2016年1月22日金曜日

2015年の民主主義指数で日本が「不十分な民主主義国」に転落

英国の週刊誌エコノミスト系列のシンクタンク「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」が毎年、世界の国々について「民主主義指数(Democracy Index)を発表している。
1月21日に2015年の民主主義指数が公開されたのだが、わが日本は調査対象167か国のうち23位で、昨年までかろうじて維持してきた「完全な民主主義」から「不十分な民主主義」に転落した。

民主主義指数は選挙過程と多元主義、政府機能、政治参加、政治文化、市民的自由の5項目について、10点満点で評価し、その平均値を並べて順位を計算する。平均値が8点以上が「完全な民主主義」に分類されるが日本は昨年まで8.08点をつけていたが、今年は8点を割り込む7.96点の「不十分な民主主義」に分類されることになってしまったわけだ。日本の項目別の点数は、選挙過程9.17点、政府機能8.21点、政治参加6.11点、政治文化7.50点、市民的自由8.82点で23位だった。選挙や政府機能、市民的自由については合格点ながら、政治参加と政治文化が不十分ということになる。

日本が減点された主な根拠は、2014年の秘密保護法と、自民党によるメディアへの干渉だった。

ちなみに、この種の国際ランキングで、いつも接戦(?)になる韓国は平均7.97点で22位と、日本より1ランク上ながら、やはり昨年までの「完全な民主主義」から「不十分な民主主義」に日本とともに転落している。韓国の項目別スコアは選挙過程8.75、政府機能7.86、政治参加7.22、政治文化7.50、市民的自由8.53
日本の安倍政権は韓国について「価値観を共有する国」というフレーズを外すなど、韓国の民主主義について否定的な評価をしているけれど、客観的にみれば日本も韓国も民主主義についてのセンスは似たようなもの。安倍政権も朴政権も、反対の声に耳を貸そうともせず、手続的な正当性も疑わしい独善的な政策を押し通している。個人的な感覚では、日本や韓国のランキングが22位、23位というのは過大評価ではないかと思うぐらいだ。特に日本の選挙過程については議員定数の違憲状態が続いていることを考えると、9.17点というのは高すぎるし、政府機能についても不透明な部分が多く、市民的自由に息苦しさを感じているので、ぼくが採点したらどんなに高く採点しても平均点で7.5点、40位ぐらいが妥当なところではないかと思うのだが…。過大評価という点では韓国もまったく同じ。

全体的に見ると、優秀なところでは1位がノルウェー(9.93)、続いてアイスランド(9.58)、スウェーデン(9.45)、ニュージーランド(9.26)、デンマーク(9.11)など。
面白いのは欧州の民主主義の大国であるフランスが極右の動きの影響で7.92点、27位と、やはり「不十分な民主主義」に分類されていること。昨年は8.04点だったが、実はそれまで8点を割り込むことが多く、自由・平等・博愛の民主主義国家にしては厳しい評価だ。
また新世界の民主主義大国であるアメリカ合衆国は、何とか「完全な民主主義」の枠内に踏みとどまっているものの、平均8.05点、20位で「完全な民主主義」の枠の最下位。昨年の8.11点からやはり減点されている。

参考までに中国は3.14点で136位、北朝鮮は1.08点で調査対象国中最下位の167位。

EIUのレポートは「Democracy in an age of anxiety」として世界的な「テロの不安」が民主主義指数を押し下げているという。
テロが民主主義の脅威であることはいうまでもないのだが、 内なる「テロの不安」もまた現実的な民主主義への脅威になっているというのは皮肉なものだと思う。

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