすべて警察だとか保健所だとか、とにかく国家政府の公務員たちが直接介入したという証言をしておられる?

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。国家から人権を蹂躙されたという事実をきちんと証明された人たちです。

◇鄭寛容〉分かりました。今回1人当り1千万ウォンの賠償を請求していますが、その1千万ウォンを請求された理由はありますか?

◆シン・ヨンスク〉実際には、被害者の方々はその1千万ウォンの賠償額は、その被害内容に比べると適当ではないと感じています。

◇鄭寛容〉少なすぎると感じているんですか。

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。しかし今回の訴訟を進めている訴訟弁護団と原告が合意して形成された部分です。しかし明らかにその1千万ウォンは、女性の被害に対してとても少ない金額ですが、被害者の方々はこの被害金額より、この歴史的な事実がきちんと正しく知らされることを望んでいるので訴訟をすることになりました。

◇鄭寛容〉はい。真相究明次元、そういうことですね?

◆シン・ヨンスク〉はい、そうです。

◇鄭寛容〉その1千万ウォンの賠償はどのような法律によるものですか?

◆シン・ヨンスク〉今現在、その女性たちは旧売春行為防止法や、そして国際法の人身売買規約などに違反していたので、その部分にして、今現在1千万ウォンだけ訴訟を進めています。

◇鄭寛容〉すでに訴訟は提起したのですか?

◆シン・ヨンスク〉はい。今日提起しました。

◇鄭寛容〉今日。

◆シン・ヨンスク〉はい。

◇鄭寛容〉勝訴の可能性どう見ていますか?

◆シン・ヨンスク〉えー、私としては原告の方々と一番近くで活動している私としては、勝訴すればうれしいです。必ず勝訴することを望んでいますが、被害者の方々は勝訴は別として、韓国社会がこの基地村の米軍慰安婦問題の隠された真実を明らかにするために積極的に努力をしています。

◇鄭寛容〉あるいは、その訴訟に参加された被害者の方々の証言の中でですね、当時、誰かの公務員の名前だとか職位といったことを正確に覚えていて、そんなことまですべて話している人たちもいるのですか?

◆シン・ヨンスク〉事実その被害を受けた経験はずいぶん前の記憶なので、今現在、再構成をしている段階です。ですから人によっては正確に覚えている人もいて、そうではない人たちもいます。

◇鄭寛容〉分かりました。ぜひ本当に歴史に隠れた真実がきちんと明らかになることを期待して見守ります。どうもありがとうございます。

◆シン・ヨンスク〉はい、ありがとうございました。

◇鄭寛容〉セウムトのシン・ヨンスク代表でした。

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