2014年4月22日火曜日

元セウォル号航海士とのインタビューについて

韓国のメディアは毎日、朝から晩までセウォル号関連のニュースを伝えているが、4/21のJTBCニュース9で、セウォル号に乗って問題の航路での運行の経験があるベテラン航海士とのインタビューが放送された。これまで指摘されていなかった数々の疑問や、なぜこのような事故が起きたのかについての説得力のある情報が含まれている。
この電話インタビューは、航海士のなまりが強い上に、話し方がまずくてよくわからない部分もある。さすがのソンソッキも話をまとめるのに苦労しているのが面白いけど、それはまた別 の話として、ウェブサイトの文字起こしも不正確(たとえばサイトのコメント欄に「スターポルトチェイン」は「スターボード・テン(面舵10度)」というコメントがついていた)で細かいところはよくわからないのだが、とにかくこれまでの報道では出てこない話で、びっくりした。ぼくが理解した内容としては、ざっと以下の通り。


珍島の管制海域に入れば管制センターとの交信をして確認しなければいけないのに、船側からも管制センター側からも交信がなかった。
珍島管制センターが使う16チャンネルの周波数を使わずに済州島の管制センターが使う12チャンネルを使ったことで事故対応が遅れたという指摘があるが、 16チャンネルは多くの関係者が傍受しているので、このチャンネルを使うと問題が大きくなることを恐れて12チャンネルを使った。
どうしようもなくなってから16チャンネルで珍島管制とのやりとりが始まった。
船の傾斜については、スタビライザーだのバラストだのという問題以前に、そもそも貨物の固定がいい加減だった。乗船時の人数確認もしていない。固定器具を設置していなかったのは、固定器具が高価だからだ。
固定が不十分なので、ちょっとした進路変更で荷崩れする。そもそもこの海域は渦が発生して進路変更が多いところだという。経験が浅い航海士が自動操船を切って手動に切り替えて操船していて、荷崩れの音に驚きおかしな操船をして、船の姿勢復元ができない状態になった。

…というような内容で、つまり、乗船時の作業もいい加減、船舶の運行管理や管制の体制もいい加減、事が大きくなることを恐れて隠そうとしたのも問題、ということになる。
おそらくこのインタビューの内容は、さらに取材を重ねて検証された後に詳しく報道されることになると思うけど、JTBC、やるなあ。

この他にも、この船に乗っていた機関士8人のうち5人が、しばしば船が傾くので危険を感じて辞職していたとか、経営者が海運の素人だとか、縁故採用が多かったとか、事故の原因について興味深い情報を伝えている。

(追記 4/25に 関連記事 を追加しました。)

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